陽出る処の書紀

忘れないこの気持ち、綴りたいあの感動──そんな想いをかたちに。葉を見て森を見ないひとの思想録。

映画「エリザベス:ゴールデン・エイジ」

2012-04-29 | 映画──社会派・青春・恋愛
エリザベス女王の生涯はなんども映画化されましたが、その最新作が2007年の英・仏・独合作映画「エリザベス:ゴールデン・エイジ」(原題:Elizabeth: The Golden Age)
派手な宣伝のためかタイトルだけ記憶に残り、いつか観たい作品のひとつだったんですが、視聴後の手応えはいまひとつ。
1998年の「エリザベス」の続編にあたるんですね。

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1585年のイングランド。
国を統べる女王エリザベスには、各国の皇帝や教会有力者の子息たちとの縁談がもちあがっていました。しかし、エリザベスにその気なし。
彼女の気持ちを惹いたのは、面会に訪れた海賊の頭領ウォルター・ローリー。スペイン商船を襲っては金品を奪うウォルターの逞しさと自由闊達さに、日ごろおべっか遣いの殿方にうんざりしているエリザベス女王はご執心。

いっぽう、国内では義姉で幽閉同然の身の上のスコットランド女王メアリー・スチュアートを祭り上げてのクーデターが秘かに企てられていました。さらに、海を越えれば、熱心なカトリック教徒たるスペイン王フェリペ二世が、プロテスタント教徒の英国に攻め入らんと虎視眈々と契機を狙っており…。

本作で描かれる女王エリザベスは、毅然とした鉄面皮の肖像とは裏腹の、愛に飢え、孤独であまりにも脆い中年の女性。
彼女とは反対に、もうひとりの若く美しい”エリザベス”こと、侍女のベスが登場。陰謀が失敗しメアリー・スチュアートの処刑にもこころ痛める女王に比べると、ベスのほうがしたたかな娘。我が身かわいさに、カトリック教徒のために迫害された従兄一家を見捨ててしまう冷淡さがあります。

ベスをお気に入りにしているエリザベスはみずからと同じく処女を誓わせますが、しかし、ベスはウォルターを愛してしまう。このふしぎな三角関係の崩壊が、なんとスペイン無敵艦隊の侵攻という史上最大の国難と重なってやってきます。

三角関係といってもドロドロの愛憎劇には至らず、けっきょく歴史にならって女王は国と結婚し、国民全ての母なることを誓うことからして、先は見えています。
それにしても、スペイン艦隊を破った戦法って、まるっきり赤壁の戦いさながらの天の助けを仰いだ焼き討ちなんですね。


エリザベス女王に、「エリザベス」「アビエイター」のケイト・ブランシェット。
ウォルター役に「キング・アーサー」のクライヴ・オーウェン。
ベス役にアビー・コーニッシュ。

中心的なのはこの三人ですが、ほかにジェフリー・ラッシュ(「パイレーツ・オブ・カリビアン/呪われた海賊たち」のバルボッサ船長)演じる重臣フランシス・ウォルシンガム卿と弟との絆など助演のストーリーも描かれています。サマンサ・モートン(「イン・アメリカ 三つの小さな願いごと」の主演)演じる悲劇の女王メアリー・スチュワートは善良そうなだけに可哀想でしたね。

監督は「サハラに舞う羽根」・「女盗賊プーラン」のシェーカル・カプール。


(2010年4月4日)



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