痛かったら手を挙げろ

時々タイトルが変わります

ポストクラウンブリッジ(予約を取らない歯医者 その1)

2018年08月29日 19時40分30秒 | 今日の天使

  初日の最初の仕事でブリッジをセットしてくれって院長に言われたのだが、模型を確認するとポストクラウンブリッジなのよ。

 

初めて見るポストクラウンブリッジでね。

 

ポストクラウン自体はまだ保険適応の時期だったので見るには見た事があったし、自分でも第2大臼歯部でクリアランスが無い症例では選択したこともあったのだが、左上3575本ブリッジだったのよ。

 

いや、ほら、上顎って歯根の平行性とかあるじゃない?

 

補綴物を見た瞬間、心拍数が上がったね。

 

直感で入らないのよ!

 

外注の技工士が物理的限界をどうやって乗り越えたのかが不思議なポストの長さで、アンダーカットありまくりなのよ。

 

挿入方向を試行錯誤しながら、なるべくポストが長く残るように調整して、咬合もなんとか調整して最先端のレジン系接着剤で装着しました。

 

その後の治療も全部そんな感じでね。昼休みに黙って帰っちゃって電話で辞めることを伝えても良心が咎めないくらいの仕事場だったと思うのだが、嫁の実家だったのでそうもいかず

 

『えらいところに来ちゃったな、、でも、なんとかしなくっちゃ!』

 

なんて義憤に駆られたのが、2つ目の大きな分岐点でした。

 

人間若い時は自分の限界が見えなくて頑張ってしまう。と聞いたことがありますが、初日に昼飯を食いながら、嫁とお互い奥歯に物が挟まったような会話をした時に逃げ出しとくべきでした。

 

ブリッジはその後すぐに脱離しました。

 

全ての歯が歯肉縁下の残根で、カリエスも残っていて、周囲の歯肉がブヨブヨで触ると出血して、一目でこりゃ抜歯だな。ってな状態で『ええっ!今日はブリッジセットなんですか!』だもんね。


次回、とぐろ根充



予約を取らない歯医者

2018年08月22日 20時12分40秒 | 今日の天使

  日本で最後の「予約を取らない歯医者」で働いてた事があるのだが、なんで最後って言い切れるかというと、※※県に本社を置く材料屋の※※支店従業員が言っていたので、そいつが知る限りの北※※から東※地方では最後だったのだろう。

 

※北地方で最後って事は、日本で最後と言っても差し支えないと思うし、そんな日本で最後の滅びゆく種を見てきたのよ。

 

昔々はどこの歯医者もそうだったみたいで、そこの歯医者も全盛期には1人で200人を診ていたと言っていたし、近隣ナンバー1の歯医者では2人で300人診ていたと言っていたし、たしかにそれだけの人数を捌くには予約なんて言っていられないのは良く分かるのだが、それを今からほんの10年前まで継続していた歯医者があったのよ。

 

そんな「予約を取らない歯医者」で働いた2年間の貴重な体験を書き綴っていくのです。