陽出る処の書紀

忘れないこの気持ち、綴りたいあの感動──そんな想いをかたちに。葉を見て森を見ないひとの思想録。

漫画『京四郎』もうわのそら その3

2006-11-30 | 感想・二次創作──神無月の巫女・京四郎と永遠の空・姫神の巫女

 


「京四郎と永遠の空」


それは、「神無月の巫女」のスタッフが年明け早々に贈るラブファンタジー。すき焼きのあとで楽しむ肉じゃがのように、メインのお肉は細切れになって侘しいけれど、その出し汁で残り物の具材を煮詰めた豊穣な愛の物語…なのかッ?!


アニメではカオン・ヒミコの顔出しは第二話かららしいのですが、漫画では早くも第一話ラストに登場!ただし、二人だけの出番はそこだけです(泣)


だからといって、神無月ファンの皆様、気落ちしちゃァいけませんよっ!この作品、単に姫子まがいと千歌音もどき(あとムラクモと、ついでに大神ジンも(笑))が出てくるだけじゃなくて、いろんな意味で「神無月」の残した遺産を受け継いでいるといえそうです。


 


《Re-Kannaduki その1》


主人公白鳥空と姫子の生い立ちが似ています。孤児院育ちで、寮生活。男勝りな親友のこずえちゃんがいて、案の定、身近な被害者第一号として(笑)敵に狙われて入院しちゃいます。まるっきり、マコちゃんポジションです。(個人的に、こずえちゃんの声は、出番の少なげな(?)ワルテイシアの緒方恵美さんのダブルキャストにして欲しいんですけど、どうなるんでしょうね)


でもね、空は姫子と見かけや境遇は似ているけれど、やっぱり違います。寝起きはしっかりしていて、(せつなには劣るけれど)人並みに体力も家事能力もあります。食わず嫌いなんてないし、きっと血糖値が跳ね上がりそうな危険な玉子焼き(別名「残飯」by乙羽)なんてつくったりしないでしょう。


アニメの脚本と演出家の企みで、あっさり変えられているかもしれませんが(爆)


苛められっ子でもないし、級友にも恵まれている。恋には奥手だけれど、極度な内気で引っ込み思案ではありません。


ただ、かなり空想癖が激しい。恋物語を夢見る純粋無垢な少女を装っておきながら、思考は結構不純です。たとえば、せつなと京四郎との関係を問いただすうちに、せつなの全裸なんか妄想しちゃったり。


あんた、オヤジですか?


しかも「京四郎は私のすべて」と打ち明けるせつなに、そんな恥ずかしいことを…と訝しがる空。


「王子様」発言している女子高生のほうが、


よっぽど恥ずかしいです!!


ていうか夢想家のくせに、たまに恐ろしく現実的なことを言い出す空。性格矛盾してないか?アイスセーフとか、顔崩れすぎてギャグテイスト。姫子はここまで、おバカで頭弱くないと思います、私の指標では。(からっきし説得力ありませんね)


こんなラブコメ路線なので、いまいち運命の恋だのいわれてもピンときません。この物語、そんな白鳥空のメルヘンちっくな独白調で語られるので、まったく緊迫感がありません。京四郎の口にする戦いへの壮大な決意にしても、空の視点から眺められると、子供だましな正義感にしか思えないから不思議です(酷)


校舎が破壊されて、多くの学生が犠牲になっているというのに、夢の中の王子様そっくりな京四郎に誘われるままに同棲生活はじめちゃって浮かれまくっています。平凡な日常生活から脱け出した喜びとトキメキで胸一杯。あれですね、火の粉の降りかからない安全な場所から火事場見物して、興奮してる野次馬の心境に近いです。たしかに現実が壊れていく昂揚感と抱き合わせの恋愛感情の演出は、ラヴアドヴェンチャーものの常套手段。


でも姫子だったら、もっと危機感持っていたんですが。(漫画じゃ「恋愛はしてもいいのかな?」なんてほざいてたけど)闘いの当事者たる自覚が、いまのところないからなのかな。京四郎が空に手を差し伸べた理由が判然とすれば、このモヤモヤもすっきりすんだけど。


それとも破壊工作のレベルが違うからなのか。


なんせ敵が、超星神シリーズの変身バトルスーツか、仮面ライダーの怪人ぽくて、ショボイです。手下も超能力者だし。


「神無月」の百合物と巨大ロボットって取り合わせって、当初異色で噛み合わないと思ったのですが、今更ながらに、巫女服姿の少女がロボットを駆っているというあの違和感が懐かしく感じられもするのです。地球を割ってしまうほどの破壊兵器よりも、人間の、しかも非力な少女たちの愛のほうが強くて大きい――そんなことを認識させてくるための、スケールの大きな道具立てだったのです。そして既述したけれど、最終兵器であるアメノムラクモを心身ともに傷つきながらも一人で復活させた行為のなかに来栖川姫子の、地球を救いたいという深い決意と千歌音への強い想いが量りとれるのです。


 


主人公の役得で、なにかしらのパワーは秘めているみたいなのですが、白鳥空は最後にどう大化けするのでしょう。せつなの存在の儚さを嘆いて涙を零し、一時は京四郎が自分の本当の王子様なのか疑ってしまいさえする。京四郎は捨ててもいいから、せつなを救ってあげて(をい)


 


 


ちなみに、肉じゃがって関西だと牛肉で、関東は豚肉を使用するってホントなんでしょーか?いずれにしろ、姫子は砂糖をドバドバ注ぎ込んでいそうですね(笑)


 


 


【その4に続…けてもいいのかな?】


 


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