A DAY IN THE LIFE

好きなゴルフと古いLPやCDの棚卸しをしながらのJAZZの話題を中心に。

サドメルのシングル盤があるのをご存じですか?

2014-12-05 | Thad Jones & Mel Lewis & VJO
The Complete Solid State Recording of the Thad Jones / Mel Lewis Orchestra

12月に入り、寒さが一段と厳しくなったが、このような季節には南国ゴルフということで、仲間と沖縄にゴルフに出かけた。現役時代は此の時期ハワイ合宿をよくしていたが、久々の南国ゴルフ。着いた日には27度と真夏の暑さ、ゴルフはやはり、半袖、短パンと、喜んだのもつかの間。いざプレー日となると一転冷たい雨、そして台風並みの暴風に。翌日は雨が上がったものの、冷え込んで「南国ゴルフ」を満喫という訳に行かなかった。天気にもめげず調子は上々、久々に楽しいゴルフを満喫できた。

10月からビッグバンドの素晴らしいライブが続く、10月にはゴードングッドウィンとヴァンガードジャズオーケストラの東西名門のそろい踏み。11月はボブミンツァーと続き、12月にはマンハッタンジャズオーケストラに、今年2度目のカウントベイシーと続く。日本のバンドも負けじとライブは数多く行われている。
予定が合わずになかなかすべては行けてはいないが、中で良かったのが、
Mika Brasil Big Band。ラテン物はこれまであまり聴く機会が無かったが、自分にとっては新たな世界が広がった。

小林正弘One Night Jazz Orchestraはサミーネスティコの特集。昨年のクインシージョーンズの来日時は、クインシーのビッグバンドを演じていたが、今回はネスティコ。昔のベイシー物を期待してきたファンもいたようだが、新しいものも含めてこれも楽しめた。

有名アレンジャー物の手掛けた作品の演奏をいつも楽しませてくれるのが辰巳哲也ビッグバンドだが、今回はフィンランドのエーロコイヴィストイネン。UMOオーケストラの創始者の一人という事だが、昔サドジョーンズが加わったアルバムしか聴いた事が無かった。確かにメンバーの一人として参加していたが、それ以外はアレンジもプレーも聴いた事が無かった。興味津々で出掛けてみたが、これがまた素晴らしかった。コルトレーンの世界をフリーではなく綺麗にビッグバンドに仕上げるとこうなるのかという感じで聴き応えがあった。なかなか聴けない物を提供してくれる辰巳さんの努力には頭が下がる。

当日の演奏はこちらで。↓



スイング時代はビッグバンドが主役。ビッグバンド物のヒット曲が当たり前であったが、モダンジャズの時代になってジャズはヒット曲とは無縁の存在に。シングル盤はヒット曲の代名詞のようなもので、POPSの世界ではアルバムからシングル盤が生まれ、シングルヒットをきっかけにアルバム作りが行われることが多い。

しかし、ジャズのシングル盤というのはあまり聞かない。リーモーガンのヒット曲「サイドワインダー」はアルバムから後にシングルカットされたというが、これはジュークボックスにかけるにはシングル盤が必要だったからという。我々世代は、ヒット曲というとラジオというイメージがあるが、昔のアメリカではヒット曲とジュークボックスも不可分であったようだ。

その中で、あのサドメルのオーケストラもオリジナルのシングル盤を一枚だけ作っている。彼らのアルバムは大体紹介しつくしたかと思ったら、このシングル盤が残っていた。といっても、その実物は見た事も、聴いた事もないのだが・・・・。

1967年サドメルのオーケストラは前年の2月の旗揚げ以来順調に活動を続け、ビレッジバンガードへの毎週月曜日の出演以外にもライブやコンサート出演の機会が徐々に増えていった。となると、忙しいメンバーが多いこのオーケストラにとっては、代役が必須となった。

立ち上げ時から、バリトンのペッパーアダムスの代役はマーヴィンホラディであったが、他にも例えば、ベースのリチャードデイビスに替わってロンカーターが代役を務めることも。サックスの要、アルトのジェロームリチャードソンのサブ(代役)はフィルウッズであった。この二人が収まった写真も残っている。このメンバーでのプレーも聴いてみたいものだが・・・



1月13日リーモーガンのセッションを終えたペッパーアダムスは、24日にA&Rスタジオに招集がかかった。録音と聞いて集まったものの、リーダーから渡された新しい譜面は一枚。3分足らずの短い曲だった。もう一枚は、メンバーのガーネットブラウンが用意したエリントンのソフィストケイテッドレディー。この2曲でシングル盤を作るというセッションであった。

当然、「何故作ったの?」という話になるが、真相はこのようなことだったようだ。

サドメルはソリッドステートというフィルラモンが立ち上げた独立レーベルでデビューしたが、このソリッドステートがメジャーのユナイテッドアーティスト(UA)の傘下に入る。
この(UA)が1966年に公開した「ハワイ」という映画があった。この主題歌がアカデミー賞にノミネートされたという話が伝わってきた。それを聞いたサドジョーンズが、であればこの曲のカバーのビッグバンド版を早い所作ってひと儲けしようということになった。バンド自体も知名度が上がって来たし、これで一気に有名になれるかもと捕らぬ狸の皮算用をしたという訳だ。では、善は急げという事で、賞の発表前に慌ただしく録音セッションがセットされたという次第であった。

この日、トラとしてサックスセクションにはフィルウッズ、トランペットにはマービンスタムが参加していた。
実は、この録音に関して、詳細なパーソネルの記録は残されていなかった。
関係者のヒアリングなどによりこの録音のメンバーに関しては、ペッパーアダムスの年表にも以下のように記されている。

Jan 24: New York: Thad Jones-Mel Lewis Orchestra date for Solid State. For personnel, see 4-6 May 1966; Marvin Stamm replaces Bill Berry, Phil Woods replaces Jerome Richardson, Roland Hanna replaces Hank Jones.

タイトル曲自体は、ゆったりとした特徴の掴みにくい曲だがが、そこはサドジョーンズの筆にかかると見事なアンサンブルに仕上がった。もう一曲の、ガーネットブラウンのアレンジのエリントンナンバーも珍しいアレンジだ。ボサノバ調と4ビートが混ざる、エリントンのオリジナルとは異なる軽快な曲。サックスセクションとトロンボーンセクションのアンサンブルが特徴的だ。短い曲だがペッパーアダムスのバリトンのソロも良い感じである。







予定の2曲が終わったところでもう一曲、ブルックマイヤーのアレンジによるウイローツリーをやることになった。この曲は他にはライブ録音しかないが、これと較べるとリチャードデイビスのソロは無く、サドジョーンズもフリューゲルホーンを使っているなど違いは大きい。フルートリードのクラリネット4本のアンサンブルがスタジオ録音のお蔭で綺麗に聞こえる。

そして、いよいよアカデミー賞の発表の日を迎えるが、「ハワイ」は残念ながら受賞を逃す。予定通りシングルはリリースされたが、何も話題にはならず、幻のシングルとなったようだ。

もちろん、このシングルが再発されることはまずないと思うが、Mosaicのサドメルのソリッドステートコンプリートアルバムにはこの3曲も収められおり、それで聴く事はできる。これには、他のアルバムの未発表曲やCD化されていないアルバムも収められているので、サドメルマニアにはお勧めかもしれない。
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ニューポートでの再会を機に、すぐにレコーディングとはなったものの・・・

2014-11-05 | PEPPER ADAMS

Presenting Joe Williams and the Thad Jones / Mel Lewis Jazz Orchestra / Joe Williams



ペッパーアダムスは9月22日のスタンレータレンタインのアルバムの録音の後、9月30日にはこのアルバムにも参加している。アダムスの出番はCome Sundayで少しだけだが、さて、どういう経緯でこのアルバムが生まれたかというと・・・。

1966年に誕生したサドジョーンズ・メルルイスオーケストラは、毎週月曜日にヴィレッジバンガードに出演を続け、あっと言う間に世の中に知れ渡ることになる。そして、トントン拍子にその年のニューポートジャズフェスティバルへの出演も決まり、7月2日の夜の部のトリを務める。



当時のプログラムを見ると、メルルイス・サドジョーンズオーケストラとなっており、ボブブルックマイヤーとハンクジョーンズが共演となっている。当時のメンバーの知名度の一端を表しているようだ。そしてそこに、共演ジョーウィリアムの記述も。
蛇足ながらゲッツにアル&ズート、そしてジェリーマリガンの加わったハーマンオーケストラにも惹かれる。

さらに、記録を見ると、その時演奏された曲は、
The Second Race
Willow Weep for Me
The Little Pixie
Big Dipper
に続いて
Come Sunday
Jump for Joy
Roll ‘em Pete
と続く。

この3曲でジョーウィリアムの登場となった。

サドジョーンズとジョーウィリアムは長年カウントベイシーオーケストラで一緒にプレーした間柄、それも50年代後半の全盛期アトミックベイシー時代を一緒に過ごした旧知の仲である。出演が決まったサドジョーンズがジョーウィリアムスリアムスに声を掛けたのか、主催者のジョージウェインが2人のマッチメイクをしたのかは定かではないが、久々のビッグバンでの共演であった。

5月にサドメル初のスタジオ録音を終えてニューポートの舞台に臨んだが、このニューポートの共演で2人は早速レコーディングを思いついたのだろう。早々に9月30日にこのレコーディングは行われた。

このアルバムは、以前紹介したこともあるが、サドメルのアルバムの一枚という位置づけでもあるが主役はジョーウィリアムス。ウィリアムスにとってもベストアルバムの一枚になるのではないかと思う。ジョーウィリアムスがベイシーオーケストラに入った時から、自分をブルース歌手とは規定することは無く、スタンダードやバラードもレパートリーに加えていた。ここでも全編ブルース色が強いが、あくまでもジャズ歌手というジョーウィリアムスの良さを引き出している。もちろんそれはサドジョーンズのアレンジの秀逸さによるものだ。

当時メンバーの一員であったエディダニエルスは後に当時を振り返って、「月曜日は夜中の3時近くまでヴァンガードで演奏をした後で、そのままスタジオ入りして一日仕事が続き、翌朝になってしまうのは日常茶飯事。時には更にもう一晩続いて次の日の夜が明けることもあった。この録音もそんなセッションのひとつであったと。」
「さらに、何せジョーンズがこのアレンジを始めたのはヴァンガードの仕事が終わってから、写譜屋さんを従え突貫作業で仕上げていった。ジョーンズはこのようにプレッシャーを受ける中での仕事を好んでいたようだ。」と。

事実、サドジョーンズはペッパーアダムスの送別アルバムでもあったモニカジタールンドのアルバムのアレンジを移動中のバスの中で行ったという。典型的なギリギリにならないと仕事をやらないタイプだったのだろう。



記録によるとこのアルバムのレコーディングは9月30日に行われたとある。この日は金曜日、最後の曲Woman's Got Soulのセッションを録り終ったのは土曜日の朝、この後皆でコントロールルームで聴き合ったともライナーノーツに書かれている。
ダニエルスの記憶のようにこのセッションが月曜日の夜から延々続いたということは流石にないとは思うが、アレンジが出来上がった所から片っ端からリハーサルもそこそこで12曲一気にレコーディングが行われたというのは事実であろう。

その事実を知ると、余計にこのアルバムのジョーンズのアレンジとウィリアムのコンビネーションを素晴らしく感じる。アレンジは明らかにベイシーオーケストラのバックとは異なり、ソプラノリードのサックスなどサドメルの味がする。
さらに、ダニエルスもそれを「CAMEO」とコメントしているが、バックのメンバー達が入れ替わり立ち代わり歌とアンサンブルの合間に綺麗な装飾のように輝く短いソロやオブリガードを散りばめられているのが素晴らしい。また、後にサドメルではレギュラー構成から外されたフレディーグリーンライクのサムハーマンのギターもここでは効果的だ。このアルバムからピアノはハンクジョーンズからロランドハナに替わっているが、そのハナのピアノもソウルフルにツボを得たバッキングだ。



ジョーウィリアムはベイシー時代、新しい曲をやりたいと思うと、アーニーウィルキンスやフランクフォスターにアレンジを頼んだそうだ。ベイシーオーケストラ時代、サドジョーンズのアレンジはダメ出しされる事が多かった。ウィリアムスも頼み辛かったのかもしれないが、ここでは、サドジョーンズのお蔭で新境地を開いているような気がする。



1. Get Out of My Life Woman" (Toussaint) -- 3:21
2. Woman's Got Soul (Mayfield) -- 2:22
3. Nobody Knows the Way I Feel This Morning  (Delaney, Delaney) -- 4:30
4. Gee Baby, Ain't I Good to You  (Razaf, Redman) -- 2:52
5. How Sweet It Is (To Be Loved by You)  (Dozier, Holland, Holland) -- 2:32
6. Keep Your Hand on Your Heart  (Broonzy) -- 3:37
7. Evil Man Blues (Feather, Hampton) -- 3:26
8. Come Sunday (Ellington) -- 3:16
9. Smack Dab in the Middle  (Calhoun) -- 3:29
10. It Don't Mean a Thing (If It Ain't Got That Swing)  (Ellington, Mills) -- 3:04
11. Hallelujah I Love Her So  (Charles) -- 3:01
12. Night Time Is the Right Time (to Be With the One You Love)" (Sykes) -- 5:13

Joe Williams -- vocals
Thad Jones -- flugelhorn
Mel Lewis -- drums
Richard Williams -- trumpet
Bill Berry -- trumpet
Jimmy Nottingham -- trumpet
Snooky Young -- trumpet
Bob Brookmeyer -- trombone
Garnett Brown -- trombone
Tom McIntosh -- trombone
Cliff Heather -- trombone
Jerome Richardson -- saxophone
Jerry Dodgion -- saxophone
Joe Farrell -- saxophone
Eddie Daniels -- saxophone
Pepper Adams -- saxophone
Richard Davis -- bass
Roland Hanna -- piano
Sam Herman – guitar

Produced by Sonny Lester
Recording Engineer : Phil Ramone
Recorded on 1966 September 30, at A&R Studio New York City




Presenting Joe Williams & Thad Jones/Mel Lewis
Joe Williams
Blue Note Records
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連夜の歴史的なライブにメンバーの多くは疲れ果てたのではないかと・・・・

2012-01-14 | MY FAVORITE ALBUM
Profiles / Gary McFarland

1966年といえば日本ではビートルズが初来日した年。その年の2月6日、日曜日の夜、翌7日月曜日にサドメルオーケストラの初ライブを控えた、ボブブルックマイヤーやジェロームリチャードソン、ジェリーダジオン、そしてスヌーキーヤング、ダニームーア、さらにはベースのリチャードデイビスなどなど・・各セクションの主要メンバー達が、続々とマンハッタンのブロードウェイに面したリンカーンセンターのフィルハーモニックホールに集結していた。ここは言わずと知れたニューヨークフィルの本拠地、クラッシク音楽のホームグラウンド。エヴリフィッシャーになってからも音響の悪さで昔からすったもんだしていた所だが、ジャズクラブに較べると桁違いの観客が入れる大ホールだ。

ところが、この日のイベントはクラッシクではなく、アレンジャー、ゲーリーマクファーランドのコンサートだった。当時新人アレンジャー達の中で、オリバーネルソンやラロシフリンなどと並んでクローズアップされていた新進気鋭のマクファーランドの作品のお披露目コンサートだった。よくある過去のアルバムで演奏された曲のライブでのお披露目でもなく、定期的に開かれているジャズコンサートにマクファーランドが出演したわけでもない。その日は一夜限りの彼の新作の発表の場であった。その日のために、ニューヨークのトップレベルのミュージシャンに声が掛かった。というわけで、サドメルオーケストラのメンバーの多くにも声がかかった次第だ。特に、木管系の楽器を多用するので各種の持ち替えが効くミュージシャンとなると、人選にも苦労したと思われる。ジェロームリチャードソンなどは、このコンサートのために9種類の楽器を持ち込んだとか。これだけ肝いりで開かれたコンサートなので、リハーサルにも4日もかけたそうで、忙しいメンバー達を拘束するのはさぞかし大変だったであろう。

8時に、VOAのジャズアワーのアナウンサー、Willis Conoverの司会で幕を開ける。



彼のMCの中でも「プランされたものと自然発生的なものに乞うご期待」との一言が入る。
確かに、全編彼らしいアンサンブルが聴き所だがその間のソロもとって付けた様なソロではない。反対にソロを生かす事を思い描いたオーケストレーションとも言える。
彼の作品には自然の風物を題名にした曲が多い。最初の曲も”Winter Colors”と命名された組曲風の曲だ。作編曲もこの題名を十分に意識して書かれたものだろ。他のアレンジャーとは曲作りの取り組み方も違うのかもしれない。次の“Willie”は前の年の夏交通事故で亡くなってまもない友人のトロンボニストのウィリーデニスに捧げた曲。次の“Sage Hands”はサックスセクションのプレーヤーをクローズアップした曲。ピターガンのイントロに似た感じで始まる”Bygones & Boogie“は彼が子供の頃聞いてお気に入りであったブギウギをイメージしたとか。最後の”Milo's other Samba”はボサノバジャズの世界ではひとつの世界を作ったマクファーランドの世界をアピールしている。とにかく多彩な曲想、そして色々な木管を組み合わせた響き、それに合わせた一流どころのソロと、あっという間に終わってしまうが残りの録音が無いのか気になるところだ。

‘ボサノバブームに乗って一躍有名になったが、彼の原点は幅広く色々な音楽を取り入れ、色々な表現をするということに尽きる。初期のアルバムにはアニタオデイのバックもあったが、その後どちらというと軽いノリのアルバム作りに参加することが多かった。このアルバムのように真正面から取り組んだ作品は聴き応えがある。
このコンサートを企画したのはNorman Schwartz。後に、Sky, Gryphonでマクファーランドとはタッグを組む。また、コルトレーンの全盛期にこのようなライブをアルバムにしてラインナップに加えたBob Thieleの度量には感嘆する。

独自の世界を展開させ将来を嘱望されたマクファーランドだが、このアルバムを録音してから5年後、1971年にニューヨークのバーで毒を飲んで(飲まされて?)亡くなってしまう。詳しい状況は発表されていないようだが、これからという時に何とも残念。もし生きていればというのは、早く逝ってしまったジャズの巨人の残された作品を聴くといつも思うことである。



Gary McFarland Conductor, Marimba, Vibraphone

Bill Berry    Brass
Clark Terry    Brass
Bob Brookmeyer  Brass
Joe Newman    Brass
Bob Northern   Brass
Jimmy Cleveland  Brass
Jay McAllister  Brass
Phil Woods    Reeds
John Frosk    Brass
Bernie Glow    Brass
Richie Kamuca   Reeds
Jerome Richardson Reeds
Zoot Sims     Reeds
Richard Davis   Bass
Gabor Szabo    Gutar
Sammy K. Brown  Gutar
Joe Cocuzzo    Percussion
Tommy Lopez    Percussion

All Songs Composed By Gary Mcfarland
Willis Conover Narrator
Produced by Bob Thiele
Engineer : Rudu Van Gelder
Recorded live at Lincolin Center's Philharmonic Hall on Feb.6, 1966



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違う世界への憧れは誰でも同じ・・・

2008-04-03 | MY FAVORITE ALBUM
OKLAHOMA TOAD / DAVE FRISHBERG

カーメンマクレーがフュージョンにチャレンジしたアルバムを久々に取り出して聴いたが、もう一枚同じようなアルバムを思い出した。
CONCORDでもピアノで登場するDave Frishburg
ピアニストとしてだけではなく作詞家としても活躍していた。そして、時折、歌を聞かせてくれる。本格的な歌というよりは、ピアノの弾き語りの軽いタッチで。
Concordのアルバムでもその歌を披露しているアルバムがあったが。

71年に西海岸に来る前には、ニューヨークで歌手の伴奏をしたり、AL&ZOOTのグループなどでも活動してが、その時、全く毛色の違うアルバムを出している。あのCTIレーベルからだ。ジャズファンよりはどちらかというとソフトロックのファン向けに、カエルのジャケットで知られているアルバムだ。
実は、これがフリッシュバーグのリーダーとしてのデビューアルバムである。マルチタレントのフリッシュバーグとしては、歌手としての可能性に掛けてひとつ勝負に出たのかもしれない。それも、CTIの路線に乗って一般受けするポピュラーな路線で。

当然のように、CTI特有のエレキピアノを使った、コンテンポラリーなリズム。オーバーダビングを多用したフュージョンの奔りのようなアルバム作りである。
いつもの(というよりその後のという方が正しいが)フリッシュバーグのヴォーカルとは大分違った味付けだ。
このアルバムに収められている"Van Lingle Mungo"は野球の応援歌としても有名になった。ソフトロックファンには受け入れらたようであるが、その後が続かなかった。
そして、71年に西海岸に移ってからは、Concordでお馴染みのスタイルにすっかり戻っていた。

フリッシュバーグもそのままCTIの路線を続けていたら別の人生を歩んでいたかもしれない。ジョージベンソンのように。彼自身がそのアルバムの出来栄えを見て、その後その路線を選ばなかったのか、あるいは選べなかったのか・・・・? それは彼しか分からない。
十分に有名になっていたマクレーが違う世界へのチャレンジするのと、まだまだ無名であったフリッシュバーグの挑戦では全く置かれた環境は違ったが。しかし、大物であれば常に新しい世界へ挑戦しようという想いはいつも持っているのだろう。
凡人はひとつのこともなかなか出来ないのに。羨ましい限りだ。

1. One Horse Town
2. Van Lingle Mungo
3. The Secret Of Success
4. Oklahoma Toad
5. The Prophet Of Doom
6. Rocky Mountain Water
7. You Can’t Go
8. Wallfower Lonely, Cornflower Blue
9. Nasty,Nasty Habit
10. I Don’t Believe

Produced by David Rosner

Dave Frishberg (p,org,elp,clavinet, vocals)
Herb Lovelle (ds)
Stuart Scharf (g)
Russell George (b)
Al Corn (ts)
Sol Schinger (bs)
Garnett Brown (tb)
Bill Berry (tp)


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色々なイチゴの味があるが、今回のショートケーキの味付けは如何に・・・?

2008-02-04 | CONCORD
Shortcake / Bill Berry

美味しそうなショートケーキがジャケットに映っている。甘党の自分にとっては、思わず引き寄せられる写真だ。
日本で、ショートケーキというとスポンジケーキにイチゴとホイッピングクリームで綺麗にデコレーションしたケーキを思い浮かべてしまう。どうやらこれは日本独特のもの。
本来はサクサクしたビスケット状のケーキをクリームで混ぜたものらしい。
写真のショートケーキもそんな感じがしないでもない、アメリカのケーキは甘すぎるが果たしてどんな味であろうか?

ビル・ベリーというトランペット奏者。ハードバップ系のジャズファンにはあまり馴染みはないとは思うが、デビュー当時からビッグバンドとの付き合いが長い。
最初はお決まりのハーマンやファーガソンのオーケストラからスタート。61年からエリントンオーケストラのレギュラーを努めて頭角を現し、ニューヨークを拠点として活躍していた。あのサド・メルのオーケストラに結成時(1966年)から参加することになる。

そして、71年の”Tonight Show”の引越しで西海岸に移ってきた。そこで、自分のビッグバンド以外にも、ジャガーノート、ルイベルソンなど多くのバッグバンドに参加している。根っからのビッグバンド好きなのだろう。西海岸でのビッグバンドでは常連だ。そして、スイング系のノリのコルネットの演奏でConcordのセッションにも数多く参加している。
そんな経歴なので自分のブログの記事にはよく登場する。特に熱狂的なファンとして追っかけをしているわけではないのだが。自分の好みに近いところに位置するプレーヤーということだろう。
女性でいれば別に恋人というわけでもないが、よく気があって一緒に遊びにいくような関係かもしれない。

今回は、そのビル・ベリーが自らリーダーとなって「スモールコンボ」を率いたのがこのアルバム。いつもはビッグバンドで、他人がリーダーへの参加も多いのだが。
リーダーとして、小編成におけるビル・ベリーの想いというものが始めてアピールされたアルバムだ。

このアルバムでベリーはバックに2つのグループを作った。
マンデルロウのギターとデイブフリッシュバーグのピアノを入れたカルテット。そして、マーシャルロイヤルのas、ルータバキンのts、ビルワトラスのtbの3管を加えたセプテットを。曲も、スタンダード曲に加えて自分の曲も加えて。
そして、「スタイルと雰囲気は?」というと、カルテットをバックにしたコルネットの演奏はスイングの良き時代を思い起こさせる演奏。マンデルロウとフレッシュバーグのピアノの絡み方が絶妙。管を加えた演奏はやはりエリントンサウンドだった。
ロイヤルガーデンブルースは遥か昔の20年代を思わせるオリジナルディキシーランドジャズバンドの趣で。
やはり、ビッグバンドでは色々なスタイルをこなしていたが、ビル・ベリーのコルネットプレーの原点はこの辺りだったのかと納得させられる演奏だ。

気になる女性から、「実はこんな関係を望んでいたの」と告白されたような感じがする。
色々混ざったショートケーキだが美味しいイチゴが盛りだくさん。クリームの味付けもあまりしつこくなく最高の味付けだ。

1, Avalon                  DeSylva, Jolson, Rose 4:27
2. Betty                   Berry 3:07
3. Bloose                  Berry 7:26
4. I Didn't Know About You       Ellington, Russell 4:50
5. Royal Garden Blues          Williams, Williams 4:46
6. Moon Song               Coslow, Johnston 4:26
7. I'm Getting Sentimental over You Bassman, Washington 3:56
8. I Hadn't Anyone Till You       Noble 4:47

Bill Berry (Cornet,vibe)
Marshall Royal (sa,cl)
Lew Tabackin (ts.fl)
Bill Watrous (tb)
Alan Broadbent,Dave Frishberg (p)
Mundell Lowe (g)
Monty Budwig,Chuck Berghofer (b)
Frank Capp,Nick Ceroli (ds)

Puroduced by Carl Jefferson

Originally released on Concord CJ-75, 1978

Shortcake
Bill Berry
Concord Jazz

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スイングする重戦車が西海岸を驀進・・・・

2008-01-26 | CONCORD
The Capp / Pierce Juggernaut Featuring Joe Williams Live At The Century Plaza

ジャガーノート、ジャガナート (juggernaut) は、止めることのできない巨大な力、圧倒的破壊力の意味を持つという意味だそうだ。イギリスでは巨大な重量を持つトラックの意味にも使われているとか。そもそも、「ジャガーノート」の語源はヒンドゥー教のヴィシュヌ神の八番目の化身であるクリシュナの異名、ジャガンナート (Jagannāth) である。

このバンドが結成されたのは1975年。
バディーリッチやウディーハーマン、メイナードファーガソン、サド・メルそしてドンエリスのオーケストラなどが活躍はしていたが。みな徐々に現代風に衣替えをしていて、昔懐かしいビッグバンドサウンドとは違った趣になっていた。

その中に突然登場したこのオーケストラ。コンセプトは徹底的に楽しいバンド。ベイシーであり、昔のハーマンであり、そのスタイルを徹底的にコピーした。
首謀者は、ドラムのフランキーキャップとピアノのナットピアース。キャップはケントンオーケストラでシュリーマンの後釜を努める。ピアースはハーマンのバンド出身。
メンバー達は、それができるベテラン中心。重戦車になる要素はすべて揃った。

演奏する曲も、ピアスの曲以外にも2人が50年代から集めていた多くのアレンジを使った。
このアルバムにも、アルコーンが60年代にハーマンバンドのために書いて没になった“TARRAGON”という曲も収められている。
それで、戦闘準備は整った。

1曲目は、40年代を思わせるリフスタイルのよくスイングする曲。次のピアースの曲はそのままベイシーのオーケストラになりそう。リズムセクションが素晴らしい。そして、ベニーカーターの”SOUVENIR”は色々なプレーヤーが演奏しているが、ここではロイヤルが、亡きリッチーカムカに捧げたアルトプレーが見事だ。

重戦車が軽快に驀進する。

ライナーノーツの書き出しに、「このバンドの楽しいスイング感で席を放り出されないようにシートベルトをつけて下さい」との一言が。これが、このオーケストラの特徴を表している。

Concordで2枚目のアルバムになるが、前作に続いて今回もライブ録音。
おまけに、ゲスト歌手がジョーウイリアムス。ホテルのホールで聴衆を相手にしたライブ特有のノリで張りのある喉を披露する。バックは当然のようにベイシーオーケストラの様相を呈する。

昨今、日本では「偽表示問題」が毎日のようにニュースネタになっているが、本物の元気が無い時にこのような「偽物」は大歓迎だ。メンバーには、ウェストコーストジャズ全盛期に活躍したボブクーパー、ベイシーオーケストラで活躍したマーシャルロイヤル、他のメンバーも皆西海岸のつわもの揃いなので中身は「偽者」ではなく本物だ。

1. Fiesta in Brass              Mundy 3:44
2. Basie's Deep Fry             Pierce 5:21
3. Souvenir                 Carter 4:01
4. Capp This!                Pierce 4:54
5. Tarragon                 Cohn 4:45
6. Swing Shift                Clayton 4:25
7. Joe's Blues                Williams 10:43
8. What the World Needs Now Is Love     Bacharach, David 2:18

Carl Jefferson Producer

Nat Pierce (p)
Frank Capp (ds)
Al Aarons , Bill Berry , Bobby Shew , Frank Szabo (tp)
Garnett Brown , Buster Cooper , Alan Kaplan , Britt Woodman (tb)
Bob Coope , Marshall Royal , Bill Green , Lanny Morgan , Herman Riley (sax)
Ray Pohlman (g)
Chuck Berghofer (b)
Joe Williams (Vocals)

Recorded Live at the Century Hotel Plaza, Los Angels
Originally released on Concord CJ-72 , Jul 21, 1978

The Live at the Century Plaza
Frank Capp,Pierce Juggernaut Band with Joe Williams
Concord Jazz

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本当のデビュー作・・・後から発掘されることがよくあるが?

2007-11-20 | Thad Jones & Mel Lewis & VJO
Opening Night / Thad Jones & Mel Lewis big Band

タレントがメジャーデビューする以前に、隠れデビューしていることがある。場合によっては芸名も違って。デビュー後、徐々に有名になると、過去の経歴や埋もれたままの幻のデビュー作が陽の目を見ることに。

マンハッタントランスファーも、アトランティックレーベルでのデビュー作の前に、前身のグループでのアルバムがある。ランバートヘンドリック&ロスしかり
サドジョーンズ&メルルイスのオーケストラのデビュー作は、ソニーレスターが設立した当時の新興レーベルであるソリッドステートレーベルの「PRESENTING」といわれていた。

ところが、本当のファーストアルバムが、2002年になってから発売された。
“Presenting”に先立つ2ヶ月前、1966年の2月7日、サドメルのオーケストラが、本拠地のVillage Vanguardに出演した時のライブ。これぞ本当の初演であり、初アルバムだ。

評論家のアラングラントは、ニューヨークのFM局WABC FMで、”Portraits in Jazz”という番組を持っていた。ジャズクラブからのライブ演奏を売りにしていたそうだ。

サドジョーンズとメルルイスがペッパーアダムスを加えたクインテットでHalf Noteに出演していた時、アランがたまたまこの演奏を聴きに訪れた。そこで、メルルイスから、「実は18人編成のオーケストラのリハーサルをA&Rスタジオでやっている」という話を聞く。
さっそくリハーサルを聞きに出掛けたアランは、ニューヨーク在住の有名ミュージシャンを集めたそのオーケストラの演奏を聴いて、その素晴らしさにただ驚くばかりであった。
その演奏を皆に聴かせようと、ヴィレッジバンガードのオーナー、マックスゴードンに相談を持ちかける。とんとん拍子に話が進み、初出演の日が2月7日と決まった。
手作りのチラシを作ってコンサートの案内をしたものの、お客の入りはあまり期待していなかったとか。
ところが、いざ蓋を開けてみれば階段までお客で一杯。店外の行列は隣のブロックまで続くという大成功。こうしてサドメルの初演が拍手喝采の元に無事終了。
その後Monday Nightのレギュラー出演に続いていったそうだ。

この演奏の模様をFM放送用に収録したテープが残っていて、陽の目をみたのがこのアルバム。サドメルファンにとっては、「こんな演奏があったのだ」と改めて歓喜した一枚だ。
グラントはビッグバンド好きなのか、同じ頃誕生したDuke Pearsonのビッグバンドのアルバムにもその誕生を祝うライナーノーツを書いている。ニューヨークでこの頃新たなビッグバンドが生まれたのには、裏方として彼も一役買っていたのかもしれない。

演奏には、サドメルの初期のお馴染みのレパートリーが並ぶ。ジョーンズのこの頃の作品には、ベイシーのオーケストラ用に作編曲してお蔵入りしていたものが多くある。後期の作品に較べると、ベイシー風な曲想が多いのもそのせいだろう。
”ONCE AROUND”や”MEAN WHAT YOU SAY”など素晴らしい演奏が続く。ベイシーはリハーサルさえしなかった曲もあったらしいが、ベイシーが演奏していたらはたしてどんな演奏になったのだろうか?興味津々だ。

小さなクラブでのライブ。
これが初演とは思えないほどこなれた演奏だ。リハーサルにたっぷり時間をかけたのだろう。
聴衆のざわめきやメンバーの合いの手や掛け声が生々しく収められている。サドメル独特のアンサンブルにワークに加え、この雰囲気に後押しされるようにソロも自由にブローしている。まさにサドメルの原点ここにありといったプレーぶり。 若き日のエディーダニエルスも熱演している。
このようなアルバムが、月日が経ってから発掘されるのは嬉しいものだ。

ちなみに、ジャケットの写真に写っているチラシは、アラングラントがその時の物をとってあったもの。入場料が2ドル50㌣とは。この演奏がこの金額で聴ければ毎日でも通います。

1. Introduction
2. Big Dipper
3. Polka Dots Moonbeams
4. Once Around
5. All My Yesterdays
6. Morning Reverend
7. Low Down
8. Lover Man
9. Mean What You Say
10. Don’t Ever Leave Me
11. Willow Weep For Me
12. The Little Pixie


Thad Jones, (Cor,Flh, Co-Leader ,Arranger)
Snooky Young, Bill Berry, Jimmy Nottingham, Jimmy Owens(tp)
Bob Brookmeyer (Valve-tb ,Arranger)
Garnett Brown, Jack Rains. Cliff Heather (tb)
Jerome Richardson, Jerry Dodgion (as,ss,cl,fl)
Joe Farrell, Eddie Daniels (ts,ss,cl,fl)
Pepper Adams (bs,cl)
Marv Holiaday (bs,cl)
Richard Davis (b)
Sam Herman (g)
Hank Jones (p)

Mel Lewis (ds, Co-Leader)

Alan Grant MC, Producer, Liner Notes

Recorded live at the Village Vanguard , New York , Monday 7,February 1966

Opening Night
Thad Jones,Mel Lewis
Alan Grant Prod.

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「スローライフ」が多く語られる昨今・・・・

2007-11-08 | CONCORD
Live from Concord to London

コンコルドのジャズは、アナログ、個性、自然、人間味、・・など、スローライフを表わすよう言葉がぴったりだ。
一方で、コンコルドという技術の粋を集めてスピードを競う社会の申し子のような飛行機があった。

去る10月25日、エアバスA380が初めてシンガポール航空で運行を開始した。久々の超大型機の就航だ。
対抗馬のボーイングは、747の後継機種として大型機の開発を何度か計画しているが実開発には至っていない。現在、開発の中心に置かれているのは、787という中型機。
今後市場が見込める、きめ細かく大量の人を運ぶには中型機がいいという考え方だ。両社の基本的な戦略に違いが明確になっている。「大きいことはいいことだ」、「大は小を兼ねる」という価値観の中での競争は終わりを告げたといってもいいかもしれない。

自動車も環境の問題、エネルギー資源の問題から小型化が進んでいる。ここでも、大きい車はいい車だという価値観が崩れようとしている。果たしてどちらが勝つか、見ものである。
長く主役の座を続けているボーイング747が誕生した‘70年当時は、大量輸送のための大型機747と、高速機であるコンコルドの競争であった。
今回と奇しくも同じ、アメリカ対ヨーロッパの対決だ。結果は、ボーイングの圧勝。ジェット戦闘機並みのマッハ2を超える旅客機は、マーケットにも受け入れられず、受入れの飛行場が制約を受けるなど運行にあたっての障害もあまりにも多すぎた。技術オリエンティッドで作られた商品の失敗作の代表格だろう。

一方で、747ジャンボは、大型機で大量輸送が可能になることによって航空運賃が下がり、旅行客が大幅に増加するという「新たな旅行市場創造」の立役者になった。後で考えれば当たり前のようなことであっても、このような失敗が起こってしまうのが現実である。

この、今は無き「コンコルド」の美しい姿がジャケットを飾っているのがこのアルバム。
このアルバムが発売された時は、まだ就航後まもない時期。まだ夢のあったコンコルドだった。

長く引退生活をしていたアネスティン・アンダーソンをカナダのジャズフェスティバルに出ているのをたまたま見つけたのは、このアルバムでもバックでベースを弾いているレイブラウン。
早速、彼女のマネージャーとして、’76年のコンコルドジャズフェスティバルに参加させ、スタジオでのレコーディングも行った。この時のフェスティバルでのライブの模様が、このアルバムのA面に収められている。
コンコルドジャズフェスティバルのステージは、いつ聴いてもどうしてこんなにアットホームで暖かい雰囲気なのだろうか。本当のファンが集ったコンサートだったのだろう。
バックを努めるのは、ハンクジョーンズ、レイブラウン、ジェクハナのトリオ。その後のスタジオ録音もこのメンバーで行っている。安心して聴けるトリオだ。
B面の方は、復帰を果たしたアンダーソンが翌年イギリスを訪れたとき、地元の有名なジャズクラブロニースコットクラブに出演した時のライブ。地元のトリオをバックにした演奏だ。
エリントンの曲を中心にしたスタンダード曲。ジャズへ世界への復帰には、エリントンが一番取り組みやすいのかもしれない。

彼女は’65年に第一線を退いた時、イギリスに住んだこともあるそうだ。復帰を果たしてステージツアーを開始した時、復帰フェスティバルが行われたコンコルドから、第二の故郷ロンドンに真っ先に駆けつけたのかもしれない。

超音速機“Concorde”コンコルドに乗って?。
コンコルドと同じように将来に夢を持って。そして、復帰を果たしたコンコルドでのステージの熱気を伝えに。さらには、コンコルドで発売されたアルバムを手に携えて。 その後の彼女の活躍を顧みると、復活のきっかけなった記念すべきライブアルバムである。
Concordで「復帰請負人」として活躍したJefferson、そして、その良き理解者としてリクルーティングを行ったBrownの果たした役割は大きい。

1. Don't Get Around Much Anymore      Ellington, Russell 3:54
2. Days of Wine and Roses           Mancini, Mercer 3:37
3. Stormy Monday                 Walker 3:25
4. Am I Blue                    Akst, Clarke 4:21
5. Take the "A" Train              Strayhorn 2:12
6. My Romance                  Hart, Rodgers 3:24
7. Solitude                     DeLange, Ellington, Mills 2:15  
8. I Got It Bad (And That Ain't Good)    Ellington, Webster 2:24
9. Do Nothin' Till You Hear from Me     Ellington, Russell 1:00
10. Take the "A" Train             Strayhorn 3:11
11. Love for Sale                 Porter 6:21  

<PERSONNEL>

Ernestine Anderson Vocals
<SIDEA>
Hank Jones Piano
Ray Brown Bass
Jake Hanna Drums
Bill Berry Big Band (only5)

Recorded live at the Concord Jazz Festival , August 1 1976

<SIDEB>
John Horler (p)
Jim Richardson (b)
Roger Sellers (ds)

Recorded live at The Ronnie Scott’s in London
Producer Carl Jefferson

Originally released on Concord CJ-54

Live from Concord to London
Ernestine Anderson
Concord Jazz

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ジャズに包まれた仲間内のパーティー・・・憧れであるが。

2007-10-30 | MY FAVORITE ALBUM
1969 All-Star White House Tribute To Duke Ellington


会社の先輩でもあり、学校の先輩でもある大のジャズファンの友人がいた。
会社の昼休み、寸暇を惜しむようにしてジャズ喫茶に一緒に行ったものだ。
その彼の友人に金持ちのジャズファンがいて、年に何回か自宅にプロのジャズプレーヤーを呼んでホームパーティーをやっていた。
金井英人さんが常連であったが、デビューしたての吉岡秀晃なども来ていたのを覚えている。
趣味も嵩じて自宅に自分の好きなミュージシャンを呼んでリラックスしたライブが聴けるというのは羨ましい限り。究極の道楽であろう。

デュークエリントンの70歳の記念コンサートはツアー先のイギリスで行われたが、実はそれに先立ち「自宅」にエリントンを呼んで大パーティーを行った人物がある。
その人は当時のアメリカ大統領ニクソン。就任して2年目のことであった。
ホワイトハウスにエリントン招き豪華ゲストを集めてのミニコンサート。もちろん、演奏されたのはエリントンの曲のオンパレードだ。
それにしても豪華メンバーを集めたものだが、入れ替わり立ち代り次々にソロを繰り広げる。
メドレー中心の演奏であるが、いつものジャムセッションとは何となく様子が違う。
各自が技を競い、聴衆を魅了していくというよりは、目の前にいるエリントンを祝福して心を込めて演奏をしている様が目に浮かぶ。

大きなホールでのお祭り騒ぎもよいが、ジャムセッションは演奏する側も聴く側もお互いに目が届く範囲でのライブがベストだろう。それに、このように誰か主役がいて、その主役に皆の想いが集中すると全体が締まった演奏になる。
同窓会的なリユニオンコンサートは、プレーする側も聴き手も昔を思い出しながら盛り上がるが。このような、仲間が集って“Tribute”コンサートも、散漫になりがちな演奏に何か一体感を生む独特の雰囲気がありいいものだ。

エリントンはプレーに参加していないが、最後の一曲で、ソロピアノで皆に感謝の意を表しこのセッションの幕を閉じる。

 1. Take The "A" Train
2. I Got It Bad (And That Ain't Good)
3. Chelsea Bridge
4. Satin Doll
5. Sophisticated Lady
6. Just Squeeze Me (But Don't Tease Me)
7. I Let A Song Go Out Of My Heart
8. Do Nothing Till' You Hear From Me
9. Don't Get Around Much Anymore
10. In A Mellotone
11. In A Sentimental Mood
12. Prelude To A Kiss
13. Ring Dem Bells
14. Drop Me Off In Harlem
15. All Too Soon
16. It Don't Mean A Thing (If It Ain't Got That Swing)
17. Things Ain't What They Used To Be
18. Perdido
19. Warm Valley
20. Caravan
21. Mood Indigo
22. Prelude To A Kiss
23. I Didn't Know About You
24. Praise God And Dance
25. Come Sunday
26. Heritage
27. Jump For Joy
28. Pat

Recorded at The White House on Duke Ellington's 70th birthday, when he was awarded the Medal Of Freedom by President Richard M. Nixon.

Producer Bill Kirchner

<Personnel>:
Duke Ellington (piano)
Mary Mayo, Joe Williams (vocals)
Paul Desmond (alto saxophone)
Gerry Mulligan (baritone saxophone)
Clark Terry (trumpet, flugelhorn); Bill Berry (trumpet)
Urbie Green, J.J. Johnson (trombone)
Earl Hines, Dave Brubeck, Hank Jones, Billy Taylor (piano)
Jim Hall (guitar)
Milt Hinton (bass)
Louie Bellson (drums).

Recorded live at the White House, Washington, D.C. on April 29, 1969
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ここまで来れたお礼を兼ねて感謝の意を捧げる相手は・・・・やはり“ELLINGTON”

2007-10-27 | CONCORD
A TRIBUTE TO DUKE ELLINGTON

よく、キリ番という。
丁度、100とか、1000とかキリのいい番号のこと。
50や500は、キリ番の丁度中間点。自分の埃を被っていたConcordのアルバムの棚卸しもやっと50番になった。
Concord Jazz Festivalのライブ演奏のプライベート録音からスタートしたコンコルドレーベルも、この頃(1977年)になるとリリースのピッチも上がり、ニッチではあるが確固たるポジションを得るようになった。

最近、自分のブロクでもエリントンの話題が多かったが、このConcordのキリのいい50番(CJ-50)も、たまたまエリントンに捧げたアルバム。
Concordのハウスバンドがゲストを迎えて、皆でエリントンを追悼する。
現役復帰したローズマリークルーニーに加えて、ウディーハーマン、トニーベネットそしてビングクロスビーなども馳せ参じる。
バンドのメンバーにとっても、ゲストとして参加した歌手にとっても、エリントンに対する想いはそれぞれ違うかもしれない。でも、自分達の演奏や歌に何らかの影響を与えた大恩人であることには違いない。

軽快なTulip Or Turnipに乗って、初の黒人国連大使、Andrew Youngのイントロダクション。エリントンに対する賛辞で始まる。入れ替わり立ち代りゲスト加わる演奏が続くが、どのセッションもコンコルドらしい飾りっ気のない演奏が続く。
デビューしたばかりの、スコットハミルトンも大先輩たちに囲まれて早くもコンコルドの顔の一員としてすっかり溶け込んでいるのが印象的だ。
曲もメンバーも特に紹介するまでもないが。改めて聴きなおすと初期のコンコルドの良さが凝縮されたアルバムかもしれない。録音の良さも含めて。
トニーベネットは、ピアースのピアノをバックにデュオで決めている。ウディーハーマンも、ホッジス張りのねちっこいアルトを聴かせてくれるが。
全体をスイングさせているのは、ピアース、バドウッグ、そしてハナのリズムセクションだ。

Tulip Or Turnip
 Introduction Ambassador Andrew Young
Don’t Get Around Much Any More
 Bing Crosby
MainStem
 Instrumental
In A Sentimental Mood
 Woody Herman
I’m Checking Out - Good Bye
 Rosemary Clooney
Prelude To aA Kiss
 Tony Bennett
It Don’t Mean A Thing If It Ain’t Got That Swing
 Instrumental
I’m Just A Lucky So And So
 Tony Bennett
What Am I Here For ?
 Instrumental
Sophisticated Lady
 Rosemary Clooney

<Personnel>
Rosemary Clooney (vol)
Tony Bennett (vol)
Bing Crosby (vol)
Woody Herman (as)

<The Band>
Nat Pierce (p)
Scott Hamilton (ts)
Bill Berry (tp)
Monty Budwig (b)
Jake Hanna (ds)

Originally released on Concord CJ-50



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親子ほどに歳が離れた2人の大型新人のデビュー作・・・・・・

2007-10-17 | CONCORD
EVERYTHING’S COMING UP ROSIE / ROSEMARY CLOONEY

いつものようにジャケットを手に取り裏を見る。白地に「Perfect,Tonny Benett」の一言が。



他には何の解説も無い。これが、このアルバムのすべてを語っているだろう。
Concordがまた大物を復活させた。ロージーこと、ローズマリークルーニーだ。
50年代には7枚のミリオンセラーを放ち、映画にも出演し、ビバリーヒルズに居を構える彼女が。
と、バイオグラフィーを見ながらここまで書いたが、いつもとは何か勝手が違う。
ここに書いていることが全く自分の頭の中に思い浮かばない。
確かに名前は聞いたことがある。有名スターであったことも知っている。ところが、彼女は自分にとって全く知らない存在だ。
このアルバムが自分にとっても初めて買った彼女のアルバム。その後もコンコルドで発売された多くのアルバムは買い求めた。でも、何故かは分からないが、今に至るまで過去の彼女のアルバムを聴く事もなければ買い求めることも無かった。
自分にとっては、これが彼女のデビュー作である。

普段であれば、あるプレーヤーを気に入ると、過去の作品にだんだんとさかのぼることが普通なのだが。きっと、彼女がジャズ歌手といわれる範疇にはいなかったこともひとつの原因であろう。
経歴を見ると、「彼女はマクレーやサラのようなボーカルインプロバイザーではなく、excellent lyric interpreterである」との記述がある。
彼女の歌がジャズに根ざしているのは間違いないが、テクニックをひけらかすようなタイプではないということの証だろう。
そして、このような素直な歌い方がこのConcordの雰囲気に良く似合う。

68年の彼女は一度引退をする。友人であったロバートケネディーの暗殺現場に立ち会っていて大きなショックを受けたのもひとつの大きな原因らしい。悪いことが重なると続くものである。これをきっかけに、離婚などもあり精神的にもかなり落ち込んだ生活を送ることになる。
やはり持つべきものは友人である。8年間のブランクを経て、76年に親友のビングクロスビーの誘いで彼のコンサートツアーに参加し復帰の手掛かりを得る。
そしてConcordとの契約に至り、このアルバムが一作目だ。

彼女のストレートな歌に合うのは、やはりCONCORDオールスターズ。
いつものお馴染みのメンバーが彼女の復帰を称えてバックを努める。
その中に、今まで見かけない違和感のあるメンバーが一人。もちろん今見ればなんの不思議もないのだが。あの「スコットハミルトン」が参加している。
彼のデビューアルバムのライナーノーツを見ると、Concordへの録音のために、New Yorkからの飛行機のチケット貰って西海岸に来る、そして、自分のアルバムの録音の前にこのセッションに参加したと書かれている。彼にとっても実質的なConcordへのデビュー作だ。

彼女がこの録音をしたのが49歳の時。ハミルトンは1954年生まれなのでまだ弱冠23歳。一年前に生まれ故郷からNew Yorkに出てきたばかりの全くの無名の新人。年も親子ほどに違うし、経歴もプロとアマチュアの差ほどの隔たりがある2人であった。
大スターRosieのアルバムにこんな新人を起用したのも、ジェファーソンの大英断であった。結果はもちろん大成功であった。
2人のアルバムは、この後Concordのメインアーティストになっていく。

演奏を聴く限りはまったくそのような2人の組み合わせであることは全く感じさせない。他のベテランの面々に囲まれ、ハミルトンのバラードの咽び泣くようなサックスの響きはベンウェブスターのような雰囲気を醸し出す。軽快な曲ではレスターヤングやズートシムスを感じさせることも。
とても新人とは思えない。それもロック&Fusion全盛の世代に突然演歌の若手が現れたようなものだ。一瞬タイムスリップしたような雰囲気になる。これがFusion全盛期の西海岸での録音なのかと。
いつものように、オーバーダビングをしないライブのようなセッション。和気藹々とした中で、2人の大物新人の門出をスタジオ全体で祝っている雰囲気が伝わってくるアルバムだ。

復帰4年後、1981年のコンサートでの映像は

1. I Cried For You (Now It's Your Turn To Cry Over Me)
2. More Than You Know
3. How Am I To Know (TRUE instrumental)
4. I Can't Get Started
5. A Foggy Day
6. I've Got A Crush On You
7. Hey There
8. As Time Goes By
9. All Of Me (TRUE instrumental)
10. Do You Know What It Means To Miss New Orleans

Personnel:

Rosemary Clooney (vocals)
Scott Hamilton (tenor saxophone)
Bill Berry (trumpet)
Nat Pierce (piano)
Monty Budwig (bass)
Jake Hanna (drums).

Recorded at Sunwest Recording Studios, Inc., Hollywood, California,1977
Originally released on Concord CJ-47


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「蛍の光」の調べにのってお蔵入りしてしまった名作集・・・・

2007-10-12 | MY FAVORITE ALBUM
RECOLLECTIONS OF THE BIG BAND ERA / DUKE ELLINGTON ORCHESTRA

ジャズの歴史を顧みる時、レーベルの栄枯盛衰を辿るとそこにはもうひとつの歴史が存在する。
Quincyがシナトラからの命を受けカウントベイシーに編曲を提供し3者のコラボレーションが始めて生まれた。このアルバムが出たのは“Reprise”レーベルから。言わずと知れたシナトラが設立したレーベルだ。
Capitalに永年在籍し多くのアルバムを生んだシナトラもその制作方針に意見が合わず独立を決意する。そして自ら設立したのがこのRepriseレーベルだ。
イタリア語で「くりかえしくりかえしプレイする」という意味。「わが社は何回も何回もターンテーブルにのるようなクオリティー・ミュージックをつくる」と設立時に説明している。売れるアルバム作りにどのレコード会社も商業主義に走り始めた時に、ミュージシャン本意のアルバム作りをアーティスト主体に立ち上げたという意義は大きかった。
奇しくも映画会社で音楽(レコード)の世界に出遅れていたワーナーブラザースとのジョイントで60年に設立した。その時、Noman GranzのVerveレーベルも手に入れようとしたそうだから話は大事だった。
ここに、ディーンマーチンやサミーデイビスJr,などのシナトラ一家も迎え一気に100枚近くのアルバムを制作するのだが、経営自体は決してうまくいった訳ではなく63年に持ち株をワーナーに譲りこのレーベルの経営からは身を引くことになった。もっとも、これで数百万ドルと一連の映画制作の権利、更には ワーナーの重役の椅子を手にすることになったので、結果的にシナトラにとっては良かった選択かもしれないが。
おりしも世の中ロックからビートルズ全盛期に移行していった時期。不動の人気を保っていたシナトラといえどもロック世代には万能ではなくなってきた時代のことだ。
リプリーズ自体は、その後ロックもテリトリーに加えワーナーグループの独立レーベルとして発展を続け、シナトラが作った名前とロゴは今でも生き残っている。

このリプリーズレーベルに、デュークエリントンが1962年から1965年までに所属した。
まだシナトラが実権を持っていた時期の移籍。大きなニュースになったそうだし、エリントンも三顧の礼を尽くされ招かれたのだと思う。エリントン自身もプロデューサーとして活躍したが、よりポピュラーな路線のアルバムが求められた。もちろん彼自身のオーケストラに対しても。時代的には、BIG BANDが冬の時代を迎えたとき。ベイシーやエリントンといえども、今までのようには行かなくなった時代だ。

エリントンが移籍後の最初の録音は、有名バンドのテーマソング集。
「ビッグバンドは再来するか?」というアルバムタイトルで一作目は陽の目を見たが、2作目に当たるこのアルバムは陽の目を見ることなくそのままお蔵入りとなった。

その後、同じワーナーグループのジャズ&ソウルの老舗レーベル「アトランティック」から発売されることになる。録音から10年以上経った1974年のことだ。

有名バンドのテーマとなると懐かしい曲が並ぶ。スイング時代のバンドのテーマが並ぶ中で、新しいと思ったクインシーのオーケストラの“The Midnight Sun Will Never Set”も録音時点ではすでに10年経っている。まさに10年一昔だ。
この手のアルバムは一歩間違えると、ありきたりの「過去の名曲ベスト10」的な薄っぺらな企画になりがちだが、サウンドはやはりエリントンサウンド。結局各バンドのカラーより、エリントンオーケストラの個性が強いということであろう。
そして最後は何故か「蛍の光」で締める。
ストレートなメロディーラインの演奏に何故か愛着を感じるが、この曲と共にこの録音はお蔵入りになってしまったということだ。

丁度その頃のエリントンオーケストラの演奏。あのNEWPORTの名演を彷彿とさせるゴンザルベスのプレーが見れる。

1. (Cab Calloway's) Minnie The Moocher
2. (Jimmy Lunceford's) For Dancers Only
3. (Ben Bernie's) It's A Lonesome Old Town (When You're Not Around)
4. (Charlie Barnet's) Cherokee
5. (Quincy Jones's) The Midnight Sun Will Never Set
6. (Chick Webb's) Let's Get Together
7. (Tommy Dorsey's) I'm Getting Sentimental Over You
8. (Don Redman's) Chant Of The Weed
9. (Harry James's) Ciribiribin
10. (Jimmy Dorsey's) Contrasts
11. (Fletcher Henderson's) Christopher Columbus
12. Auld Lang Syne


Cat Anderson, Roy Burrowes, Cootie Williams ,Bill Berry,Eddie Preston(tp)
Ray Nance (tp, vln, vo) Lawrence Brown, Chuck Connors, Buster Cooper (tb)
Jimmy Hamilton (cl, ts)
Johnny Hodges (as)
Russell Procope (as, cl)
Paul Gonsalves (ts)
Harry Carney (bars, cl, bcl)
Duke Ellington , Billy Strayhorn (p)
Ernie Shepard (b)
Sam Woodyard (d)

Produced by Duke Ellington

Recorded at
Universal Studios, Chicago, IL, November 29, 1962
Fine Recording Studios, NYC, December 11,13.14,20,29 1962 and January 3, 1963

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「世代交代」には良き後継者が不可欠だが・・・・・

2007-09-19 | CONCORD
SCOTT HAMILTON / “Scott Hamilton is a good wind who is blowing us no ill”

新しい時代を築くには何も新しいことをやる人材だけが必要なわけではない、古き良き伝統を引き継ぐ人材がいてこそ新しい時代が築けるのだと思う。

Concordレーベルというと、「ベテランの第一線への復帰」というイメージが強い。
確かにオーナーのカールジェファーソンの想いは、スタジオ入りしたジャズプレーヤーを第一線に引き戻すこと。コマーシャリズムや時の流行を排除し、彼らが昔慣れ親しんだストレートなジャズを「今に」蘇らせることにあった。
ホスト役ともいえるレイブラウンやジェイクハナを筆頭に、彼らの元に集まるベテラン勢はその招きを自ら楽しむかの如く次から次へと好演をConcord Jazz FestivalにそしてConcordレーベルに残していった。

そんな中に、突如「超大型の新人」が現れる。
いよいよConcordレーベルが生んだ、最初のスターの登場だ。
テナーのScott Hamilton。
今ではデビューから30年。彼もいつのまにか大ベテランの一人になってしまっているが。その登場はセンセーショナルであり意外性に富んだデビューであった。

コルトレーンを聴いて育ったテナー奏者は大なり小なりその影響を受けることになる。さらに、新たにFusionが一世を風靡すると若者の多くは演奏する側も聴き手も皆その世界に引き込まれていった。若者だけではなく中堅やベテランのプレーヤーの多くも。
そして、古き30年代、40年代のジャズはその当時活躍したプレーヤーの思い出と共に奏でられる「懐メロ」の世界でしか聴くことのできないものとなっていった。
時代の流れといえばそれまでであるが。

ところが、そこに弱冠22歳の若者がいきなりタイムスリップしたかのように古き良き時代のジャズを引下げて登場した。
彼の経歴を見ると、その原点は彼の父にあったようだ。
画家であり教師であった父が集めた30年代や40年代のレコードが家の中に数多くあった。78回転のベンウェブスターやコールマンホキンス。それらに囲まれて彼は育ったのだった。
クラリネットやピアノで音楽に親しんだ後、17歳でサックスを手にした彼はこのレコードのような演奏を繰り広げるに至ったそうだ。もちろんコルトレーンを聴くこともあったがその影響を受けることも無く。

このアルバムのライナーノーツに、デビューに至った経緯がレナードフェザーによって書かれている。
多くのレコードを通じで巨人たちのプレーの影響を受けたのに加え、もう一人直接影響を受けたのがエリントニアンのポールゴンザルベス。
彼の出身地と同郷であったそうだ。きっとそのプレーぶりを目の辺りにしたこともあるのであろう。風貌に似合わず時に見せる豪快さにはそのようなことも影響しているのかもしれない。

1976年New Yorkに出てきたハミルトンは一時ベニーグッドマンのバンドにも入る。相性が良さそうな感じはするが、セッションプレーが必ずしも得意ではなく、テナーのソロパートの出番が無いこの仕事は彼には合わなかった。
New Yorkのスイング&中間派の溜まり場でもあったエディーコンドンの店 "Condon's”に出演したHamiltonの演奏をたまたま耳にしたのがNew Yorkに仕事で来ていたJake Hanna。
「自分が推薦すれば必ずレコーディングできるところがあるよ」と言って、Concordへの録音を薦めたそうだ。この当時、Hannaが実質的なConcordのA&Rマンをやっていたということの証でもある。
そして、送られてきた航空券で西海岸に渡ったハミルトンが、Concordに吹き込んだリーダーアルバムの第一作がこのアルバムということだ。

一緒にプレーするメンバーはHannaがアレンジしたのだろう。
トランペットのビルベリーもエリントニアン。ポールゴンザルベスとも一緒にプレーした仲というのも何かの因縁。ピアノのナットピアースはこの手のセッションにはうってつけ。
そして、モンティーバドウィッグとハナとのコンビは当時のConcordのハウスリズムセクションのようなもの。
ハミルトンを最高なお膳立てをして迎えた。

演奏された曲は20年代、30年代のスタンダード。彼がレコードで聴いていた先輩たちの名演が残る曲ばかり。
簡単なヘッドアレンジ、なかにはそれすらも無く自然な形でプレーに入る。いつも一緒にプレーしている仲間のような一体感だ。
ハミルトンのテナーも先輩達に囲まれながらも物怖じもせず堂々としたプレーぶりだ。
Concordからは、その後も多くのアルバムが出ることになる。
そして、現在に至る活躍の第一歩となる記念すべき一枚である。

ライナーノーツの最後にフェザーが締めくくる。
「西暦2000年、ちょうどハミルトンが46歳になった時。この仲間たちに囲まれて見出した「自分自身」を生かしながら、まだ何人かとこのようなプレーを続けているだろう」と。
栄枯盛衰の激しい音楽の世界で、このフェザーの予見は見事に的中している。
そのくらいハミルトンのプレーは、デビュー同時から確固たる自己のスタイルを確立していたということだろう。

That’s All
Indiana
Stuffy
Exactly Like You
Ill Wind
Broadway
Blue Room
Sometime I’m Happy

 Scott Hamilton (ts)
 Bill Berry (tp)
 Nat Pierce (p)
 Monty Budwig (b)
 Jake Hanna (ds)

 Recorded 1977
 Concord CJ-42

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「そっくりさん」も、ここまでくれば「クローン」かも・・・・

2007-09-09 | CONCORD
JUGGERNAUT / FRANKIE CAPP & NAT PIERCE ORCHESTRA

「ベイシーライク」という言い方がある。
言わずと知れたカウントベイシーに似ているということだ。
昔は学生のビッグバンドに入ると規定課題のようにカウントベイシーの曲から始めたものだ。今も、きっと何曲はそうであろう。
カウントベイシーのスタイル、そしてあのノリはなかなか簡単そうでできないものだ。時代の変遷と共に、様々なアレンジャーが色々な曲を提供するがそのバンドカラーは変わらない。したがって、ベイシーのオーケストラは聴いただけでも大体想像はつく。反対に不思議とベイシーライク演奏というものは確かに似ているが「何かが違う」というのが常だ。
なかなか埋まらない溝の一つが、フレディーグリーンのギター、そしてベイシーのピアノが作り出すリズムセクションかもしれない。人が代わっても、確実なベースと歯切れのよいドラムも代々引き継がれている。オールアメリカンリズムセクションと言われたものだ。

CONCORDに、ベイシーライクなBIGBANDが登場した。1976年のことだ。
それまで、ビルベリー、ルイベルソンのオーケストラが登場したので、これが3つ目のオーケストラになる。
リーダーはナットピアスとフランキーキャップ。
ナットピアスはカンサスシティージャズの伝統を引き継ぎ、ベイシーオーケストラでも御大に代わって代役を務めたことがあるので役回りはぴたり。一方のフランキーキャップはスタジオ中心であまり有名ではないが、確実なドラミングをする。
他に集まったメンバーは、CONCORDにすでに登場しているメンバーが多い。テーナーの2人はリッチーカムカにプラスジョンソン。スタイルの違う2人が並ぶ。自分のバンドを率いていたビルべリー、新進気鋭のボビーシューも参加。
そして、中でもアルトのマーシャルロイヤルの参加が大きい。これで、ベイシーライクを超えて完全にベイシーの「そっくりバンド」に仕上がった。

このバンドが、ライブ演奏を繰り広げるこのアルバム。悪いわけがない。
一曲目のAvenue "C"。ピアノのイントロから始まるプレーは、これぞベイシーといってもすぐ信じてしまうだろう。
このアルバムのもうひとつの魅力が、ブルース歌手、Ernie Andrews。
B面の「A列車」で意表を突いて登場する。いわゆるじっくり歌い込むというよりアップテンポのシャウティングブルースは、よくスイングするベイシースタイルとぴったり合う。
「こんなベイシーサウンドが身近で聴ける」。
これだけで、このバンドが西海岸で長続きしたのも頷ける。
この後も、CONCORDには彼らの演奏が何枚か登場する。
これも、なかなかいける。

1. Avenue "C"
2. All Heart
3. Moten Swing
4. Basie
5. Dickie's Dream
6. Take The "A" Train
7. Wee Baby Blues
8. Roll 'EM Pete

Bill Berry, Gary Grant,Blue Mitchell, Bobby Shew (tp)
Buster Cooper, Alan Kaplan, Britt Woodman (tb)
Marshal Royal ,Bill Green (as)
Plas Johnson, Richie Kamuca (ts)
Quinn Davis (bs)
Nat Pierce (p)
Chuck Berghofer(b)
Al Hendrickson(g)
Frankie Capp(ds)
Ernie Andrews(vol)

Recorded live at “King Arthur’s” in the San Fernand Valley , Los Angels, 1976

Concord CJ-40
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ジャズというと何の楽器を思い浮かべるか・・・・・?

2007-08-31 | CONCORD
Drop Me Off In Harlem / RICHIE KAMUCA

ピアノ派の人がいると思うし、トランペットを挙げる人も。
自分はサックス派だが、バリトン好きなのが少し捻くれているところかもしれない。
サックスの王者はやはりテーナーサックスだろう。テナーの魅力がジャズの王道のような気がする。
ジャズを聴き始めた時、ディキシーからジャズに入門した自分にとってサックスは少し遠い存在だった。ロリンズやコルトレーンのサックスを聴き、これがモダンジャズなのかと思ったのを覚えている。そして、スタンゲッツのテナーを聴き、同じサックスでもここまで音が違うのかとJAZZの奥深さを感じ、ある意味感心もした。

このジャズのテナーの系譜を辿ると、そのひとつがレスターヤングにたどり着く。
いわゆるCOOL SOUNDの良くうたうテナーの原点だ。
50年代、レスター派ともいえるテナー奏者が数多くレスターのプレーを引き継いだが、その中の一人がRichie Kamucaだ。
西海岸でも活動が長かったので50年代はいわゆるWEST COAST派と共演、そしてケントンやハーマンに加わっての演奏が多い。60年代にNew Yorkに出たのは、メルルイスと同じような経歴の持ち主だ。
そして、70年になると他の多くのミュージシャン同様L.A.に戻り、スタジオワークと地元での活動に転じた。あまり目立つ存在ではないが好きなタイプのテナーだ。

ConcordでもBILL BERRYのオーケストラRay Brownのアルバムなどに参加していた。
そのKamucaが1977年に癌の病に倒れる。死の直前に、最後の演奏をJeffersonに託し、Concordに何枚かのアルバムを残した。その一枚がこのアルバムである。

テナーが主役のコンボ編成というと、普通はピアノトリオを加えたカルテット編成が中心。
軽快なピアノのバックで、小気味良いドラムのリズムに乗って、確実なベースラインに合わせて、よくスイングするテナーが自分は好みだが・・・。
ロリンズは良くピアノレスの編成をした。ピアノが抜けサックスの音色が浮き上がると、よりサックス自体の演奏の良し悪しがはっきり分かる。さらに、リズムの要のドラムレスになると、スイングしない表現力の無いサックスは長く聴いていられるものではない。
小さなジャズクラブのライブで時折ドラムレスのサックスの演奏があるが、サックスプレーヤーにとっては誤魔化しのきかない本当の腕試しのようなものだ。

このアルバムも実は、ドラムレス。
それも、ピアノとのDUOと、ギターとベースのトリオの2つの組み合わせで。
相手を務めるのは、ピアノがDAVE FRISHBERG。先日、ソロの演奏が入ったアルバムを紹介したばかりだが、彼のスイング感に根ざしたピアノはドラムレスにはぴったり。
ベースとギターがRay BownにHerb Ellis。ピーターソンのドラムレスのトリオを支えた2人なのでこれも適役。
そして、肝心の演奏の方は、イメージどおりの好演。
脇役やセッションプレーの多い彼の経歴だが今回は良くうたうサックスが主役だ。この時、近くに迫った死期を知っていたのかどうかは知らないが、淡々と吹き続けるテナーには哀愁をも覚える。Dear Bixでは歌も披露するが、雰囲気はテナーのチェットベイカーといったところか。Frishbergの曲とあるが、彼は参加せず。ここでのバックはBrownとEllis。
エリントンのDrop Me Off In Harlem に始まり、Harlem Butterflyに終わる編成。ハーレムの片隅のジャズクラブでの演奏が似合う今回の演奏に何か意図を持った選曲なのかとも思う。
覚えやすいメロディーの”Three Little Words”。色々なプレーヤー、それもLester Youngを筆頭にサックスの名演の多い曲だ。今まで紹介したアルバムの中ではGOLSONもやっている。このアルバムのKamucaのプレーも、バックのFrishbergの左手のリズムの効いたバックとともに印象に残る一曲だ。

Drop Me Off In Harlem
I Didn’t Know About You
All Alone
Dear Bix
Three Little Words
It Must Be True
With The Wind And The Rain
Harlem Butterfly

Richie Kamuca (ts)
Dave Frishberg (p)
Ray Brown(b)
Herb Ellis (g)

1977 , Concord CJ-39

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