goo blog サービス終了のお知らせ 

陽出る処の書紀

忘れないこの気持ち、綴りたいあの感動──そんな想いをかたちに。葉を見て森を見ないひとの思想録。

映画「ギルバート・グレイプ」

2012-04-27 | 映画──社会派・青春・恋愛
1993年のアメリカ映画「ギルバート・グレイプ」(原題: What's Eating Gilbert Grape )は、アメリカの寂れた小さな町でさまざまな問題を抱えた母子家庭を中心にしたハートフルなファミリードラマ。

ギルバート・グレイプ;WHAT'S EATING GILBERT GRAPE [DVD]
ギルバート・グレイプ;WHAT'S EATING GILBERT GRAPE [DVD]角川エンタテインメント 2005-08-26売り上げランキング : 13650Amazonで詳しく見る by G-Tools


アメリカはアイオワ州の田舎町エンドーラ。
食料雑貨店で働くギルバート・グレイプは、知的障害のある18歳の弟アーニー、家事全般を担当する姉のエミー、生意気ざかりの妹のエレンと暮らす24歳。兄貴のラリーは家を出た。父をなくして以来、かつて街いちばんの美人だった母親は引きこもって過食症になり太くなっています。

暗い家庭の事情にさらに輪をかける悩みの種は近所に大きなスーパーマーケットができて、店の客入りが悪いこと。街の働き手はみな大資本のファーストフード店に職を求めていこうとします。

ある日、配達先で目を離した隙にアーニーが給水塔の梯子に上るという騒ぎを起こしてしまう。その場に居合わせた白い帽子の女性のことが気になってしまい…。

家庭を切り盛りし、つねにアーニーが気がかりで自由な時間さえもてないへとへとになっているギルバートは、キャンピングカーで祖母と放浪するベッキーに憧れ、急速に親しくなっていきます。浜に打ち上げられた鯨のように家にしがみついて離れようとしない母親を抱えるギルバートは、ベッキーと孤独を埋めあうようになるのですね。

しかし、ギルバートの足を止めるのは家庭だけではありませんでした。配達先の富裕層のカーヴァー夫人とはただならぬ仲になって、逃げられなくなります。そんな矢先、カーヴァー氏が不審な水死を遂げて…。

かといって泥沼の三角関係に陥るというわけではなく、あくまでグレイプ一家のファミリードラマに焦点があたっています。けっして家から出なかった母親が、勾留された息子のためについに動く。しかし、アーニーの誕生パーティーにからむいざこざが原因となって、ギルバートは心身ともに追いつめられ家出をしてしまいます。

そのあと母子は和解するのですが、終盤に、街の笑い者にされた母親の尊厳を守ろうとしてとった行動が、なんとも胸に突き刺さります。家族の崩壊と再生を期した旅立ちを迎えたラスト。とてもさわやかな感動を残してくれます。現実にありえそうなことを扱っていて、日本のドラマでもありがちといえばありがちなのですが、これが温かみが感じられるのは、アメリカならでは広大なロケーションと大家族だからではないでしょうか。郊外にぽつんとある一軒家、大草原にまっすぐと伸びた一本道、ペンキの剥げかけているが人を集めてやまない場末のカフェ。人を優しく育てるものがここにはあるのです。
グレイプという名はおそらく「怒りの葡萄」のオマージュではなかろうかと。

主演は「パイレーツ・オブ・カリビアン」シリーズで知られるあのジョニー・デップ。
そして癖のある弟を演じたのは、レオナルド・ディカプリオ。ほかジュリエット・ルイス、ダーレーン・ケイツ、メアリー・スティンバーゲン。

監督は「マイライフ・アズ・ア・ドッグ」「サイダーハウス・ルール」のラッセ・ハルストレム。

(2011年5月30日)

ギルバート・グレイプ - goo 映画

この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 映画「怒りの葡萄」 | TOP | 映画「エリザベス:ゴールデン... »
最新の画像もっと見る

Recent Entries | 映画──社会派・青春・恋愛