陽出る処の書紀

忘れないこの気持ち、綴りたいあの感動──そんな想いをかたちに。葉を見て森を見ないひとの思想録。

フィギュアスケート全日本選手権2011(五)

2012-01-06 | フィギュアスケート・スポーツ
フィギュアスケート全日本選手権2011、女子シングルの最終結果です。
浅田真央という人は、やはりここぞというときに本領を発揮してくれる人だったと思わざるを得ないのかも。すでに知られているとおり、逆転優勝を果たしてくれましたけど、しかし、細かく内容を見れば男子とおなじく表彰台入りの三人がそれぞれ等分に見せ場をつくった舞台でした。

SP首位と好スタートを切った村上佳菜子選手。
目標は世界選手権出場と志はかねてから高く、野心を臆さずに語ってしまえるところは、真央選手のような強豪を側にして闘ってきたからなのか。昨季はGPシリーズシニアデヴューにしてGPファイナル進出まで果たす快挙(フィギュアスケートGPシリーズ GPファイナル2010 まとめ)を成し遂げ、一躍話題をさらいましたが、今年はそのギャップに苦しんだようです。ちなみに試合の衣装をホテルに忘れてしまったこともあったとか。
曲はフェリックス・メンデルスゾーン 「ヴァイオリン協奏曲ホ短調 作品64」。FSのスコアは107.13点。トータル172.69点。
二番めのトリプルループがシングルに抜けてしまったのが惜しい。後半でも着氷が両足になるなどやや不安定。そしてステップで転倒してしまいます。いつもの元気はつらつさが感じられない。
フリーだけでは六位と大幅に後退、結果として三位にとどまりました。余談ですが、新聞のスポーツ欄にわざわざ派手にすっ転んだシーンの画像が掲載されていましたが、ひどいですね。敗者の誇りを失わせるような記事は、ほとほと興ざめします。

SPでは三位に甘んじていた鈴木明子選手。
今季はGPファイナルで三回転二連続ジャンプを初成功させるなど、ますます技量に磨きがかかってきた様子。高橋選手ともどもフィギュアスケートは若いうちが華という神話を突き崩す稀有な存在なのですが、苦手とされた全日本でも存在感をアピール。
曲はヨハン・シュトラウス2世「こうもり」。FSのスコアは119.67点。トータル179.27点。
最初のジャンプがなんとも美しいですね。余韻を残すような着氷後の動きがいい。誰かとワルツを踊っているような花やかなステージ。
そういえば、二年前の全日本も、オリンピック代表三枠の最後を巡って中野選手と争い、からくも滑り込んだ飛躍の舞台となりました(氷上のシンデレラ、バンクーバーへ邁進!)。ジャンプのミスがいくつかあったことは否めない事実ですが、それを補って余りあるステップの魅力があります。惜しくも自身初となる全日本制覇には届きませんでしたが、フリーでは首位に立っています。今年は絶好調ですね。

さて、やはり女王という称号がいちばんしっくりくるのは、やはり浅田真央選手。
曲はフランツ・リストの「愛の夢」。スコアは118.67点。トータル184.07点。
二回転のジャンプをひとつシングルに抜かしていましたが、感情の乱れは感じない落ち着いた演技。周囲も驚くというか、感心するぐらい、強靭な精神力を発揮したといいますが、もともとその強さはあったのではないでしょうか。GPファイナル辞退にともなっていろいろ心配が飛び交い、一時は全日本を棄権しても世界選手権へシードする特別措置も考慮されていたので、ご本人自身がれっきとした成績を残すことでよからぬ意見を封じ込めたのはよかったといえますね。

ただひとつ気がかりなのは、人を亡くした場合、忙しさに紛れて気が張っているんですけれど、ふいに時間が余って一人になったりする瞬間が危ないかもしれない。どうしても成し遂げねばならない目標のために生きている人は、故人の思いが支えになってくれるでしょうが、その目標がなくなってしまったり、挫折してしまった場合に激しい自己嫌悪に陥ったりしないだろうかと危惧してもいます。真央ちゃんに限ってそんなことはないはずだと思いたいですし、彼女が気丈でいられるのは、きっと周囲にいる方が思いやり多い方に恵まれているためなのでしょう。佐藤コーチの指示にしたがってトリプルアクセルを回避したというのも、彼女の懐の預け先を広げたことと言えそうですね。


【参考サイト】
フィギュアスケートYoutube-動画Blog
スポーツナビ フィギュアスケート


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