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ママチャリ総理大臣~時給1800円~【改】第6話 【ネット直接民主主義党】(通称ネット直民党)結成

2023-10-24 15:44:51 | 日記

  国民の不満が沸騰点に達した頃、SNSにある投稿がUPされた。

 曰く、

『代議員による間接民主制は国民のためならず。』

昔と違い、国民の声を直接反映させる手段として、インターネットがあるのだから、

『何も議会制にこだわる必要は無い!』

公平に国民の声を反映させるのなら、「地盤、看板、カバン」が立候補に必須の条件の議会制民主主義はもういらない!金持ちや権力者しか議員になれないから、彼らから特権意識が消えないし、国民のための政治をしようとしないのだ。

 

 

 最初はその投稿を誰も相手にしない。

 しかし幾度も諦めず投稿すると、次第に[いいね]がつき、数が増えてくる。

 そのうちこの投稿に共鳴した、似たような主張の投稿が複数登場しだす。

 

 特に積極的に主張する者が10人程現れ、それぞれがリーダー的な立ち位置になる。

 彼らは草創期10人で『10人衆』と呼ばれ、共鳴者たちの中から更にリーダーが増え、20人衆、25人衆と拡大、定期的に意識統一と意見交換のためネット会議や年に一度直接会い、コンパを開くようになった。

 彼らリーダーたちはそれぞれのblogや動画チャンネル、SNS等で情報や主張を発信、読者の意識改革に大きく貢献した。

 

 

 一般的に日本人は特有の自己責任的発想が思考を支配している。つまり病的に責任感が強いのだ。

 例えば自分がブラック企業に勤めているとする。

 大半のブラック企業には、青息吐息の経営状態、そんな企業にありがちなパワハラ、モラハラ、セクハラが当然の空気として充満していた。

 そしてその加害者たちは巧妙に自分の罪を隠ぺいし、犯罪逃れの構造が浸透している。

 そんな業績不振の責任転嫁案件や人格否定の言動や威嚇などの方法で攻撃する体質、それらを以って弱い立場の者を追い詰める彼らに対し、被害を受けた者たちはその構造的理不尽な攻撃に対し、自分の能力不足、努力不足が悪いと信じ込まされ追い詰められる。

だが本当に総て自分が悪いのか?

もちろん責められても仕方ない自業自得のダメ社員もいるだろう。

でもそんなダメ社員ではなくとも、無能な上司や経営者の尻拭いをさせられる者、たまたま性格的・感情的に合わない部下を攻撃する自己中で意地の悪い輩や、意のままにならない同僚や部下に日常的に嫌がらせをする者からの被害を受ける普通の弱者が大勢いる現状が存在するのは事実。

しかしどんなに頑張っても個人の力ではどうにもならない、そんな会社の仕組みに支配された現状に『仕方ない』と考え諦めてしまい、問題意識を持つ人は少ない。

会社だけではない。

学校、行政サービス、家庭・町内会など様々なコミュニティーの中にあっても状況は同じで、弱者が強者の声高な主張の前に屈伏する。

狡猾に有利なマウントをとった者が勝者となり、偽りの正義を振りかざす。

 

それで良いのか?

 

弱い立場で気弱な自分の切実な声は誰にも届かず、いつの間にか自らの処世術としての信条を『我慢するか、諦める』しかないと感情を押し殺す。

 自分は弱者なのだ。このままでは一生弱者のまま。死ぬまで負け犬として過ごすのか!

 それって絶望ではないか!!

 

 それで良い筈はない!!

 

 ではどうする?

 

 自分個人の意識を変え、社会を変えなければ、現状は何も変わらない!!

 

そう云う認識が広く国民の間に広まった。

 

 

 それでは具体的にどうするのか?

 

 25人衆の度重なる話し合いで、ある精神・行動規範を取り決めた。

 

 その具体的内容とは、明治維新直後に発刊された福沢諭吉の『学問のすゝめ』に添った国家経営と個人教育を推し進め、自由と平等の理想とする概念を具体的に指し示し、規範とするのだ。

 

 何やら古臭く現状にそぐわない印象を受けるが、『学問のすゝめ』を実際に読んでみると、極めて重要で民主主義の根幹を成す精神的支柱であるべき事に気づく。

 

 

 例えばあの有名な『天は人の上に人を創らず、人の下に人を創らず』との文言は、決して天の創りしこの世が無条件に平等だと言っているのではない。

 むしろ不平等な世の中だから学問(実学)に勤しみ、その努力によって各々が力をつけ能力の差を縮め、不平等の差を無くす。それこそが平等のあるべき姿である。

 

 また自由とは決して無制限に行動を保証するものであってはいけない。

 

 結果的に他人に迷惑をかける行為は他者の自由を圧迫する。私利私欲や煩悩に支配された状態は社会や国家間に憎しみを生み、争いの元になるだけである。

 だから自らの分限を守り平和に共存できる社会や国家こそ、真に自由が保証された社会・国家と言えるのだ。

 

 故にこれからの新生日本、国家を再生に導く精神的・道徳的・法律的規範をここに置くと宣言した。

 

 

 

 

 25人衆のそうした扇動により多くのネット民の間でそう云う認識に到達したと同時に、ネット民を中心とした国民の目はこの国の行政機関にも向けられる。

 

 特にあまりにこの規範を踏みにじるような、目に余る行為と言動に終始する機関。

 それは特に予算の全てを掌握し、絶大な権力を揮う行政機関に。

 つまり財務省の上級官僚たちである。

 そして彼らがこの国に蔓延はびこる諸悪の根源であると、ネット25人衆の主張により国民は気づかされた。

 彼ら高級官僚たちは選挙など民意一切を通さず、一度の入省試験に通れば一生涯上級国民としての特権を得られる。

 彼らの多くが代々続く特権の家柄から東大など特権階級製造教育機関を経て高級官僚の地位に就く。

 当然彼らに憲法に規定された公僕としての意識は皆無で、国民を支配し家畜化する野心しかもたない頭の良い(ずる賢い)権力欲モンスターとなってこの日本に君臨している。

 

 彼らは国を支配し、平気で自国民とその財産をアメリカ等の外国に売る輩を権力の座から引きずり下ろすには、どうしたら良いか?

 

 ネックになるは日本国憲法。

 その日本国憲法には、議会制民主主義の統治が明記されている。

 

 だからネット直接民主制に変えるには、憲法改正しかない。

 そこでネット内にて新たな政党【ネット直接民主主義党】(通称ネット直民党)を結成した。

 

 結成?

 簡単そうにいうけど、簡単なものではないでしょ?

 

 そうです、政党を全国的に組織し、党員集め、党綱領の作成、党費集めの方法等、やることはたくさんあるのです。

 そこで活躍したのが矢張りネット。

 実は人材確保や資金集め、綱領などの審議方法は総てネットで完結できるのだ。

 

 例えば資金集めは今流行りのクラウドファンディング。

 一般的に従来の手取り早い資金集めの方法として、献金やパーティーなどに頼ると、必ず利権や不正に関与する原因を作ることから、それらの方法は厳禁とした。

 代替方法としてネットを通じ一口1、000円、一口5、000円、一口10、000万円の3タイプの寄付を設定。クラウドファンディングサイトを開設して広く寄付を募った。

 タイプ別に個人向けのA(1,000円)、グループ向けのB(5,000円)、企業向けのC(10,000円)の3タイプである。

 そう設定する事でクラウドファンディングで資金を提供してくれる個人も企業も、タイプ別一口、一口の積み重ねに過ぎず、特別な発言権や忖度の余地を排除した方策を徹底した。

 一口はあくまでも一口。誰が何口提供しようがそれは地位や立ち場に反映されない。大口提供者としての特典は無いのだ。

 しかし、それではいつかは資金提供が頭打ちになり、枯渇する。

 その問題を解決するために、新たな方策が考案された。

 その方策とは、クラウドファンディングに資金を提供してくれた個人・企業に対し、あらかじめ決められた政党名のロゴと合わせ、様々な階層の新進イラストレーターを中心として公募に参加し、採用された者たちのイラストとカップリングされたステッカーを返礼品として配られた。

 この施策は大当たりし、イラスト・政党名カップリングステッカーは全国至る所で見られるようになる。

 しかも返礼品を受け取る側も自由に選択したイラストのステッカーを貰えるので、個人も企業も自分達の趣味・自己主張・利益を優先した種類、タイプで選択できた。

 だからCタイプ10,000円の寄付をする企業にも企業イメージUPの宣伝効果を狙った専用図案・ロゴステッカーを任意のイラストレーターに製造依頼し寄付額に比例したPRが可能となる。

 個性と自己主張をしたい個人(Aタイプ)、グループ(Bタイプ)も同じ。

 またステッカーはリアルシール(現物)だけではなく、ネット上に掲載するPRにもデジタルステッカーとして使用する事もできた。

 そのおかげで、資金を提供する人も企業など団体も、資金提供参加が1口だけに留まらず、上限なく提供しステッカーを取得できるのだ。

 またイラスト制作者に資格などの制限もなく、公序良俗に反しない限り、誰でも制作し申請、登録できたので、個性的なもの、資金提供希望者から直接制作の依頼を受けて製造申請をする者などが現れ著作権料を得るなど、当初の想定外の方向で盛り上がりを見せた。

 誰でも協力者になれ、誰でも党勢拡大に参加できる。

 それは自分でも参加できる当事者感の自覚を産む。

 

 その結果【ネット直民党】は議会制民主主義から直接民主制に変更させるためだけを目的にした『目的政党』として規定され組織し、ネット内で支持を集めその結果、既存の政党の古い常識的発想と体質は急速に支持を失い、ネット直民党にシフトした。

 

 そして驚異的な短期で過半数どころか、全議席の3/2を超える議席を獲得、直ちに憲法を改正、ネット直接民主制を実現させる準備に入る。

 その結果、政権を掌握した【ネット直民党】は行政実務、立法原案等をネット民に問うため、国民投票を決行、及び憲法改正成立。現状の国会の全議席を廃し、各省の高級官僚の解雇を断行した。

 

 その過程と平行して様々な政治組織改革とその制度も確立させ、制度が根付くのを見届け残務整理のため【ネット直民党】実務部門として残留していた一部機能組織も解散する。

 その後はネット政党の意を受けたネット政治委員会に権限移行、運営を担当。

 閣僚や官僚の選任、人材へのサポートや助言を行う機関の創設と公平な政策判断を実行するためのルール作りと維持・持続させる仕組みの構築を実現させた。

 

 また、一般国民有権者に対し、持続的な基礎政治知識の啓蒙教育を実施。

 国政を衆愚政治に陥らせないための良識や具体的なルール知識のレクチャーに力を入れた。

 その方策例として、ネット政治講座の継続的な定期視聴の義務化(罰則無し)や試験を実施。

 知識等級別に政治参加への資格が付与された。

 そう云う経緯から、総理大臣を含む閣僚・官僚の任期を一年と決め、長期政権担当の腐敗を防止し、マンネリ化・硬直化を防ぐ仕組みを構築する。

 

 

 

 ここに一般国民を代表者とする民主政権・政府の誕生を宣言する!

と高らかに謳う。

 

 こうして素人集団の政府が生まれ、板倉のような教育係の強力なサポート体制が敷かれるようになった。

 

 

 竹藪平蔵に内閣総理大臣の話が舞い込んだのも、そうした歴史背景があったのだ。

 

 

 

 

 

     つづく

 


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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (ukuleleman)
2023-10-28 14:40:51
私は以前潰れた山一證券に努めてましたが、時代が時代なのかも知れませんが、馬鹿だ◯ょんは当たり前で、職場では公然と不倫するアホもいる凄い会社でしたが、潰れました。おかしなものは主様がおっしゃるとおり、当たり前に正す時代かと日々思います。
今までは変える事のできなかった事をただして下さい
Unknown (uparupapapa)
2023-10-29 05:00:14
@ukuleleman ukuleman 様
コメントありがとうございます😊

山一證券の事は私も記憶しております。
当時は大々的に報道されていましたね。

ukuleman 様のその後も大変だったとお察しします。

私はこの小説モドキを発表した動機が世の中に「このままで良いのか?」と問題を提起し、共に考えていただきたいから小説の形を借り、訴えています。

私のような名もなき一般の者がいくら声をあげても、誰も耳を貸してくれなけれ意味がありません。
だから少しでも読者の皆様の興味をひけるよう下手な文章ながら自分なりに工夫しています。
もちろん私が一段上から思い上がって、ひとりよがりの主張を繰り返すつもりもありません。
ただ皆さんに考えるキッカケを提供する事ができたら、と思っています。
そういった意味でukuleman 様に私の意をお汲み取りいただけた事を大変嬉しく思います。
もちろん私の意見・主張が必ずしも正しいなどとは思っていません。
でも読んでいただき、自分ならこうしたい、こう思うと、ご一緒に今後の行政や社会の問題を考え合える環境を作りたいと思っています。

ukuleman 様からのコメントは私にとって、とても励みになりました。
今後ともどうぞ宜しくお願いいたします。

ありがとうございます。

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