「会社を清算すると、私が会社に貸している資金はどうなるのですか?」
会社を清算するに先立って、社長借入金(役員借入金)の扱いについて疑問を持つ人が多いです。社長借入金といえども負債ですので、金融機関からの借入金同様返済をしなければなりません。しかし、返済できないこともあります。
◆社長借入金の返済は後回しにするしかない
「まずは社長借入金の返済をして、残った資金で」と考える人もいますが、そんなことはできません。
金融機関からの借入金については、社長が「個人保証」をしていることが通常ですので、結局は社長借入金の返済で得た(社長個人へ移動させた)資金を金融機関への返済に充てなければなりません。事務所や店舗を借りている場合の賃料も同じです(社長が個人保証をしていると思います)。
仕入代金や従業員の給料については個人保証のような縛りはありませんが、仕入先や従業員はいち早く会社の危機を察知して機敏に反応しますので、気がつけば支払うしかないという状況に追い込まれています。
◆返済できない社長借入金は債務免除
債務免除とは、社長の同意を得て社長借入金の返済を免除してもらうことです(社長個人からすれば債権放棄)。会社を清算するには債務をゼロにしなければなりませんので、このようにするしかないのです。債務免除が行われるのは破産などの法的整理に限定されますが、社長借入金については通常の清算においてもこのような扱いになるのです。
◆債務免除に対する法人税の課税に注意
債務免除を受けると、社長借入金が減って同額の収益(利益のプラス要素)が生じます。わかりにくいかもしれませんが、返済義務がなくなるということは借入額相当の資金をもらったということですから収益になるのは当然です。
収益ですので結果として利益が生じれば法人税の課税対象になります。ただし、債務免除の結果、利益が生じても過去の赤字と相殺できますので、債務免除した年度の利益が過去の赤字よりも少ない場合には法人税は課税されません。
◆債務免除をするタイミング
社長借入金の債務免除をするのは清算作業をしている年度、解散した年度の次年度以降になります。そこまでいかないと債務免除すべき額が判明しないのは当然として、このタイミングでないと繰越欠損金(過去の赤字)の「全額」を債務免除による利益と相殺できないという法人税のルールとの関係もあります。
◆株主との関係
株主への残余財産の分配は、全ての債務(借入金や仕入代金など)の弁済が済んでからです。社長借入金を免除しなければならない状況であれば、株主への残余財産の分配はできません。債務全額の弁済さえできないからです。
ただし、株主に社長以外の人がいてどうしても残余財産を分配しなければならない事情がある場合には、社長借入金を返済するだけの資金があっても債務免除をすることができます。
【PR】記事の内容と直接的な関連はありません。
会社を清算するに先立って、社長借入金(役員借入金)の扱いについて疑問を持つ人が多いです。社長借入金といえども負債ですので、金融機関からの借入金同様返済をしなければなりません。しかし、返済できないこともあります。
◆社長借入金の返済は後回しにするしかない
「まずは社長借入金の返済をして、残った資金で」と考える人もいますが、そんなことはできません。
金融機関からの借入金については、社長が「個人保証」をしていることが通常ですので、結局は社長借入金の返済で得た(社長個人へ移動させた)資金を金融機関への返済に充てなければなりません。事務所や店舗を借りている場合の賃料も同じです(社長が個人保証をしていると思います)。
仕入代金や従業員の給料については個人保証のような縛りはありませんが、仕入先や従業員はいち早く会社の危機を察知して機敏に反応しますので、気がつけば支払うしかないという状況に追い込まれています。
◆返済できない社長借入金は債務免除
債務免除とは、社長の同意を得て社長借入金の返済を免除してもらうことです(社長個人からすれば債権放棄)。会社を清算するには債務をゼロにしなければなりませんので、このようにするしかないのです。債務免除が行われるのは破産などの法的整理に限定されますが、社長借入金については通常の清算においてもこのような扱いになるのです。
◆債務免除に対する法人税の課税に注意
債務免除を受けると、社長借入金が減って同額の収益(利益のプラス要素)が生じます。わかりにくいかもしれませんが、返済義務がなくなるということは借入額相当の資金をもらったということですから収益になるのは当然です。
収益ですので結果として利益が生じれば法人税の課税対象になります。ただし、債務免除の結果、利益が生じても過去の赤字と相殺できますので、債務免除した年度の利益が過去の赤字よりも少ない場合には法人税は課税されません。
◆債務免除をするタイミング
社長借入金の債務免除をするのは清算作業をしている年度、解散した年度の次年度以降になります。そこまでいかないと債務免除すべき額が判明しないのは当然として、このタイミングでないと繰越欠損金(過去の赤字)の「全額」を債務免除による利益と相殺できないという法人税のルールとの関係もあります。
◆株主との関係
株主への残余財産の分配は、全ての債務(借入金や仕入代金など)の弁済が済んでからです。社長借入金を免除しなければならない状況であれば、株主への残余財産の分配はできません。債務全額の弁済さえできないからです。
ただし、株主に社長以外の人がいてどうしても残余財産を分配しなければならない事情がある場合には、社長借入金を返済するだけの資金があっても債務免除をすることができます。
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