陽出る処の書紀

忘れないこの気持ち、綴りたいあの感動──そんな想いをかたちに。葉を見て森を見ないひとの思想録。

氷上のシンデレラ、バンクーバーへ邁進!

2009-12-27 | フィギュアスケート・スポーツ
男子シングルにも増して激戦だった今年の全日本フィギュア女子シングル。とくに最終グループの六人はそうそうたる顔ぶれ。

一番手は表彰台入りで五輪出場を狙いたい中野友加里選手。
フリーの曲目は、おなじみストランビンスキーの「火の鳥」で、序盤に回転のバランスが狂った部分が惜しかったもの、その後はそつなくジャンプを決めて、195点台をマーク。ただ、本人は実力が出せなかったという後悔の表情でした。

二番手はすでに内定者でトリノ五輪経験者の安藤美姫選手。昨夜のSPのモーツァルトの「レクイエム」の荘厳な演技も胸に残ったのですが、なぜか三位と低い評価。フリーはかなり悩殺的に思える衣裳(ラムちゃんに似てる?(笑))で、クレオパトラを演じるも後半に体力がついていかなかったのか、キレが悪く総合四位に。

大きな声援に押されて登場したのは、人気の浅田真央選手。
前日のSPは定番の「仮面舞踏会」をノーミスで踊りきり、グランプリシリーズでの不振をふっきるような会心の演技ではありました。
フリーの曲目は「鐘」。ところが、曲調がまったく違うにもかかわらず、前日の演技の再演をしただけではないか、という気がしました。たしかにいつみても、彼女のジャンプは誰よりも高く目立つのですが、その他の表現面がフリーでは足りなかったのではないか。落ち着いた旋律部分で、勢いつけて跳んでいたり、合っていないような。全体的に動きも遅く、浅田選手らしさがかけたようなできばえ。それでも、ミスはなかったために、204点をジャッジから引き出して、トップに躍り出ます。この時点でもう、彼女のオリンピック内定を誰も疑わなかったでしょう。

四番手は、過去ニ度の五輪出場を経験したベテランの村主章枝選手。しかし若手に比べますと、覇気がありませんでした。終了した時点では、五位。

五番手は、中野選手と二十四歳どうしで初の五輪出場を争う、鈴木明子選手。
この全日本フィギュアがはじまったとき、いやグランプリにエントリーした時点では、おそらく期待の視線はあまりなかったのではないでしょうか。しかし、今日、この舞台で最終的にいちばんの喝采を浴びたのは、他ならぬ彼女でした。
曲はグランプリファイナル初出場にして初表彰台銅メダルを得た、あのレナード・バーンスタインの「ウェスト・サイド・ストーリー」。ヒロインのマリアを臆することなく、情熱的に演じます。一箇所、腰の捻りで失敗して転倒してしまったもの、それを巻き返す完璧なジャンプ・ステップのオンパレード。終わった時には、昨日浅田選手に送られた以上の万雷の拍手とスタンディング・オベーションに迎えられました。
今大会でいちばん自信に満ちあふれていたのは、鈴木選手ではなかったでしょうか。滑る直前の選手の顔色からなんとなく勝敗の行方が占えるものですが、彼女の場合、まったく表情に影がないうえに、鍛えこんだ成果がからだつき、特に肩の肉付きに表れていました。
この演技で、中野選手を僅差で上回り逆転の二位に。もし、あの転倒がなければ浅田選手すら超えていたのではないか、と贔屓目ですが、思ってしまいます。二位の得点が表示されたとたん、思わず涙があふれてしまった鈴木選手は、おそらく苦節の数年を超えての万感の思いがあったのでしょう。

さて、女子シングルのトリを飾るのは、弱冠十五歳のジュニア女王、村上佳菜子選手。
スターティングポジションを間違えてしまい横に移動するすがたが、場内の笑いを誘います。曲は「白鳥の湖」で、姉弟子の鈴木選手に叶わないものの、村主選手を追い抜いて五位につけます。村上選手は、四年前の浅田選手の再来かとばかり注目されてはいるものの、五輪専攻枠にははいらない。それでも、夢の切符をかけてしのぎを削った四強に並ぶ活躍。四年後が期待されますね。

女子シングルの表彰式のあと、バンクーバー五輪代表選手の正式発表。
男子は、高橋大輔・織田信成・織田信成。女子は、安藤美姫・優勝した浅田真央・鈴木明子。
アイスダンス部門は一枠で、キャシー・リード&クリス・リード。

努力家の誉れ高い中野友加里選手も、あの美しい高速のドーナツスピンを五輪で見せてほしかったのですが、惜しいですね。女子で気になったのは、演技中終始笑顔を絶やさなかった武田奈也選手。解説の国分太一くんがご執心のようで(笑)


冬季五輪直前の四大陸選手権(韓国、来年一月二十七日~三十日)と、イタリア・トリノで開かれる世界選手権(三月二十三日~二十七日)の出場選手も発表されました。

【世界選手権】
男子:高橋大輔・織田信成・小塚崇彦
女子:浅田真央・中野友加里・安藤美姫
アイスダンス:キャシー・リード、クリス・リード組

【4大陸選手権】
男子:小塚崇彦・町田樹・南里康晴
女子:浅田真央・鈴木明子・中野友加里
ペア:高橋成美、マービン・トラン組
アイスダンス:キャシー・リード、クリス・リード組



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