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風呂敷を解きまた畳み冬座敷 龍澤清

2017年02月01日 | 俳句
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龍澤 清
風呂敷を解きまた畳み冬座敷
風呂敷と言う便利な物があった。近頃は様々な鞄類が出回って影を潜めているが、どうして根強い愛好家があって消滅はしない。何しろ伸縮自在で包む中身に対して万能の形状対応をなす。箱物だろうが一升瓶だろうが何でもござれである。掲句の場合は座敷に持ち込まれた贈答品だろうかひょっとすると美術工芸品かも知れぬ。丁寧に荷を解かれ差し出された後おもむろに風呂敷が畳まれた。差し出す者と受け取る者が対座して座敷はしんと静まっている。そう言えば小生も戦後間もなく唐草の風呂敷を背負って運び屋のバイトをしたっけ、遠い昔だ。:俳誌「百鳥」(2016年3月号)所載