映画『マイ・バック・ページ』

2012年01月22日 | 映画の感想

 

監督 山下敦弘
妻夫木聡 (沢田雅巳)
松山ケンイチ (梅山)
忽那汐里 (倉田眞子)
石橋杏奈 (安藤重子)
韓英恵 (浅井七重)

東大安田講堂事件をきっかけに全共闘運動が急激に失速を見せていた、1969年。東都新聞社で週刊誌編集記者として働く沢田は、取材対象である活動家たちの志を理解し、共有したいという思いと、ジャーナリストとして必要な客観性の狭間で葛藤していた。2年後のある日、沢田は先輩の中平とともに梅山と名乗る男から接触を受ける。梅山から「武器を揃え、4月に行動を起こす」と言われ、沢田は疑念を抱きつつも親近感を覚えるようになる。

★★★★★

やっぱり山下敦広監督は本物だ。全共闘時代の映画なんて、どんなふうに撮るの?誰が見んの?なんて思いながら見ていたが、後半どんどん面白くなっていく。最近、山下敦広監督ブームだったボクとしてはぜひ映画館で見たかったのだが、地元では結局上映がなく、今晩やっと鑑賞できた。これはスゴイ映画。将来、監督の代表作のひとつになるんじゃないか。駆け出しの記者を演じる妻夫木聡がいい。国家権力に左右されずに思想犯を取材し社会変革の一助となりたいという理想を掲げつつも、一流ジャーナリストになりたいという功名心のままに突っ走る姿を演じている。一方、彼に活動の情報を売りながら闘争を続ける血気盛んな活動家を松山ケンイチが演じている。大口を叩く活動家と取材するジャーナリストが互いに相手を必要とし、互いを煽ったスパイラルの結果として、自衛官殺害事件が起きてしまう。事件の夜、スパゲティを頬張って漫画を読んでいる松山ケンイチ。宮沢賢治を拝借したりとどこか嘘臭かった彼のメッキがポロポロと剥がれ落ちる。雑誌の表紙の娘、終盤に「この事件はなんだかイヤな感じがする」という大切な言葉を呟く。人の生命が奪われた、という現実を逮捕直前の妻夫木に提示する役割だ。これがラストの号泣へと繋がっていく。映画冒頭ウサギを一緒に売っていた男と偶然再会して地道に生きる彼の姿に自分を振り返る。そして「生きてりゃいいよ」の一言で、人命を奪った責任の重さに潰されるように泣いてしまう。時代を切り取り今を問う傑作。

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4 コメント

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お勧めですか!? (musashi211)
2012-01-24 21:56:10
役者もいい監督もいい話もいい!
いいもの尽くしですか!?

見てみようかな~機会があったら。
映画は基本あまり見られる状況にない家ですから。
さて、明日flower投稿なので是非来て下さいね
musashi211さんへ (矢菱虎犇)
2012-01-25 04:31:52
いやぁ~
中学生の頃のボクは、パニック映画(ふる~)やアクション映画が精一杯で、この手の映画は面白く感じなかったです。
ボクの評価なんて当てになりませんよ。
本人が言うんだから間違いありません。
見たい (りんさん)
2012-01-25 19:32:25
良かったんですね。
見逃したんですよ、この映画。
松山ケンイチ好きなんです。
今度見ますね。
りんさんへ (矢菱虎犇)
2012-01-26 03:03:40
ハデさはないんで、覚悟してみてくださいネ。
若いころの青臭さってのを、上司から完膚無きまでに叩かれた経験ってのがあれば、絶対に共感できるお話だと思います。
ちなみにそんな役が三浦友和だったりします。

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