映画「ザ・シューター 極大射程」

アメリカ映画は、巨大な的相手にひとりで立ち向かうというアクションが好きですね。西部劇の名残りなのでしょうか。
2007年の映画「ザ・シューター　極大射程」（原題：Shooter ）は、孤高のスナイパーが国家の大物を相手取って闘いをいどむアクション・サスペンス。
原作が「このミステリーがすごい！」で世界ナンバーワンに選ばれた、スティーヴン・ハンターの『極大射程』（原題：Point of Impact ）。主人公の名をとって、ボブ・リー・スワガーシリーズと呼ばれる人気連作の第一作目です。

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海兵隊特殊部隊に所属するボブ・リー・スワガーは、狙撃の名手。アフリカの某国で戦友のドニーとともに偵察任務についていたが、銃撃戦となっても友軍からの支援が受けられず、ドニーは戦死してしまう。
三年後、退役して人里離れた山奥で余生を送るスワガーのもとへ、ジョンソン大佐なる人物が訪れた。大佐はスワガーにまだ残る愛国心をくすぐって、大統領暗殺者の動きを事前シミューレーションすべく協力を依頼。引き受けたスワガーだったが、なんと当日、大統領の隣にいたエチオピアの大司教が射殺され、狙撃犯に仕立て上げられてしまう…。

濡れ衣を着せられて逃亡生活というのは、よくあるパターンですよね。ヒッチコックの「三十九夜」からはじまるような巻き込まれ型。追っ手の目的が不明な巨大な組織だったり、逃亡犯の主人公に手を貸すのが美女なのも、もはやお約束。
負傷したスワガーが身を寄せるのが、ドニーの妻アラーデス。彼女はふつうの高校教師だったのですが、スワガーの作戦に協力してお色気美女に変身するシーンも。しかし、とちゅう敵方に人質として捕まってしまいます。

もうひとりのキーパーソンがFBIの新米捜査官ニック・メンフィス。
逃亡中のスワガーと接触したことから、世間が煽り立てる犯人像に疑問を抱き、スワガーともども陰謀に巻き込まれてしまいます。いい人が犠牲になっちゃう、その典型的なタイプ。

ふつうの逃亡者アクションに比べると、舞台が大がかりで、かなり政治的な思惑が絡んだ、よく練られたミステリーではあります。
ただ、けっきょくスワガー自身が制裁を加えるエンディングを迎えるのは、現実でもこうした不正があって法廷ですら裁けない虚しさを訴えているのでしょうか。ちょっと拍子抜けでした。

さほど頭脳戦的な伏線があるわけでもなく、真犯人は見えていますから、騒がれているほど卓越なミステリーとは思えないんですけどね。軍事アクションがお好きな方にはお勧めかな。

主演は、「パーフェクトストーム」のマーク・ウォルバーグ。
監督は「キング・アーサー」のアントワン・フークア。

（2010年３月７日）

ザ・シューター　極大射程(2007) - goo 映画