都会でのひとり暮らし、掃除とか大変だろうって聞かれるけど、お掃除ロボが全部やっている。
以前は、ルンバみたいなのが主流だったが、今じゃ『亀の子たわし』だ。昔ながらのたわしじゃない。たわしが亀みたいにのそのそ歩き回ってゴシゴシお掃除をしてくれるロボット。埃ばかりじゃなく、濡れたりこびりついたりした汚れだって大丈夫のスグレモノなのだ。ゴミをめがけて歩いていき、身を震わせてお掃除している姿はなかなかに愛らしい。たくさん買い込んで各部屋数匹ずつできれいにさせてるんで、帰宅するとピカピカになってるって寸法だ。
役所に勤め始めて三ヶ月、勤務後、先輩の淵沼さんに誘われるまま居酒屋に出かけた。二人だけかと思ったら、柳下さんという、淵沼さんの友だちが待っていた。居酒屋の後は、柳下さんの紹介でVIPなクラブへ。それからちょっといかがわしいお店にも。みんな柳下さんが面倒を見てくれた。
柳下さんと別れて、帰りの電車の中で淵沼さんとふたり。淵沼さんが白状した。
「柳下はね、うちが担当している事業に入札予定の業者さんなんだよ」
「淵沼さん、それって癒着じゃないですか」
淵沼さんが声を落とせと合図した。
「癒着なものか。情報を流してるわけじゃない。柳下は、以前落札したときと同じように接待してゲンをかついでいるだけさ」
「でも・・・これってバレたらヤバイんじゃないですか?」
「まあ、誤解を生むとまずいから黙っておくべきだな。だが、優遇するわけじゃなし、決裁するのもオレたちじゃなし」
「そういうものかなぁ」
「そういうもんさ。おい清水、もう一軒行こう。今度はオレのおごりだ」
深夜、しこたま酔って部屋に戻った。すぐにベッドに横になりたい気分だったが、飲みすぎたせいか全身じっとりイヤな汗をかいている。シャワーを浴びてから寝よう、浴室に向かいながらシャツを脱いでいると、背後に気配を感じてふりむいた。家中の亀の子たわしたちがボクをめがけて這い寄っていた。
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なんか気持ち悪いですけど
ロボットだから、目がセンサーになってて
赤く光ったりしたら
もっと不気味ですね。
汚い人間性まで洗い流してくれるというんでしょうか?
それとも、体の汚れ?
悪いことはすれば楽しいですけど
しちゃダメですね。
ごしごしするにはたわしを大きな力で押さえつけないとそれ自身の重量では無理かなーなんて。
でも!
>身を震わせてお掃除している
なるほどなるほど。
これは超音波振動ですね。
超音波電動歯ブラシと同じであまり力を加えなくてもきれいになるんだ。
なっとくなっとく。
しかし主人公がきれいになるだけ?
人間としてもきれいになるんでしょうかねー
正義感が強いのね。
そうそう、汚職はダメだよ~^^
出来れば下っ端じゃなく、大物を洗い流しちゃって^^
初めましてです。また寄らせてくださ~い。
会社で大量に買って放したらダレめがけて
這い寄って行くんでしょうね~。
怖いですね~。
でも、ロボットじゃない本当の亀の子たわし。
以前テレビで、おじいさんが健康のため寒風摩擦を亀の子たわしで体をゴシゴシしているのを
見たことがあります。
私はゴボウ洗いが亀の子たわしです。
娘にも伝授しました。ん!それほどのものでもないのかな(笑)
そういうディテールを描けると、最後の這い寄るところの不気味感が増しますねぇ。メモ、メモ。
それにしても今回のお題は『たわし』。お下劣なボクには、たわし洗いしか思いつきましぇ~ん。
>しかし主人公がきれいになるだけ?人間としてもきれいになるんでしょうかねー
亀の子軍団が身体のあらゆる穴から侵入し腹の黒いとこまで綺麗サッパリ浄化しちゃいます。ゾゾ~
こんな感じで『オトナ』は濁っていくのかもしれません。とすれば、『たわし』は清水くんの最後の良心かもしれません。
ぺんねこさん、初めまして。コメント、ありがとうございます。親爺ギャグならぬ、親爺ショートショートのお気軽ブログです。また遊びにいらっしゃってください。