(21) 「蝦夷・蝦夷地・アイヌ」の描き方のちがい -2-
ⅱ 基礎知識 ~<ウィキペデア:アイヌ>より~
情報量が多いので、ここⅱでは、《最低限の基本的な知識》 と、《前回の疑問1・2に関する部分》 を紹介する。
残りは、ⅲ以降の各時代における記述を比べるときに、必要に応じて引用する。
・「アイヌは、北海道・樺太・千島列島およびロシア・カムチャツカ半島南部にまたがる地域に居住していた。母語はアイヌ語。現在、日本とロシアに居住する。
アイヌは、元来は物々交換による交易を行う狩猟採集民族である。文字を持たない民族であったが、生業の毛皮や海産物などをもって、現在のロシアのハバロフスク地方アムール川下流域や沿海州そしてカムチャツカ半島、これらの地域と交易を行い、永く、このオホーツク海地域一帯に経済圏を有していた。
1855年2月7日(安政元年12月21日)の当時のロシア帝国との日露和親条約での国境線決定により、当時の国際法の下、各々の領土が確定した以降は、大半が日本国民、一部がロシア国民となった。21世紀初頭の現在、日本国内では、北海道地方の他に首都圏等にも広く居住している。」
1878年(明治11年)、イギリス人旅行家・イザベラ・バードが北海道の日高地方でスケッチしたアイヌ民族の男性。
【疑問1 「アイヌ」は「民族」なのか? → そのとおり。
・「自然人類学から見たアイヌは、アイヌも大和民族も、縄文人を基盤として成立した集団で、共通の祖先を持つとされる。」
・「アイヌは古モンゴロイドに属し、周囲のモンゴロイドと大きく異なる形質を持っており、人種的にはアイノイド(Ainoid)と呼ばれる。」
・「遺伝子調査 近年の遺伝子調査では、アイヌとDNA的にもっとも近いのは琉球民族で、次いで大和民族であり、大和民族とアイヌ人の共通性は約30%程である。
他の30人類集団のデータとあわせて比較しても、日本人(アイヌ、琉球民族、大和民族)の特異性が示された。
これは、現在の東アジア大陸部の主要な集団とは異なる遺伝的構成、おそらく縄文人の系統を日本列島人が濃淡はあるものの受け継いできたことを示している。
アイヌ集団にはニヴフなど大和民族以外の集団との遺伝子交流も認められ、これら複数の交流がアイヌ集団の遺伝的特異性をもたらしたとされる。」
※独自の「アイヌ語」と宗教をもち、身体的、文化的にも独自性をもっていたのだから、「民族」と言える。
【疑問2】 「アイヌ人」とは言わないのか? → 言ってよい。
世界中どの○○民族も、「○○人」と呼ばれている。したがって、「アイヌ民族」も「アイヌ人」と呼ばれるのが普通だろう。。
ではなぜ私たち日本人の日常会話の中で「アイヌ人」という言葉が使われていないのか・・・①アイヌ人は明治維新前後から急速に「和人(日本人)」と同化(混血により身体的にも文化的にも)したから、②純粋のアイヌ人はとても少ない(いない?)から、③「アイヌ」という言葉ですんでしまうから、などが原因だろう。
~次回、「古代」~
<全リンク⇒1へ> <(21)蝦夷・蝦夷地・アイヌ 277・278・279・280・281・282・283・284・285・286・287・288・289・290・291・292・293・294・295(アイヌの項:完)>