http://jp.reuters.com/article/marketsNews/idJPnTK033365320091126
2009年11月26日配信
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〔MOFウオッチャー〕政府の「デフレ宣言」、超低金利政策継続への期待感か
2009年 11月 26日 12:36政府のデフレ宣言は日銀に対する政策協調を促す狙いがあったことが、26日朝に公表された10月30日開催の日銀金融政策決定会合議事要旨で明らかになった。政府は「景気の二番底」は何としても回避するとして追加経済対策とりまとめに着手しているが、11月20日の月例経済報告でデフレ宣言を行って以降、関係閣僚は日銀の金融政策への期待感を公然と表明し、政府の経済政策との整合性を求めている。複数の関係者によると、今のところ、超低金利政策の継続を求めたもので、量的緩和政策や日銀の国債買い入れ増などを求める声は聞こえてこない。<10月30日に始まっていた政府と日銀の前しょう戦>
議事要旨では、日銀が30日に公表した「展望リポート」で2011年度まで3年連続で消費者物価が下落するとの予想に対し、財務省の野田佳彦財務副大臣は「長期間にわたって物価上昇率がマイナスとなると見込まれる中、実質利子率の高止まりや予想物価上昇率の下振れリスクへの対応を含め、日銀がどのように取り組まれていくのか、明確なスタンスをお示しいただきたい」と詰め寄った。
さらにこの日の会合では、コマーシャルペーパー(CP)や社債の買い入れなど一部時限措置の年内打ち切りも議題となっていたが、野田副大臣はこの点についても「展望リポートに示される経済・物価動向についての慎重な見通しとの整合性について、わかりやすく説明いただきたい」と述べ、鳩山政権発足後初の出席だった前回10月13─14日会合より踏み込み、日銀の説明責任を強く求めている。
一方、津村啓介内閣府大臣政務官も30日の会合では「デフレのリスクにも留意しつつ、引き続き金融政策面から景気を下支えされるよう期待する」と念押しし、政府の対応について、09年度2次補正予算の明言こそ避けたが、経済動向や雇用情勢の推移によっては「政治主導で果断に対応していく」と述べ、二番底回避のための追加経済対策に対する政府の強い決意を伝えていることが判明した。
日銀の議事要旨は、政府のデフレ宣言と金融政策への期待に対する前しょう戦が、この時点で既に始まっていたことをうかがわせる内容だった。
<政府は実質金利の上昇苦慮>
政府は20日、11月月例経済報告で日本経済は「緩やかなデフレ状況にある」とし、2006年6月以来、3年5カ月ぶりに「デフレ宣言」を行った。
この日の記者会見で菅直人副総理兼国家戦略・経済財政担当相は、このタイミングで「デフレ」宣言した理由について「政府として危機感を持っていることを明らかにすることで、脱却の努力を、自分たち自身(政府)の政策もそうだが、日銀にも協力・協調していただけるような、そういう意味合いも込めている」と公言した。
日銀の金融政策については「まだ出口戦略を取るのは少し早いのではないか。もう少し、今の形を続けていただいたほうがいいのではないかというメッセージとして(日銀には)受け止めてもらえているのではないか」とも語り、超低金利政策の継続で理解が得られたとの見方を示唆している。
藤井裕久財務相も24日の閣議後会見でデフレ状況が長期化しないように努力するとしながら「物価は金融の問題であり、金融の役割が大事だ」と日銀の金融政策によるデフレ対応が重要との認識を示した。財務相のメッセージとしては異例の強さとなっている。
やや唐突ともみえた政府のデフレ宣言の背景には、景気の二番底回避だけでなく「国家財政運営上そういう状況は好ましくない」(菅担当相の20日記者会見)など、先進国で突出した財政赤字を抱え、実質金利上昇による財政面への影響にも苦慮している側面が浮き彫りになった。
(東京 26日 ロイター)
(ロイターニュース 吉川 裕子:編集 田巻 一彦)
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