『今日の出来心』

シンガーソングライター&作詞家“久保田洋司”の365日書き下ろし公開日記です
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紅の深染めの衣を下に着ば~。 今日の出来心2014年3月17日(月)

2014年03月17日 08時58分43秒 | Weblog

【万葉集巻十一2828】 譬喩(ひゆ)

紅の 深染めの衣を 下に着ば 人の見らくに にほひ出でむかも 

訳)紅の濃染めの衣を下に着たら 人が見ているところで 赤く透けて見えはしないだろうか

赤い下着が、上から透けて見えやしないか、と、心配してるんですね。

これだけ読むと、それだけの歌とも読めるんですが、これが「譬喩」に分類されていますからね、いったい、何のことを歌ってるんでしょう。

「紅の深染めの衣」は、女の比喩。

「下に着ば」は、ひそかに契りを交わしたなら。

下衣の交換が、当時、恋人間におこなわれたそうです。

歌そのものに、男女の関係を思わせる語句はないんですが、こうして裏の意味を見ますと、恋の真っ最中ですね。

二人の恋、まわりにわかってしまわないだろうか、みたいなことですが、深く染めた衣を下に着ているというのが、なんとなく、思いの深さを感じられるような気もします。

これは、、「譬喩」として、うまくいっている例。

では、これは。

【万葉集巻十一2829】

衣しも 多くあらなむ 取り替えて 着ればや君が 面忘れたる

訳)衣ならいくら多くてもよいもの つぎつぎ取り替えて着ていらっしゃるせいでしょうか あなたがわたしを見忘れるとは

衣の歌だと思っていたら、途中から「あなたがわたしを見忘れる」と、一貫性がなくなります。

「衣」は女の比喩。

次から次へ女を取り替える、ということが言いたかったのが、もう、衣の話にしておけなくなっちゃった。

これは、「譬喩」としては、ちょっとおしい。

服は、たくさんあっていいね、次々取り替えられる、あなたは、私を忘れちゃう。

「譬喩」でなければ、これでも面白いですが、

「譬喩」なら、

服は、たくさんあっていいね、次々取り替えられる、どんな服があったか忘れちゃう。

と、ま、稚拙ですが、全体を服の話にしておけばよかったところでしょうか。

さて、久保田洋司、本日は、朝、すでに個人練習をし、これから、杉真理さんのレコーディングを見学に行ってきます。

素敵な一日になりますように。

美しい明日へ心をこめて歌っています。

洋司