陽出る処の書紀

忘れないこの気持ち、綴りたいあの感動──そんな想いをかたちに。葉を見て森を見ないひとの思想録。

映画「お熱いのがお好き」

2010-07-27 | 映画──社会派・青春・恋愛
1959年の映画「お熱いのがお好き」(原題 : Some Like It Hot)は、マリリン・モンローの歌唱シーンがあまりにも有名なラブコメディ。殺人を目撃したミュージシャンが追っ手を逃れるために変装して潜伏するという設定は、「天使にラブ・ソングを…」とおなじですが、こちらは軽妙なラブストーリーも絡んで見応えのある名作です。

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1929年、禁酒法時代のシカゴ。サクソフォン奏者のジョーとバスを弾くジェリーは、警察の手入れがあってもぐりの酒場での仕事を失った。飯の種を探しに奔走する最中、偶然、酒場のオーナーでギャングのスパッツ一味の殺人を目撃。追っ手を逃れるために、二人はなんと女性に変身して女性のオーケストラに紛れ込む。楽団で出会ったウクレレ奏者でヴォーカルの美しいブロンド娘シュガーに、ふたりは夢中になるが…。

女をたらし込むのがうまいジョーを演じるのはトニー・カーティス。ジェリー役は喜劇俳優のジャック・レモン。このふたりが全体の四分の三を女装で通すのですが、モノクロで撮影したせいか、違和感があまり感じられません。むしろ、キム・ベイジンガー並みにきりっとした顔だちの美人に感じてしまえるほど。声もソプラノに聞こえなくもない…か。ジョーこと「ジョゼフィーヌ」はホテルボーイにナンパされ、ジェリーこと「ダフネ」は中年紳士に惚れられてしまう始末。
モンロー演じるシュガーを射止めたのは、ジョーのほう。痛い失恋を繰り返してきた彼女の良き相談相手として親しくなったジョーは、男に戻って石油王の跡取りを名乗って求愛。いっぽう、お金持ちに強引にアプローチされてしまったダフネの恋愛も同時進行中。
いつ正体がバレるかはらはらしながらの恋愛劇にくわえ、例のギャング一味の追走もはじまって絶体絶命のピンチ。最後まで目が離せない面白さです。

婉曲的に下ネタをちりばめてあったり、ジェリーが寝台列車で女性陣にもみくちゃにされてしまう場面など、笑いどころがふんだんにあります。意中の相手に本性を明かしたふたりの楽士、それぞれの反応がおもしろいですね。ジョーの相手はひょっとしたら、正体をとっくに見抜いていた上で求婚したのかしらと。

監督は「アパートの鍵貸します」など軽妙なラブコメがお得意のビリー・ワイルダー。
アカデミー賞で衣装デザイン賞を受賞しただけあって、三人の美女(?)の装いの華やかなこと。とくに「I wanna be loved by you」を歌う場面のモンローの胸元が透けそうなドレスは目のやり場に困ります。しかし、モンローはこの撮影時かなりの精神不安定で、おつむの弱い金髪女というこの役柄を嫌っていたんじゃないんでしょうかね。私は列車内での黒い衣装の方が色白の肌と金髪に映え、細身に見えて好きですね。

(2010年2月23日)

お熱いのがお好き - goo 映画

お熱いのがお好き(1959) - goo 映画

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