映画「パイレーツ・オブ・カリビアン／呪われた海賊たち」

バンクーバー五輪フィギュアスケート女子シングルの米国代表長洲未来選手が、SPの曲目で使用した（「氷上の舞踏会、アジアの女王対決（後）」参照）ので、いつかレヴューしようと思っていたのが映画「パイレーツ・オブ・カリビアン」シリーズ。
テレビ朝日の日曜洋画劇場44周年記念とやらで、４週連続放映するらしく、今回はその初作、2003年の「パイレーツ・オブ・カリビアン／呪われた海賊たち」（原題 : Pirates of Caribbean:The Curse of the Black Pearl）を観ました。
劇場で初見した当時は、精巧なCGのアクションシーンと美しい海洋、そして大活劇らしい雄大なBGMにひたすら感じ入るばかり。放映のたびにかならず観ているのですが、筋書きを知っているのに飽きないおもしろさがあります。

パイレーツ・オブ・カリビアン 呪われた海賊たち [DVD]
	ジェリー・ブラッカイマー おすすめ平均 ジョニー・デップの存在感が光る俳優は優秀、ストーリーは子供向けジャック・スパロウに魅せられますジョニーの斬新な役柄造詣の貢献度が高い傑作娯楽映画話の盛り上げ方。Amazonで詳しく見る by G-Tools

カリブ海を取り締まるイギリス海軍総督スワンの娘エリザベスが、ブラックパール号の海賊団にさらわれてしまう。エリザベスに思いを寄せる鍛冶職人のウィル・ターナーは、お尋ね者で投獄させられていた海賊のジャック・スパロウ船長と協力し、彼女を救うべく動き出しますが…。

海賊とはいっても、よくあるトレジャーハンター物みたいにお宝探しの展開にならないのがミソ。エリザベスを取り戻したいウィルの思惑を利用し、狡猾なジャックには別の狙いがありました。
また、エリザベスを奪った海賊団には、おそろしい秘密があり、それがためにある人物の血を必要としていることも明らかに。

裏切られしたたかに利用されながらも、戦いを共にしてふしぎな友情で結ばれていくジャックとウィル。
そして、身分違いのウィルを好いていながらも、青年提督から求婚され、さらにはジャックにも奇妙な愛着を感じてしまうエリザベス。女性でお嬢さま育ちなのに、なんとも勇ましい活躍をみせてくれます、いやはや（笑）

舌先三寸ながら飄々として身の軽いジャックもそうだけど、バルボロッサを頭とした海賊団も敵なのになぜか憎めない。とくにあの手下の二人組のドレスアップシーンは爆笑もんです。

南の島で置き去りの中だるみがあるんですが、終盤の呪いを解くまでの丁々発止の剣戟は、まさに見応えたっぷり。全編、コインの表と裏を引っくり返すように軽々と敵味方が入れ替わり、勝利の行方がめまぐるしく移っていきます。

それにしても、この映画、いま改めてみると、けっこういろんな過去作からインスパイアされているのだろうか、という気がしないでもないですね。絞首刑にされようとしたジャックをウィルが救う場面が三銃士というか、マスク・オブ・ゾロっぽかったり、ラストのアーチの横で結ばれる男女の構図は「キング・アーサー」（キーラ・ナイトレイが、まさにヒロイン役だった（笑））っぽかったり。

主演はご存じジョニー・デップ。
「シザー・ハンズ」のこころ優しき青年から「チャーリーとチョコレート工場」の冷血漢の男まで演じられる千両役者ですが、私が驚いた彼の変容ぶりは、アル・パチーノと共演したギャングものの「フェイク」でして。ここの船長とは正反対の実直なタフガイを演じています。無名時代に出演した「プラトーン」では端役であったのにもかかわらず、オリヴァー・ストーン監督に将来性を見抜かれているんですね。

監督は「ザ・リング」のゴア・ヴァービンスキー。
共演は「トロイ」のオーランド・ブルームと、「プライドと偏見」のキーラ・ナイトレイ。
エリザベスの父親役のジョナサン・プライスって、聞き覚えのある名だと思ったら、「未来世紀ブラジル」の冴えない公務員だった人なんですね。

ちなみに続編の「パイレーツ・オブ・カリビアン/デッドマンズ・チェスト」は、やはりおもしろさがトーンダウンしてしまった感が否めないですね。前後編に分かれる三作目を楽しみに待つとします。

（2010年３月21日）

パイレーツ・オブ・カリビアン/呪われた海賊たち(2003) - goo 映画