●五感俳句0110・嗅覚018・前田吐実男・2012-12-31
○「布団かぶれば猫臭き十二月」(前田吐実男01)
○季語(十二月・仲冬)
【鑑賞】:2012年は嗅覚俳句で締めくくります。家猫を飼っている万人の共感を呼ぶ俳句ではないでしょうか。共感を喚起する人数が多ければ多いほど、その句は秀句といえます。2013年は、「共感喚起俳句」を目指します。(^^;
○前田吐実男(まえだとみお)(1925~2019)
○好きな一句:「ほたるぶくろ林の中の白昼よ」02
○季語(ほたるぶくろ・仲夏)
【Profile】:新潟県水原町生れ。俳句は小学校時代より始め、同郷の→石塚友二の影響を受ける。戦後、「秋刀魚」「地平」同人を経て、1981年「夢」を創刊、主宰に。第55回現代俳句協会賞授賞。
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前田吐実男掲載句
03西が焼ければ公園の椋鳥西に群れ(椋鳥・三秋)〈方法633・起因発見2〉2023/8/17
●次元俳句0110・大晦日01・宮津昭彦・2012-12-30
○「大年の昼過ぎて日の差しにけり」(宮津昭彦01)
○季語(大年・暮)
次元俳句の時間としての「大晦日(大年)」です。あすはいよいよ大晦日。今年はどんな年だったのでしょうか。来年はまたどんな年になるのでしょうか。楽しむことに貪欲な年にしたいと思います。
○宮津昭彦(みやづあきひこ)(1929~2011)
○好きな一句「しづかなる土の遠くを耕せる」02
○季語(耕す・三春)
【Profile】:神奈川県横浜生まれ。1945年秋、→大野林火に師事。「濱」同人。第4句集「遠樹」で第47回俳人協会賞受賞。俳人協会副会長。「濱」副主宰。
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宮津昭彦掲載句
03裏山を夕日洩れくる春炬燵(春炬燵・三春)〈特集642・家具俳句2-6〉2024/4/5
●三色絵0109・「歳晩の」・透次・2012-12-29
○「歳晩の家屋が宿す真暗がり」(→透次0123)
季語(歳晩・冬) →三色絵フォトチャンネルへ
家のなかにはいくつかの部屋があり、誰もいない部屋もあります。そのなかの闇は、人が動いてかき回さないかぎり、いつまでも濃く澱んだままです。その家には年末の慌ただしさは微塵もありません。
●特集俳句0109・家屋俳句08=縁の下・辻田克巳・2012-12-28
○「大年の逆さに覗く縁の下」(→辻田克巳03)
季語(大年・冬)
家屋俳句第8弾は「縁の下」。おそらく縁側から顔を逆さに垂らして縁の下を覗いたのです。何か物を探しているのでしょうか。あるいは飼い猫の姿を探しているのでしょうか。あんまりながく覗いていては、頭に血がのぼりますよ。
●方法俳句0109・オノマトペ08・中戸川朝人01・2012-12-27
○「ぱらぱらと星生みてゆくしぐれかな」(中戸川朝人01)
季語(しぐれ・冬)
時雨がぱらぱらと星を生むように降っています。気温もかなり低くなってきました。あとすこしで時雨が雪に変わりそうです。夕方から夜へと移る寂しい時刻です。
○中戸川朝人(なかとがわちょうじん)(1927~2011)
代表句「傘のうちひとりひとりや夕しぐれ」02
季語(夕しぐれ・冬)
神奈川県横浜生まれ。→大野林火門。1951年濱賞。1972年濱同人賞。1966年より「濱」編集参画。1987年「方円」創刊代表、のち主宰。