からくの一人遊び

音楽、小説、映画、何でも紹介、あと雑文です。

「落陽」吉田拓郎

2016-09-17 | 音楽
吉田拓郎洛陽


前述を見た人は、あれ?拓郎ってもともと四畳半フォークの代表選手じゃなかったっけ?と思う人がいるかもしれませんが、そんなことありません!彼はどちらかというとロック思考の人です。

もともと、彼は広島にいるころロックバンドを率いていた人間で、上京してからもGSのモップスに曲を提供していたのです。

そもそも”四畳半フォーク”という少々侮蔑を含んだ言葉を世に知らしめたのはユーミンで、そのユーミンはモップスの追っかけをしていたのですから、”四畳半フォーク”の範疇に拓郎を入れるはずがないのです。

批判する人は恐らく、”旅の宿”や”結婚しようよ”のことを言っているんだろうけど、当時彼自身はフォークソングを歌っているつもりはなかったそうです。

拓郎の歌って、どんなに悲しい歌を歌っていても、カラッとしているでしょう?

そこが私は好きなのです。



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Betsy & Chris White color is lover's 白い色は恋人の色

2016-09-17 | 音楽
Betsy & Chris White color is lover's 白い色は恋人の色


実はフォークソングは後のかぐや姫を代表とする”四畳半フォーク”よりも、トワエモアを代表とする”カレッジフォーク”の方が好きです。

なぜかというと私は演歌がこの年に至るまでどうも好きになれず、”四畳半フォーク”というのはその演歌の流れに相通じるところがあると思われるからです。

演歌が苦手なのは、湿っぽいから。”四畳半フォーク”というのはまさにその湿っぽさを売りにしているジャンルなのです。

フォークはアメリカで生まれたミュージックです。勿論例外もありますが、プロテスタントソングに代表されるように前を向いている音楽です。

ですから後ろを向くような音は必要なく、あくまでも前を向いて歩けるような音楽であってほしいのです。

その意味では加藤和彦さんの初期の作品は見事なまでのアメリカン・ミュージックを継承している音であり、私が好きな理由もそこにあるのです。

残念ながら、加藤さんはすでにいません。

けれど、彼の残した作品の数々はこうして私たちの耳に21世紀になった今でも届けられています。私たちはそれらの作品をただ、愛していけば良いのだと思います。

それがきっと後世にそれらの作品を残すことに役立つと思うのだから・・・・。
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愛情物語6

2016-09-17 | 音楽
6. 決心

「きっと、陽子さんは待っているよ。考えるより行動なさい」

姉は力強く、そしてはっきりとそう言った。

私は姉のその言葉に背中を押され、行動か・・・、と呟き、それがいかに難しいかを考えた。




あのころはまだバブルの名残りが残っていて男女の付き合いは煌びやかで明るいものであった。

男と女がいればいかにして相手を落とすかを考え、お洒落なレストランに連れていったり、夜景がきれいな場所に連れて行き、そこで“告白”したり、その日のうちにホテルに行ったりと、ともかく安易なテレビドラマのように豪華なシュチエーションを常に考えていた。

それは、いってみればただの“恋愛ゲーム”であるが、恋愛の過程を楽しむという点では確かに必要なことであるかに思えた。

私と陽子の場合はどうだったのか?

私たちの間ではそんな“お祭りごと”は他人さまのやることであり特に陽子はそれを避けていたふしがあった。

12月に入っても私たちは相も変わらず週に一度日曜日に会うだけで特別なイベントはなかった。

私は“海での一件”以来、陽子との距離が縮まらないことに鬱鬱としており、彼女と会うたびにどうしたものかと悩んでいた。

それであるとき思い切って姉の部屋に行き、相談したのだった。

「ほら、また考えてる!」

「でも、何をやったらいいか分からないんだ」

「お洒落なレストランでも連れてってあげたら?」

「それは、彼女が気が進まないみたいだし」

「そんなことはないわ。気が進まないなんてそれは口だけ。いざ連れて行ってみれば彼女もきっと満足するわ」

経験上、と姉は付け加えた。

姉は大きな目をくりくりさせながら私の話を聞いてくれていた。

目鼻立ちがはっきりしていてまるで洋画の映画スターのように彫りの深い顔をした姉は、こと、男女の付き合いに関してはベテランである。

小さなころは蝶よ花よと育てられ、思春期になると周りの男どもが放っておくことはなかった。

男どもはこぞって彼女を自分の隣に据えることを熱望し、彼女もその中から自分に釣り合うだけの男を選ぶとそれに応えた。

大抵は姉の気まぐれにより、一年かそこらで破綻してしまうのであるが、どこ吹く風、彼女の男関係は途切れることはなかった。

つい最近も男と別れたばかりのはずだ。

私がそう思っていると、彼女はこう言った。

「恋はね、ゲームなの。好きになるまでの過程が楽しいのよ。どうやったらこの人に思いが伝わるのか、どうされたら好きになれるのか。そこが大切なのよ」

「陽子もそうなんだろうか?」

「さあね、ただ好きになるまでの過程が大切なのは本当よ。まあ、そのあとが続かないから私も未だに独身なんだけれどね」

姉の言葉には、正直説得力はなかった。

ただ好きになる過程が大切なのはよく分かった。

それがなければ、その先に行けない。私と陽子の関係はそれさえもなかったのだ。

それを作り出すには俺が行動におこすしかない。私は決心し、今しかないよなと思った。

「ありがと、ねえちゃん」

私は行動に移すべく姉の部屋を出て、自分の部屋に戻った。

ベッドに腰掛けると、脇に自分専用の電話があった。

ええい、ままよ。

私は思い切って受話器を取ると陽子の家の電話番号をプッシュした。

ルルル・・・。

待受音が鳴る。自分の鼓動が早くなる。できるなら出ないでいてくれ・・・

・・・・はい、樋口です。

陽子の声だ。

・・・・貝塚です。陽子さん?

私はそう挨拶するとともかく気合だと自分に喝を入れ、いきなりこう切り出したのだった。

クリスマスイブ、きみと過ごしたい。予定はいかが?


The Pretenders - Talk of the Town - 1980 (Better Graphics & Audio)

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