映画『夢の中の恐怖』

2011年12月20日 | 映画の感想

 

監督チャールズ・クライトン 、ベイジル・ディアデン 、アルベルト・カヴァルカンティ 、ロバート・ハーメル

出演マイケル・レッドグレーブ、サリー・アン・ハウズ、マーヴィン・ジョーンズ、バジル・ラザフォード、チャールズ・クライトン

★★★★☆

なんとコレ、1945年のイギリス映画。もちろん白黒ですし、特殊効果なんてもう現代のCGからしたらアマチュアの域。でも、映画として実によくできた娯楽映画。いわゆる、恐怖ショートショートのオムニバス。全部で5つの話が描かれるが、千夜一夜物語や百物語みたいに、登場人物が語る話という体裁ですすんでいく。第一話は、事故に遭ったレーサーが見た予知夢の話。第二話は、お屋敷のパーティーでかくれんぼをして屋根裏部屋の奥で少年に会う話。いかにもイギリスの怪談話っぽい。第三話は、骨董店で入手した鏡に昔の部屋が映し出される話。次第に鏡の世界に憑かれていって・・・。第四話、恋敵の幽霊が出現、この幽霊男、消え方を忘れてしまって結婚した男にずっとつきまとう。完全にコメディー。第五話、腹話術の人形が人格を持ち、腹話術師の心を支配する話。超常現象か心の病かの曖昧さが絶妙。これらの話を登場人物たちがするわけで、話の聞き手である主人公の顛末が最後に描かれるが、単なる夢オチに終わらない怖さがある。それぞれの話の順番も緩急のつけ方も実にバランスがいいし、ラストも唸らせる。良質の短編集を読んだ感じ。見終わった後、思わず巧いなぁ、と呟いてしまった。

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