からくの一人遊び

音楽、小説、映画、何でも紹介、あと雑文です。

米津玄師 MV「 灰色と青( +菅田将暉 )」

2018-02-13 | 音楽
米津玄師 MV「 灰色と青( +菅田将暉 )」


チャラン・ポ・ランタン,愛の賛歌,野毛大道芸


チャラン・ポ・ランタン / Mr.Childrenアレンジ/演奏「かなしみ」Music Video(short ver.)


はは、三曲連続。しかも不ぞろい。

チャラン・ポ・ランタンが素晴らしかったからさ、三曲中二曲を続けてしまった。


     


   カーコ


三年前まで僕にはカーコという20違いの従姉がいた。

彼女は痩せてるくせに豪快で、よく笑い泣く女性だった。

いつも会うと「あんたはね、マーブルチョコが好きでね」なんて話になったものだ。

どうやら僕が三歳の時に母親の代役をつとめていたようだ。

そのころ実母が肺を壊して1年ほど療養してしていたと父から聞いている。

その間、4人子供がいた我が家ではモーレツ会社員だった父一人では育てるのは無理だろ、ということで一番小さい僕が親戚んちに預けられた。

それがカーコんち。

そのころカーコは23歳でアルバイトはしていたけど花嫁修業中の身。

いい実験台ができたと、僕を仮想息子としておんぶしたり、だっこしたりしていたらしい。

ときどきイライラして僕の鼻をつまんでいたとの情報は伯母さんから。

まあ、そのときの僕はよく泣く子で、マーブルを握らせればすぐ泣き止んだそうだ。

だからマーブルチョコレート「好き」になる訳。

それから一年ほど経って僕は親戚の家を追い出されたみたいだけど、そのときカーコは台所で玉ねぎを切っていたとの記録がある。

薄情な奴。

いや、ほんとはその逆。



それから何年もして会ったカーコは何故かさる企業のOLになっていた。

36歳、結婚はいつするんだって状況だった。

一年ものあいだ花嫁修業と称して僕を実験台にしたくせに。

ギャラでも請求してやろうかいね。

ギャラと言えばそのころ高校生だった僕を無理やり連れだし、銀座の高級時計店にまで引っ張って行き、どれでも好きなの選べと言ったカーコ、

どうやら、非常に遅い高校の入学祝のつもりだったらしい。




それからまたまた何年もして・・・・、伯父の葬式で会った時、僕のお悔やみに対して自分の父親が亡くなったのにも関わらず、「あんた、マーブルチョコレートまだ好き?」ときたもんだ。・・・・どっかで膝を抱えてたって知ってたんだぞ。

そして・・・・、葬式の後から何故か今度は途切れずにたびたび会うようになった。

大体お街で、その頃には僕はもう結婚していたので、カミさんもつれて来いと命令され、女二人に男一人、月に一度の食事会を強要された。そしていつも財布代わりにされた僕、それってありかぁ?殆どお前ら二人で飲み食いしたくせに。

そんなこんなでずっと付き合いが続き、一番最後に生きているカーコに会ったのは病院の一室で三年前で、やせ衰えて可哀想だったけど、綺麗でそれなのに結婚してなくて、「カーコ?」僕が言うと、「マーブルないよ」なんて僕をまだまた子供のような扱いなんかしたりして・・・・。
目が濡れてたなぁ・・・。

病室を出る時、カーコは突然「ところであたしの本当の名前知ってるの?」

「勿論!」

「じゃあ、言ってみてよ」

「かこ、じゃん」

「よしよし、あんたは本当に昔から可愛い息子のようで・・・」

そして、最後にこう言った。

「あたしゃ、あんたが可愛い。だから死んでも生きてゆく」





今、僕はあんたを想い出している。

今日不思議なことがあった。

街中で突然雨が降り出してきて、濡れるのも構わず歩いてたら、後ろから小学校に入ったばかりかな?みたいな女の子がついて来たんだ。

僕が振り返ると、笑いながら自分がさしている赤い傘を手渡そうとする。

「それでは君が濡れるじゃないか」
といらないいらないをすると、

「うちそこ」とすぐ前のとんかつ屋を指した。

僕はそれならいいかと、

「ありがとう。それじゃあ、貸してもらうよ。明日にでも返しに来るからね」
と、お礼を言った

「うん」

「でも、君は偉いね。大人だってなかなかできないぞ」

「うん、でもママがね、こういうときはそうしなさいって・・」

そうかそうかと僕はそれからバイバイしながら彼女と別れたんだ。

家に帰り、とりあえず傘を乾かそうと玄関先に広げたまま置こうとしたら、傘になんか刺繍がしてあるのが目に入った。

文字?

少し、顔を近づけるとそこにはこうあった。

       かこ


あれは偶然?それとも・・・・。

今、あんたを想い出しながら、古い写真を眺めている。三歳の僕と、あんたが写っている。

裏を返してみる。

あんたの筆跡・・・。



    マーブルチョコレート


・・・・最後までガキ扱いかよ。


あんたは死んでも生きてんだな。

たまにはカミさんの代わりにカレーでも作るか。

たまねぎをいっぱい使った・・・・・。


コメント (4)    この記事についてブログを書く
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 【新垣結衣】《恋空》Heavenl... | トップ | Czecho No Republic x SKY-HI... »
最新の画像もっと見る

4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
カーコ (流生)
2018-02-14 17:30:43
カーコ

上手いタッチで書くよね!
朝から読んでウルウル来たよ!
流れるような文章構成がたまらん。
ええね~ マーブルチョコ

流石は賞を取るだけあるなぁ~って
マーブルチョコ買おうって。
おいおい・・・そっちかい (。・_・。)ノはい
バレンタインぼっち
予想外の展開なのだよ!人生は・・。

立ち飲みバーにタイガーって名前の
マスターがいてね!カクテルグラスに女性限定でマーブルチョコサービス💦

からくさんち
今夜はカレーと妻チョコだねぇ~
羨ましいけど腹も立つ!(^∇^)笑
Re.流生さま (からく)
2018-02-14 20:56:07
コメントありがとうございます。

おいおい、入賞はしとらん!(~_~;)
四段階で、三次選考落ち。

まあ、それだけ私の筆致がさえわたっていたってことだな。(≧▽≦)

そのマスター、マーブルチョコを使うとはやりてじゃのう。
妻チョコ・・・。いつもより少し小さい
あっ、今日コンビニでマーブルチョコ買おうとしたらなかった。
コンビニにはないのかな?
遅コメ💬 (ゴロゴロ日和)
2018-02-16 08:45:33
(๑o̴̶̷̥᷅﹏o̴̶̷̥᷅๑)うぅぅ~
なんか、ちょっぴり切なくなるお話…
けど、
愛情溢れる、すごぉ~くいい思い出ですね。
からくさんは、お話上手なんですね。
じーーんときました。
良いお話をありがとう
(ο ´ω`)'_ _))ペコリ
Re.ゴロゴロ日和さま (からく)
2018-02-16 12:54:57
コメントありがとうございます。

ほめていただいて嬉しいです。

「ちょっぴり切なくなるお話…」

私にとっては最高の褒め言葉です。
このちょっぴり切ないというところを大事にして書いてみました。
だからフィクション半分、ノンフィクション半分です。
あんまり大げさな感情は書きたくなかったので。

最後に、繰り返しますが、
本当にありがとうございました。

コメントを投稿

音楽」カテゴリの最新記事