映画『黒い家』

2012年11月12日 | 映画の感想



監督 森田芳光
内野聖陽 (若槻慎二)
大竹しのぶ (菰田幸子)
西村雅彦 (菰田重徳)
田中美里 (黒沢恵)
石橋蓮司 (葛西好夫)
町田康 (松井刑事)
小林薫 (三善茂)
桂憲一 (金石克己)
伊藤克信 (角藤)
菅原大吉 (大迫外務次長)
佐藤恒治 (木谷内務次長)
小林トシ江 (橋本教諭)
友里千賀子 (大西光代)
鷲尾真知子 (波多野医師)
貴志祐介 (営業マン)
山崎まさよし (出前持ち)
黒谷清水 (守衛)

金沢にある昭和生命保険北陸支社に勤務する若槻は、真面目で有能な総務主任として、日夜、仕事に心血を注いでいた。ある日、菰田重徳という契約者からの呼び出しを受け家に赴いた彼は、そこで重徳の継子・和也の首吊り死体を発見。和也が若槻の会社の保険に加入していたことから、和也の実母である幸子や重徳に保険金の催促を受けるようになる。本社の査定が待たれる中、日参する重徳の異常さに息子殺しの疑惑を抱き始めた若槻は、ふたりの調査を独自に開始。重徳が障害給付金を得る為なら指をも落とす指狩り族と呼ばれる札付きであることなど、彼らの数々の黒い過去を知るのであった。そんな折、若槻の恋人である恵の勤務する大学の研究室の心理学助教授・金石が、菰田夫妻をプロファイリングし、ふたりは情性欠如者、つまり心がない人間=サイコパスであるとの判断を下した。ところが、その金石が惨殺され、若槻にも悪戯ファックスが送られてくるようになる。それから暫く後、警察が和也の死を自殺と判断し、菰田夫妻に保険金が支払われることとなった。これであの夫婦から解放される。ホッと胸を撫で下ろす若槻であったが、今度は重徳が勤務中の事故で両腕を切断したとの連絡が入り、障害保険の請求をされてしまう。これには若槻も黙っている訳にもいかず、悪質なケースの対処に出向く潰し屋・三善を差し向ける。ところが、効果がみられないばかりか、これに激怒した幸子が若槻の留守中にマンションに押し入り、部屋を滅茶苦茶に荒らす暴挙に出た。その様子を電話でモニターした若槻は、恵が幸子の家に監禁されていることを知り、彼女を救出すべく幸子の家に侵入する・・・

★★☆☆☆
森田芳光監督のホラー映画。観終わって一言、あ~しんど!な映画だ。なんといっても大竹しのぶのブチキレ演技が凄まじい。幽霊やら妖怪やらが出てくる映画よりも生身の人間の狂気を描いた映画のほうがはるかに怖いよなあって、改めて感じた。演出の面白さで言えば、前半の不自然にスライドしたり切り替わったりするカメラの動きがなんとも居心地が悪くさせる。また、太陽が雲間に隠れて画面が急に暗くなるといった光の変化が執拗に繰り返される。日常ってのがいかに不安定で脆く崩れてしまうのかを暗示していて、不安を募らせる演出と見た。
しかし、評価できるのはそのあたりまで。保険屋という辛い稼業をコミカルに描いた前半と、後半のホラーとの落差が変化球の面白さになっておらず違和感がある。子どもが自殺し、しかも保険金殺人の疑いありとなれば警察も詳しく捜査するだろうに、同じ家の床下にあんなに無造作に腐乱死体が転がっていたらバレないはずがない。また、中盤に大学の男が殺されるのだが彼だけ殺し方や遺棄の仕方を変えてしかも主人公の保険屋に警告するかのような手がかりを残すのか、まったく意図不明。まずもってこの映画の殺人犯は金のためなら手段を選ばないマシンであって、そういうタイプの殺人犯じゃないだろうし。
タイトル音楽に始まる打ち込み音楽もなんだかチープで作品に合っていないように感じた。打ち込み音楽でも、クローネンバーグ監督映画のハワード・ショアの音楽のように逆撫でして不安を募らせるタイプの音楽が合っていたような・・・。


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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
見た見た (りんさん)
2012-11-12 17:21:21
これ、見ましたよ。
大竹しのぶ凄かったです。
たしかこの映画で主演女優賞もらったんじゃなかったっけ?
こういう殺人鬼って本当にいるんだなと、尼崎の事件で思いました。
怖いよ~
りんさんへ (矢菱虎犇)
2012-11-13 03:37:40
確かにスゲ~演技だし、捨て身なんだけど、大竹しのぶさんにしても西村雅彦さんにしても、この映画に関してはコミカルと紙一重に演技過剰気味・・・もちろん演出の責任なんですけど・・・
尼崎の事件!確かに似ていますねぇ。マインドコントロールで操られて複数が関わっていたぶん、尼崎のほうが怖~い。
死体の隠し方とか、映画より尼崎のほうがリアリティがあります・・・リアルなんだよっ(爆)

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