映画『飯と乙女』

2012年11月26日 | 映画の感想




監督: 栗村実
佐久間麻由 和田砂織
田中里枝 田端美枝
岡村多加江 小中咲枝
上村聡 九条和成
岸建太朗 小日向武史
菊池透 小中久男
増本庄一郎 石田久志

これが長編デビューの俊英、栗村実監督が、“食”にまつわる悩みを抱えた3組の男女が織りなす人間模様を切なくも繊細かつユーモラスに描いた群像ドラマ。渋谷のダイニングバー“Coo”で働く砂織は人に料理を作るのが生き甲斐。ところが、常連客の九条はなぜか何も口にしない。彼は、人が作ったものがどうしても食べられなかったのだ。一方、常連客の一人、美枝はまともに働かない彼氏のせいでストレスをためて過食症に。ある日、妊娠を知った美枝は彼氏に選択を迫るが…。美枝が勤める会社の社長、小中は、大食漢の妻に頭を痛めていた。経営難に苦しむ小中は、次第に追い詰められてしまい…。

★★★★☆
食べ物が美味しそうな映画や料理をめぐる映画などはたくさんあるけれど、「食べる」という行為の意味について、これだけこだわりぬいた映画は初めて観た。
この映画、6人の男女とその周辺の人々の『食』が描かれている。6人とは言ってもそれぞれ夫婦だったり同棲していたり恋愛に発展したりするわけなので実質3ペアなのだが。この6人の『食』の偏りやこだわり、『食』の病が語られつつ、それぞれの相関関係が明かされていく前半部は、人物をつかむために思わず最初からもう一度見直してしまった。作り込みすぎて唐突な場面が現れて流れが把握しにくいとも言えるが、見直すと多くの断片的なカットの意味がよくわかって楽しめる。
人が手を加えた食べ物が口にできない青年。(いきなりの烏賊のワタ、丸呑みシーンから始まる!意外と美味いらしいが・・・)
同棲生活のストレスから食っては吐かずにいられないOL。
その同棲相手で、「食べるために生きる」のを拒み夢を追い続ける男。
OLの上司で、経営難と妻の過食から、食を拒むようになっていく男。
そして、狂言回し役の居酒屋の料理大好き娘。
彼らの『食』へのこだわりや病がほんの一歩変化したり克服できたりしたときに、彼らの生き方も一歩すすんでいく様子が小気味よく描かれている。いや、生き方なんておこがましい。日常生活がほんのちょっと変わるって感じか。そのへんの地に足ついた自然体のドラマを作ることに、『食』から描くことでみごとに成功している。
敢えてナンクセつけるなら、初めと終りのブッダ云々は要らないと思った。それ、ドラマでちゃんと描かれているから。
それと、料理大好き娘をもっと前面に出して狂言回し役、観察者役にしてしまえば、全体に自然な流れが生まれそうな気がした。
小品ながら大切に抱いておきたい一品。美味しゅうございました。


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