陽出る処の書紀

忘れないこの気持ち、綴りたいあの感動──そんな想いをかたちに。葉を見て森を見ないひとの思想録。

アニメ映画「風の谷のナウシカ」

2011-09-01 | 映画──ファンタジー・コメディ
アニメで戦う美少女って今ではもう珍しくないのですが、壮大な世界観で描ききった大作のはじまりといえば、やはり「風の谷のナウシカ」だったんじゃないでしょうか。劇場公開が1984年、なんと今から26年も前の作品。しかし、まったく色褪せていません。デジタル処理したのか、人物の色が濃くなって重い感じがするのが
残念です。色白のナウシカが、土いろに見える~。
それはともあれ、あの背景美術の描きこみには圧倒されますね。

風の谷のナウシカ [DVD]
風の谷のナウシカ [DVD]宮崎駿 おすすめ平均 stars天才映像作家《宮崎駿》氏の代表作。stars問題なしですstarsまた風を感じるためにstars子供の時に鑑賞して想ったことstars宮崎監督 これからも頑張ってくださいAmazonで詳しく見る by G-Tools



この話、おそらく過去なんども放映されていたはずなのですが、きっちり観たことがなく、また観るたびにあらすじを忘れてしまう物語であります。
最後の青い服で黄金の野原に浮かぶシーンだけはありありと思い出せますが、底に至る経緯がいつもすっぽり抜けてしまいます。
人間の生活を脅かす巨大昆虫、のみならず人間どうしの抗争が絡んでいて、複雑になっているんですね。

主人公は勇ましくて慈愛がありながら、時に涙も見せる女の子。島本須美さんの声で急に乱暴な命令口調になると驚きですね。

「もののけ姫」もそうですが、この作品が伝えるテーマというのが、なかなか難しくて読み解けません。環境破壊に対する人間および文明社会への警告? それだけではないような。メッセージとして発しているのですが、キャラの口から押しつけがましく語らせないところがいいですね。

公開当時はまだ、バブル経済のまっただ中。一方で70年代から公害が社会問題としてクローズアップされ、また世紀末終焉観も根強く、冷戦で世界の利益は二分化されていた。人類がかろうじて壊滅を免れながら荒廃した地球でほそぼそと暮らしている、こんなファンタジーはそれこそ当時ならではなのですが。たとえば、むやみやたらな過剰なエコロジーが経済発展を衰退させることがわかりきった現在では、こういう一本気なヒロインやヒーローが、迷いなく進んでいくという物語が生まれにくいのでしょうか。

緊張感をかきたてる音楽の入れ方がかなり、うまいと思わせます。
スタジオジプリを設立したのは、この作品が公開されてから後。「ナウシカ」や「となりのトトロ」「魔女の宅急便」の頃のほうが、本職の声優さんを主演にしていたのでよかったですね。
有名タレントを使えば宣伝になるだろうけど、なにがしかの番組で常時声が聞けるような俳優(特に「ハウルの動く城」の木村拓哉は酷かった)を使うくらいなら、ベテランの声優さんに活躍の場を与えてほしいですね。
アニメーションというのは、絵描きの表現力だけを追求したものでなく、音楽も、声を演じる技能も一体となった総合芸術だと思うんですよね。
ジプリアニメを観るたびに、私はおなじことをほざいてますが(苦笑)

(2010年2月19日)

風の谷のナウシカ(1984) - goo 映画





この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 映画「ニュー・シネマ・パラ... | TOP |   ☆☆☆☆☆ 創 作 小 説 ご 案... »
最新の画像もっと見る

Recent Entries | 映画──ファンタジー・コメディ