【実録】会計事務所(公認会計士・税理士)の経理・税金・経営相談

大阪市北区の築山公認会計士事務所(築山哲税理士事務所)です。
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会社を休眠する場合の条件

2021-08-28 20:30:00 | 廃業、会社清算
会社には休眠という状態があります。休眠とは、仕入れて売るという会社の本来的な活動だけでなく、資金の動きも一切ストップし、事業活動の拠点も存在しない状態をいいます。会社が物理的にも機能的にも存在しないけれども、法務局で「登記されているだけ」という状態ということです。

パーパーカンパニーと休眠会社は違います。ペーパーカンパニーは一般的には目に見えませんが、特定の者が行う取引には現れる会社です。休眠会社は取引をしませんので、法務局の登記以外どこにも現れることはありません。

休眠とは会社にとって特殊な状態ですので、特別な条件が揃わなければ休眠とは認められません。

◆活動再開が予定されている

休眠というからには活動再開が予定されていなければなりません。再開予定としては次のようなケースが考えられます。

〇企業グループ内の会社を休眠させる
複数の会社からなる企業グループに属する特定の会社が、事情により機能を失ったけれども、近い将来その機能が復活する、あるいは機能を変えてグループ内で存在価値を取り戻すことが確実な場合には休眠としておきます。

〇後継者が見つかるまで休眠させておく
現経営者では会社活動を継続することはできないけれども、後継者が現れれば活動再開が可能な場合は休眠にしておきます。このケースでは、活動を再開するにあたっては事業内容が変わることが多いです。

〇若すぎた起業(会社設立)
起業するのが若すぎて失敗するというケースがあります。しかし、若いので再起が十分可能な場合には会社を休眠させておくのがいいです。

最近では比較的会社の設立も簡単で、しかも手続に関する諸費用も安価になってきたとはいうものの、やはり会社の新規設立は相応の手間と費用が掛かります。そこで、活動再開が見込まれる場合には休眠という選択するのです。

◆税務署への届けと税務申告をする

会社を休眠する場合には「税務署」「都道府県税事務所」「市役所(町村役場)」へ届けをしなければなりません。休眠中の会社は通常の会社とは扱いが異なる場合があるからです。

事業年度ごとの税務申告(法人税、都道府県民税、市町村民税)も必要です。会社(法人)は個人と違って税額がゼロでも税務申告が必要なのです。

◆登記も必要

休眠をしたという登記は不要です。しかし、役員の任期満了に伴う改選の登記は、役員の顔ぶれに変わりがなくてもしなければなりません。これをしていないと過料(反則金のようなもの)が代表者個人に科されます。

◆活動の再開

活動を再開する場合の登記は不要ですが、税務署への届けは必要です。当然、税務申告も必要で活動再開後は課税もされます。

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★ほとんどの休眠会社は「清算手続をしていない会社」

世の中には休眠会社が数多くありますが、そのほとんどが本当の意味での休眠会社ではなく清算手続をしていないだけです。活動再開の見込みはまったくなく、所定の税務申告と登記もしていません。

清算手続や税務申告を長期間していない場合にどのようなことが起こるかは、このブログで再三説明しているとおりです。法律を守らない会社が、法律を論拠に攻められても、法律は守ってはくれません。

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