超音波システムの技術NO.92
複数の異なる周波数の超音波を適正に利用するための
液循環とマイクロバブル発生の様子です
<<超音波システム研究所>>
参考
現実の問題処理・経験の蓄積
第22 回京都賞記念ワークショップ 基礎科学部門
「統計的推論とモデリング」 赤池弘次 より抜粋
・・・・
この式は、情報量I(Q:P)が真の分布QとモデルPの
平均対数尤度の差であることを示し、
ある人が、観測値x に関するモデルP の
対数尤度logP(x)をP のQ への近さの測定値と
して繰り返し利用すれば、
その平均が情報量を定義する量に収斂することを示す。この
ことは、真の分布がその人だけに固有のものであっても、
logP(x)はP の良さを判断する
量として彼にとっては合理的な選択であることを示す。
更に、真の分布が社会的にただ一つに決まるという場合には、
多くの人に繰り返し利用される場合の平均は
同じ量に素早く収斂するであろう。
これは対数尤度の間主観性(注:補足)を説明するものであり、
これが対数尤度に基づく統計的推論に
一種の客観性を与えるとみなされる(2)。
この見方から、情報量I(Q:P)を、モデルP の質を評価する規準、
すなわち情報量規準とみなすことができる。
注:補足
「相手の立場になって考えてみる」=「間主観性」
それは、「間主観性」と呼ばれているものです。
英語では「インター・サブジェクティヴ」です。
国と国のあいだの関係、つまり国際は、
英語で「インター・ナショナル」ですよね?
それと同じで、間主観性は、まさに主観と主観のあいだの関係を意味します。
(中略)
間主観性というのは、ようするに、
「相手の立場になって考えてみる」というだけのことなのです。
統計的推論は何らかのモデルを利用して実行される。
モデリングの仕事は心身の働きに
よって遂行される知的な活動であり、
対象のイメージを心に抱くことから始まる。
このようなイメージは、関連する客観的知識、
経験的知識、および観測データの蓄積と適切な使用がなくては得られない。
この場合には、必ずしも数学的表現で記述されない、
あるいは計算機で取り扱えない状況でのイメージや
モデルの構築を効果的に指導する原理の展開が必要である。
筆者の見方によれば、
このような研究の素材は
現実の問題処理の経験の蓄積によってのみ獲得される
<イメージとモデルの関係>
ロダンは別の話で、これを
裏付けるかのように、時間的動きのイメージを生み出す要領として、
体の各部の刻々の形の接続によって動きを表現することを説明している。
これを動きのモデリングの立場から見ると、
イメージ構成の基本要素が、対象の各部の
「安定な静止状態からの逐次的変位の系列」
によって与えられることを示すものと見ることができる。
一瞬の姿をこの基本的要素の繋がりに分解して捉えることにより、
初めて動きの解読が実現し、
動きの内容の把握と伝達が可能になる。
これは優れた芸術的活動に見られる、
高度に知的な情報処理の実態である。
超音波システム研究所は、
超音波利用に関して、
<統計的な考え方>を利用した
効果的な「測定・解析・評価方法」に関する技術を開発しています。
<統計的な考え方について>
統計数理には、抽象的な性格と具体的な性格の二面があり、
具体的なものとの接触を通じて
抽象的な考えあるいは方法が発展させられていく、
これが統計数理の特質である
超音波の研究について
「キャビテーションの効果を安定させるには統計的な見方が不可欠」
<モデルについて>
モデルは対象に関する理解、予測、制御等を
効果的に進めることを目的として構築されます。
正確なモデルの構築は難しく、
常に対象の複雑さを適当に"丸めた"形の表現で検討を進めます。
その意味で、
モデルの構成あるいは構築の過程は統計的思考が必要です。
<モデルと現状のシステムとの関係性について>
( 考察する場合の注意事項 )
1)先入観や経験は正しくないことがあると考える必要があります
2)モデルの本質を考えるためには、
圏論(注)を利用することが有効だと考えています
(実際に応用化学や量子論などで積極的に利用されています)
注:圏論は、数学的構造とその間の関係を抽象的に扱う数学理論
<論理モデルの作成について>
(情報量基準を利用して)
1)各種の基礎技術(注)に基づいて、対象に関する、
D1=客観的知識(学術的論理に裏付けられた理論)
D2=経験的知識(これまでの結果)
D3=観測データ(現実の状態)
からなる 「情報データ群 」、DS=(D1,D2,D3) を明確に認識し
その組織的利用から複数のモデル案を作成する
2)統計的思考法を、
情報データ群(DS)の構成と、
それに基づくモデルの提案と検証の繰り返し
によって情報獲得を実現する思考法と捉える
3) AIC の利用により、
様々なモデルの比較を行い、最適なモデルを決定する
4) 作成したモデルに基づいて
超音波装置・システムを構築する
5) 時間と効率を考え、
以下のように対応することを提案しています
5-1)「論理モデル作成事項」を考慮して
「直感によるモデル」を作成し複数の人が検討する
5-2)実状のデータや新たな情報によりモデルを修正・検討する
5-3)検討メンバーが合意できるモデルにより
装置やシステムの具体的打ち合わせに入る
上記の参考資料
1)ダイナミックシステムの統計的解析と制御
:赤池弘次/共著 中川東一郎/共著:サイエンス社
2)生体のゆらぎとリズム コンピュータ解析入門
:和田孝雄/著:講談社
参考
<統計的な考え方>を利用した「超音波技術」
https://youtu.be/RAm5e_g65cY
https://youtu.be/U385UQOi5TQ
https://youtu.be/I5LFwTtsoSA
https://youtu.be/PPJ3l359sxQ
https://youtu.be/yhS4WdZZ2vQ
<論理モデル作成について>
1)各種の技術(注)に基づいて、対象に関する、
ID1=客観的知識、
ID2=経験的知識、
ID3=観測データ、
からなる 「情報データ群 」(Informational Data Set)、
IDS=(ID1,ID2,ID3) を明確に認識し
その組織的利用を考察する
2)統計的思考法を、
情報データ群(IDS)の構成と、
それに基づくモデルの提案と検証の繰り返しによって
情報獲得を実現する思考法と捉える
3)AIC の利用により、
未知パラメータを含む様々なモデルの比較を行い、
最適なモデルを提案検討する
4)時間と効率を考え、以下のように対応することを提案します
4-1)「論理モデル作成事項(効果的な超音波洗浄技術について)」を考慮して
「直感によるモデル」を作成し、ユーザーと打ち合わせを行う
4-2)実状のデータや新たな情報によりモデルを修正・検討する
4-3)ユーザーが合意できるモデルにより
装置やシステムの具体的打ち合わせに入る
注 化学工学:反応工学、化学プラント工学、LSIプロセス工学、薄膜作成工学 表面工学 等
機械工学:自動制御(システム工学)、熱力学、材料力学、流体力学、加工工学 等
電気電子工学:超音波工学、音響学、医用画像処理、分子エレクトロニクス工学 等
その他:物理学、物性工学、ナノテクノロジー、超分子、最適化、マイクログラビティ応用学、
プロセスマテリアル、ITエレクトロニクス、ドラッグデリバリー、バイオテクノロジー 等
AIC:赤池情報量規準(Akaie Information Criterion 統計モデルの相対的評価)
考え方(全体を貫く基本的な概念):
多くの真実らしき断片を見据え、その奥にある統一的メカニズムを描像する。