野崎健二郎さん(61歳・人間)
オヤオヤ。
今朝も登校中の小学生たちが見上げてワイワイ騒いでおるわ。
つられてお隣のサラリーマン氏も見上げておる。べっぴんOLまでが立ち止まって、おくちをポカ~ン。
どうじゃ~、すごいじゃろ~!♪屋根より高い♪皇帝ダリアじゃぞ~!
そびえ立つ雄姿を仰ぎ見て、その頂上へと目を移すとき。
大輪の花の清々しいピンク色と澄みきった晩秋の青空が、瞳を染めあげ心を満たしつくすであろうが。
そう。わしは道行く老若男女の顔が輝くのを見んがために、毎朝こうして家の前をお掃除するのだあ。
この皇帝ダリア、ひと昔前ならローカル番組で紹介されるほど珍しがられたものじゃ。
だが、栽培は意外に簡単。
見頃を終えたら霜が降りる前に、地上50センチほどで茎を切る。さすれば来年もまた楽しめるぞ。
さらに、切り分けた茎のひと節ひと節を土に埋めて越冬させれば、初春に掘りおこすと芽が出て根が出て苗となる。
肥沃な柔らかい土に植えて肥料をやればぐんぐん育つ。茎が伸びてきたらしっかり支柱を立ててやらねばならん。
切り戻しをすれば高さの調節も自由自在。増やすも伸ばすも思いのままじゃ。
来年は百ばかり苗を作って、『皇帝ダリアの苗、おわけします』などと家の前に貼り紙を出してやろう。
これでまたわしの株は大上昇、ご近所の人気者じゃて~(笑)
野崎健二郎さんちの皇帝ダリア(植物)
ヌハハハハ~、下々の者、朝早くからご苦労、ご苦労。
まったくもって、われら植物がこうして栄えておるのは人間どものおかげじゃて~。
蜜に誘われ花粉を運んでくれる虫たちやら、種を遠く運んでくれる鳥たちもありがたいものじゃが。
イヤ、人間ほどありがたい奴隷はおらん。
品種改良に遺伝子操作、わしらの進化を何万年も先に進めてくれるんじゃから。
美味しい肥料を与えられ、甲斐甲斐しく支えてもらって。花さえ咲かせばウットリじゃもん。
いやもうまさに王様気分。皆の者、苦しゅうない。
エ?人間のほうが植物を利用してるって?生かすも枯らすも思いのまま?
ま、個体単位だとそうも言えるわな。
じゃが、何千何万年って未来に残ってる種は、さあどっちかな~?
人間さん、お勉強にお仕事、せいぜいがんばるように。ハイ、いってらっしゃ~い!
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