クラナッハ ( Lucas Cranach )
samson and delilah
デリラ
Delilah
『 旧約聖書 』 に登場するペリシテ人の女性で、サムソンの妻である。
サムソンを裏切ってペリシテ人に売り渡したといわれる。
名前の由来
ユダヤ教ではデリラは、「弱くする」 を意味するヘブライ語 「ダーラル」 から作られたと言われている。アラビア語から 「妖婦」 「誘惑する女」 という意味と、アッカド語から 「イシュタルの賛美、威光」 という意味、また 「上品な」 「贅沢好みの」 の意味とする説がある。
生 涯
古代イスラエルの士師であったサムソンは、ツォルアにいたデリラと恋仲になり心を許していた。ペリシテ人 の領主たちはサムソンを倒すために、デリラを銀1100枚で買収する。 (ダン族は、エルサレムの西の地中海に面する地域を相続地として割り当てられましたが、後にペリシテ人の支配によってガリラヤ上部へと住む場所を移します。そのダンの地に、ツォルアという町がありますが、これはエルサレムから西に約30キロメートルほどのところにあります。 source )
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デリラはサムソンに力の秘密を探ろうとするが、サムソンは3度もうそをついてデリラをだます。しかし、4度目にデリラが泣きすがったときに、サムソンは髪に力の秘密があることを打ち明けてしまった。 (師士記16 章17節)
デリラはサムソンが真実を明かしたことを直感的に悟り、ペリシテ人の領主たちに密告した。デリラはサムソンが眠っている間に髪の毛を剃る。髪の毛を失ったサムソンは力を失い、襲ってきたペリシテ人に抵抗できず捕らえられることになった。そして、サムソンは悲劇的な最後を迎えることになる。
参考資料
師士記 第16章 「サムソンとデリラ」
第16章(CHAPTER 16)
1.サムソン、ガザに往(ゆ)きかしこにて一人の妓(あそびめ)を見てそれの處(ところ)に入(いり)しに
2.サムソンこゝに來(きた)れりとガザ人(びと)につぐるものありければすなはち之(これ)を取り圍(かこ)みよもすがら邑(まち)の門に埋伏(まちぶせ)し詰朝(あした)におよび夜の明たる時に之(これ)をころすべしといひてよもすがら靜まりかへりて居る
3.サムソン夜半(よなか)までいね夜半(よなか)にいたりて興(お)き邑(まち)の門の扉とふたつの柱に手をかけて[かんぬき]もろともに之(これ)をひきぬき肩に載(のせ)てヘブロンの向(むか)ひなる山の巓(いたゞき)に負(おひ)のぼれり
4. こののちサムソン、ソレクの谷に居る名はデリラと言ふ婦人(をんな)を愛す
5.ペリシテ人(びと)の群伯(きみたち)その婦(をんな)のもとに上(のぼ)り來て之(これ)にいひけるは汝サムソンを説(とき)すゝめてそのおほいなる力は何に在(あ)るかまたわれら如何(いか)にせば之(これ)に勝(かち)て之(これ)を縛(しば)りくるしむるを得(う)べきかを見出(みいだ)せ然(さ)すればわれらおのおの銀千百枚づつをなんぢに與(あた)ふべし
6.こゝにおいてデリラ、サムソンにいひけるは汝の大(おほい)なる力は何にあるかまた如何(いかに)せば汝を縛(しば)りて苦(くるし)むることを得(う)るや請(こ)ふ之(これ)をわれにつげよ
7.サムソン之(これ)にいひけるは人もし乾(かわ)きしことなき七條(なゝすぢ)の新しき繩(なは)をもてわれを縛(しば)るときはわれ弱くなりて別(ほか)の人のごとくならんと
8.こゝに於(おい)てペリシテ人(びと)の群伯(きみたち)乾(かわ)きしことなき七條(なゝすぢ)の新しき繩(なは)を婦(をんな)にもち來りければ婦(をんな)之(これ)を以(も)てサムソンをしばりしが
9.かねて室(しつ)のうちに人しのび居(をり)て己(おのれ)とともにありたれば斯(かく)してサムソンにむかひサムソンよペリシテ人(びと)汝に及ぶと言(いふ)にサムソンすなはちその索(なは)を絶(たて)りあたかも麻絲(あさいと)の火にあひて斷(ちぎ)るゝがごとし斯(かく)其(そ)の力の原由(もと)知(しら)れざりき
10. デリラ、サムソンにいひけるは視(み)よ汝われを欺(あざむ)きてわれに[いつはり]を告(つげ)たり請(こ)ふ何をもてせば汝を縛(しば)ることをうるや今(いま)我(われ)に告(つげ)よ
11.彼(かれ)之(これ)にいひけるはもし人(ひと)用(もち)ひたることなき新しき索(なは)をもてわれを縛(しば)りいましめなばわれ弱くなりて別(ほか)の人のごとくならんと
12.是(こゝ)をもてデリラあたらしき索(なは)をとり其(それ)をもて彼を縛(しば)りしかして彼にいふサムソンよペリシテ人(びと)汝におよぶと時(とき)に室(しつ)のうちに人しのび居(ゐ)たりしがサムソン絲(いと)の如(ごと)くにその索(なは)を腕より絶(たち)おとせり
13. デリラ、サムソンにいひけるに今までは汝われを欺(あざむ)きて我に[いつはり]をつげたるが何をもてせば汝をしばることをうるやわれに告(つげ)よと彼(かれ)之(これ)にいひけるは汝もしわが髮毛(かみのけ)七繚(ふさ)を機(はた)の緯線(よこいと)とともに織(おら)ばすなはち可(よ)しと
14.婦(をんな)すなはち釘(くぎ)をもて之(これ)をとめおきて彼にいひけるはサムソンよペリシテ人(びと)汝におよぶとサムソンすなはちその寢(ねむり)をさまし織機(はた)の釘(くぎ)と緯線(よこいと)とを曳拔(ひきぬけ)り
15. 婦(をんな)こゝにおいてサムソンにいひけるは汝の心われに居(をら)ざるに汝いかでわれを愛すといふや汝すでに三次(みたび)われをあざむきて汝が大(おほい)なる力の何にあるかをわれに告(つげ)ずと
16.日々にその言(ことば)をもて之(これ)にせまりうながして彼の心を死(しぬ)るばかりに苦(くるし)ませたれば
17.彼つひにその心をことごとく打明(うちあか)して之(これ)にいひけるはわが頭(かうべ)にはいまだかつて剃刀(かみそり)を當(あて)しことあらずそはわれ母の胎(はら)を出(いづ)るよりして神のナザレ人(びと)たればなりもしわれ髮(かみ)をそりおとされなばわが力われをはなれわれは弱くなりて別(ほか)の人のごとくならんと
18. デリラ、サムソンがことごとく其(そ)のこゝろを明(あか)したるを見(み)人をつかはしてペリシテ人(びと)の群伯(きみたち)を召(よび)ていひけるはサムソンことごとくその心をわれに明(あか)したれば今ひとたび上り來(きた)るべしとこゝにおいてペリシテ人(びと)の群伯(きみたち)かの銀(ぎん)を携(たづさ)へて婦(をんな)のもとにいたる
19.婦(をんな)おのが膝(ひざ)のうへにサムソンをねむらせ人をよびてその頭髮(かみのけ)七繚(ふさ)をきりおとさしめ之(これ)を苦(くるし)めはじめたるにその力すでにうせさりてあり
20.婦(をんな)こゝにおいてサムソンよペリシテ人(びと)汝におよぶといひければ彼睡眠(ねむり)をさましていひけるはわれ毎(つね)のごとく出(いで)て身を振(ふる)はさんと彼はヱホバのおのれをはなれたまひしを覺(さと)らざりき
21.ペリシテ人(びと)すなはち彼を執(とら)へ眼(まなこ)を抉(くじ)りて之(これ)をガザにひき下り銅(あかゞね)の鏈(くさり)をもて之(これ)を繋(つな)げりかくてサムソンは囚獄(ひとや)のうちに磨(うす)を挽居(ひきゐ)たりしが
その髮(かみ)の毛(け)剃(そ)りおとされてのち復(また)長(のび)はじめたり
23. 茲(こゝ)にペリシテ人(びと)の群伯(きみたち)共にあつまりてその神ダゴンに大(おほい)なる祭物(そなへもの)をさゝげて祝(いはひ)をなさんとしすなはち言ふわれらの神はわれらの敵サムソンをわれらの手に付(わた)したりと
24.民(たみ)サムソンを見ておのれの神をほめたゝへて言ふわれらの神はわれらの敵たる者われらの地を荒(あら)せしものわれらを數多(あまた)殺せしものをわれらの手に付(わた)したりと
25.その心に喜びていひけるはサムソンを召(よび)てわれらのために戲技(たはむれ)をなさしめよとて囚獄(ひとや)よりサムソンを召(よび)いだせしかばサムソン之(これ)がために戲技(たはむれ)をなせり彼等サムソンを柱の間に立(たゝ)しめしに
26.サムソンおのが手をひきをる少者(わかもの)にいひけるはわれをはなして此家(このいへ)の倚(より)て立(たつ)ところの柱をさぐりて之(これ)に倚(よら)しめよと
27.その家には男(をとこ)女(をんな)充(み)ちペリシテ人(びと)の群伯(きみたち)もまたみな其處(そこ)に居る又(また)屋蓋(やね)のうへには三千ばかりの男女をりてサムソンの戲技(たはむれ)をなすを觀(み)てありき
28. 時にサムソン、ヱホバに呼(よば)はりいひけるはあゝ主ヱホバよねがはくは我を記念(おぼ)えたまへ嗚呼(あゝ)神よ願くは唯(たゞ)今一度われを強くしてわがふたつの眼(まなこ)のひとつのためにだにもペリシテ人(びと)に仇(あだ)をむくいしめたまへと
29.サムソンすなはちその家の倚(より)てたつところの兩箇(ふたつ)の中柱のひとつを右の手ひとつを左の手にかゝへて身をこれによせたりしが
30.サムソン我はペリシテ人(びと)とともに死なんといひて力をきはめて身をかゞめたれば家はそのなかに居る群伯(きみたち)とすべての民のうへに倒(たふ)れたりかくサムソンが死(しぬ)るときに殺せしものは生けるときに殺せし者よりもおほかりき
31.こののちサムソンの兄弟およびその父の家族ことごとく下りて之(これ)を取り携(たづさ)へのぼりてゾラとエシタオルのあひだなる其(そ)の父マノアの墓にはうむれりサムソンがイスラエルをさばきしは二十年なりき source