初日の最初の仕事でブリッジをセットしてくれって院長に言われたのだが、模型を確認するとポストクラウンブリッジなのよ。
初めて見るポストクラウンブリッジでね。
ポストクラウン自体はまだ保険適応の時期だったので見るには見た事があったし、自分でも第2大臼歯部でクリアランスが無い症例では選択したこともあったのだが、左上357の5本ブリッジだったのよ。
いや、ほら、上顎って歯根の平行性とかあるじゃない?
補綴物を見た瞬間、心拍数が上がったね。
直感で入らないのよ!
外注の技工士が物理的限界をどうやって乗り越えたのかが不思議なポストの長さで、アンダーカットありまくりなのよ。
挿入方向を試行錯誤しながら、なるべくポストが長く残るように調整して、咬合もなんとか調整して最先端のレジン系接着剤で装着しました。
その後の治療も全部そんな感じでね。昼休みに黙って帰っちゃって電話で辞めることを伝えても良心が咎めないくらいの仕事場だったと思うのだが、嫁の実家だったのでそうもいかず
『えらいところに来ちゃったな、、でも、なんとかしなくっちゃ!』
なんて義憤に駆られたのが、2つ目の大きな分岐点でした。
人間若い時は自分の限界が見えなくて頑張ってしまう。と聞いたことがありますが、初日に昼飯を食いながら、嫁とお互い奥歯に物が挟まったような会話をした時に逃げ出しとくべきでした。
ブリッジはその後すぐに脱離しました。
全ての歯が歯肉縁下の残根で、カリエスも残っていて、周囲の歯肉がブヨブヨで触ると出血して、一目でこりゃ抜歯だな。ってな状態で『ええっ!今日はブリッジセットなんですか!』だもんね。
次回、とぐろ根充