陽出る処の書紀

忘れないこの気持ち、綴りたいあの感動──そんな想いをかたちに。葉を見て森を見ないひとの思想録。

氷上の舞踏会、アジアの女王対決(後)

2010-02-25 | フィギュアスケート・スポーツ
ヨナ選手の直後に登場したのは、鈴木明子選手。
黒をベースに紅いフリルが腰で舞う、大胆ないでたち。曲は「リバーダンス」から「アンダルシアとファイアーダンス」
やはり直前の演技の余波からか、序盤で手をつくという痛恨のミス。しかし、その後はミスを最小限に食い止める、鈴木らしい明るさを醸し出す舞台で、61点台にとどまった。ラストを締めくくるスパイラルでアピールしたが、残念無念。せめてもうすこし加点があっても良かったと思うが、韓国の舞姫のあとでは少々かすんでしまう悲しさ。全選手終わって11位。

最後のアジア期待の女王は、トリをつとめた安藤美姫選手。
トリノ五輪の雪辱を晴らすために戻ってきた大舞台、曲はモーツァルトの「レクイエム」、衣装は高貴な紫を中心に。
安藤選手も三回転ルッツとトーループの連続ジャンプと勝負をかけてきたが、着氷時に足が止まってしまうミスが減点に響く。結果は悔しくも64点台で、控えの席でも彼女に笑顔がみられることはなかった。しかし、三回転・二回転の安全策に甘んじずに敢えて挑戦したことは讃えられよう。銅メダリストの高橋大輔選手とおなじく、安藤選手も重い故障を克服して復帰してきた選手だけに、がんばってほしい。最後の滑走で現在四位。メダルは狙える位置にある。

この舞台が奇しくも母に捧げるレクイエムとなったのが、カナダのジョアニー・ロシェット。
試合の二日前に母を亡くしたばかりのロシェット選手は、悲嘆にくれる暇もなく演技に集中。プログラムはアルゼンチンタンゴの楽曲「ラ・クンパルシータ」
短調で音の切り替えが早い曲にのって、胸を合わせた男女が向きを変えるシーンを、華麗なステップで再現。
隙のない完璧な演技で、71点台を得て表彰台圏内に食い込んだ。アジアの舞姫たちがひしめきあう舞台で、北米出身の24歳が、氷の国生まれの意地を見せつける。終了後に氷上で涙を見せたのが印象的だった。同情点で加算されたといえなくもないが、どこか切れがない安藤選手に水を開けるには申し分ない力量といえる。浅田選手には二点差で迫る勢いなので、銀を狙う可能性大いにあり。

米国から出場の十八歳(には見えない大人びた顔だちだが(笑))レイチェル・フラットは、五位。浅田選手やキム・ヨナ選手に比べるとめだったジャンプはないが、回転がかなり速い。
そしておなじく米国代表で、生粋の日本人、長洲未来は現在六位につけた。
前半グループのなかではいち早く60点越えをし、浅田選手を待つまでは首位を保っていた。曲は「パイレーツ・オブ・カリビアン」、四年後には太平洋の西へ多く渡ったメダルを奪える成長をみせることが予想される。

それにしても、解説の元金メダリスト、荒川静香氏がいうように、ジャッジの判定にはいろいろ論議を呼びそうだ。
26日に開かれるフリーでの決戦。安藤選手の直後に、キム・ヨナ選手、そして浅田選手。鈴木選手はそれより早く登場。

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