陽出る処の書紀

忘れないこの気持ち、綴りたいあの感動──そんな想いをかたちに。葉を見て森を見ないひとの思想録。

『マリア様がみてる─ハローグッバイ─』(前)

2009-04-25 | 感想・二次創作──マリア様がみてる



泣きっ面に蜂とはいいますけれど、涙してもいないのに寄ってきたその蜂は、笑顔の花こぼれる紅薔薇のお姉さまに惹かれてしまったのでしょうか。しかし、蜜のように甘い乙女の園、その卒業式に寄ってきたのは蜜蜂だけではありせんでした。友ならぬ、姉遠方より来る。また嬉しからずや。
ついでに黄薔薇の未来の妹もできてしまったのでありました。また、これも嬉しからずや。
来年は、紅、白、黄の御三家薔薇組に、いもうと蕾がきっちり揃うことになります。めでたし、めでたし。

今野緒雪『マリア様がみてる─ハローグッバイ─』(〇九年一月刊行)の内容をかるくまとめますと、以上のとおり。

マリア様がみてる―ハローグッバイ (コバルト文庫)
マリア様がみてる―ハローグッバイ (コバルト文庫)今野 緒雪

おすすめ平均
stars書かずには居られない
starsごきげんよう。お姉さま
stars明日も明後日も変わらず日常を
starsいつもと変わらない「ごきげんよう」
stars黄薔薇に期待

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前巻の『卒業前小景』からして、また物語内の時間として一年前にあたる『いとしき歳月(後編)』からして、だいたい卒業式の段取りは予想されていました。が、さすが、今野先生、こちらが思いもつかぬようなできごとを、あっさり持ってきてくださいますね。
でも、正直いいますと、本を胸にだいてしばらく浸っていたいような読後感があるのは、さきの『卒業前小景』でしたね。
しょっぱなから、柏木の名前が登場したので、げんなりしてしまった…。

今回の目玉はもちろん、卒業の答辞役を果たした際の祥子の冷静ぶりと、送辞役の人間(あえて誰だかはいわないけれど)たちのハプニング。そして、由乃の妹問題解決なわけですが。菜々ちゃんを妹にするまではけっこう時間をかけると思っていただけに、最終巻までにかけこみ妹づくりしたみたいで性急な感じも。

意外な見どころは、祐巳と鵜沢美冬との和解。そして、田沼ちさとと支倉令のひと悶着。姉妹の枠組みから外れてしまったひとたちの、秘かな想いというものがしたたかに描かれたことも魅力でした。

そして、やはり期待していたのは先代薔薇さま。やっぱり、このひとたちが出てきたほうがおもしろいよねぇ。聖さまのひょうきんぶりはあいかわらず。蓉子さまとのかけあいも、やはりいい(私、このふたりのコンビが好きなので…)そして、江利子もご健在。

残念だったのは、最終巻だというのに、せっかく誕生ほやほやの新姉妹祐巳と瞳子の絡みがあまりなかったことですよね。この意味でいえば、アニメが祐巳と瞳子がスール確定で終わるふたりだけの締め方がけっこうよかったのかも。そもそも四期アニメは第一話で祥子さまが出した難問を祐巳がクリアするという構成でした。妹をつくったことで、成長した主人公を描きたかったわけですね。

あと、『マーガレットにリボン』でなにげに示されていた、さん付け問題のエピソードは、ここの伏線だったのか、と納得。あの当時は、どうしていきなり、こんなエピソードいれたんだと疑ってましたけど(苦笑)



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