Tomotubby’s Travel Blog

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4/29日 チャイナタウン巡り その2 (Singapore)

2004-05-18 | Singapore 五度目も個人旅行

テロック・アヤ・ストリート

再びクロス・ストリートを越えて、むかしは海岸通りだったテロック・アヤ・ストリートを、今度は南に向かいました。この通りにも、歴史遺産の寺院がいくつかあります。ショップ・ハウスの軒下を進むと、最初に見えてくるのが、ナゴール・ダルガー寺院。...のはずなのですが、寺院の周囲は高く汚い塀で囲われてしまっていて、入れないようにしてあり廃墟のようです。塀の上からは、本来、寺院の屋根を飾るはずだった、四隅に仏塔のようなミナレットを従えた白いギザギサのスカイラインが覗いていますが、それがどこか安っぽいミニチュア建築のようです。

ナゴール・ダルガー寺院の内部は、ヒンドゥー寺院や東南アジアの仏教寺院のように電飾で飾られているそうで、是非見学したかったのですが、残念。ファサードの写真だけ撮って、次に行きます。

次に訪れたのは、前述のスリ・マリアマン寺院と並ぶ、チャイナタウン最大の見所、シアン・ホッケン寺院(→画面の下の「Next Section」をクリックしていくと41枚の写真が見れます)です。その名の通り、福建(ホッケン)省出身者が建てたシンガポール最古の道教寺院で、寺院の前に団体ツアーのバスが止まっていることからも、ここが人気観光スポットであるのは間違いないでしょう。

だがしかし...壁、柱、敷石などを見ていると、最近修復されたようで、どう見ても新しい寺にしか見えません。建物の配置はあまりにも整然としていて、古い寺にありがちな綻びのようなものが全くみつからず、あまり有り難く思えないのです。不思議なもので、先ほどのおんぼろだったナゴール・ダルガー寺院の方が有り難く思えてくるのでした。


シアン・ホッケン寺院

シアン・ホッケン寺院に主神として祀られているのは、中国の民間信仰の女神「天后」、別名「媽祖」です。Tomotubby にとっては、マカオや台湾でも出会った馴染みの神様です。マカオという地名は、「媽祖」を祀った「媽閣(Mahko)廟」に由来するといわれています。ポルトガル人が上陸した場所がマカオ半島先端の「媽閣廟」の近くで、中国人に地名を聞いたところ「媽閣」と答えたため、これが訛ってマカオになったとやら。(どうしてマカオにまで話が及んだのかというと、それは後ほどマーライオンについて書いた日記で明らかになります)

「媽祖」は、唐の玄宗皇帝時代に福建省の林氏の妻が優曇華(ウドンゲ)の花を食べて妊娠し産んだ娘と言われています。病気を治したり、未来を予言したりしたことで、死後「林夫人」の名で郷土神として祀られていましたが、その霊験が世間で喧伝されてから少しずつ格上げされ、明中期には「天妃」、清になると「天后」として道教の正統神の地位も与えられました。

「媽祖」は華南沿岸部で航海の守護女神として広く信仰されるようになり、この地域の中国人の海外移住とともに、その信仰は、台湾、東南アジアに広く伝えられます。「媽祖」の像を船に乗せシンガポールまでやってきた福建人たちが、航海の安全を祈念するため、海岸沿いにこの寺院を建てて、「媽祖」を祀っていた姿が想像できます。「媽祖」は日本においても沖縄、鹿児島、長崎、茨城、青森などで祀られています。

シアン・ホッケン寺院には、「媽祖」の他にも「関聖帝君(関羽)」や「保生大帝」などの道教神が祠られていますが、裏へ回ると「観音菩薩」や「孔子」の廟まであります。節操が無いというか、わが国の神仏習合を上回る物凄い多神教ぶりです。現地の人たちは、これらヤオヨロズの神々を順番に回り、線香をあげて、いたるところで跪いて叩頭して、開運厄除除災招福家内安全学業成就病気平癒交通安全夫婦円満商売繁盛五穀豊穣健康長寿良縁成就海運守護...とドあつかましいお祈りをしているに違いないのです。

シアン・ホッケン寺院の中で目を引いたのは、左翼にある建物にある神像でした。真ん中の祭壇には、審査官然とした上品で二枚目の若い男の像があるのですが、その両側に諸肌脱いだ見慣れない不気味な像が立っています。左側の像が頭にかぶった冠には「一見大吉」と書いてあり、手にもって差し上げた扇のようなものには「見笑」と書かれてあります。何やら縁起の良いイメージなのですが、その容貌は、腫れぼったい目に、赤い舌をこれでもかと長く伸ばしていて、たいへん不気味です。右側の像は、全身黒い膚のがっしりした小男の像で、金の冠をかぶり、手には鎖と相撲の行司の持つ軍配のようなものを持ち、口には参拝客の好意からでしょうか、煙草を咥えさせられています。よく見ると、両方の像の口元には、脂のようなものが垂れていますが、これらは阿片らしいです。現代の参拝客が煙草を吸わせてあげたように、阿片が禁じられていなかった昔は阿片を吸わせてあげていたようです。


シアン・ホッケン寺院のへんな神様

寺院の門には、門神として「鐘馗」の像が描かれていました。唐の玄宗皇帝が鬼の出る悪夢に悩まされていたとき、鐘馗が夢に現れて鬼を食べてしまったことから、鐘馗の像は邪を祓う象徴として世間に普及したそうです。


シアン・ホッケン寺院の門神

シアン・ホッケン寺院の南側には、アル・アブラー・モスクがあります。ナゴール・ダルガー寺院と比べると目立ちませんが、正面の左右の柱の上には、トルコの国旗のようにイスラム教のシンボルとも言える月と星が飾られています。中に入ってみようかと思いましたが、入り口はお祈りに来ている人が靴を脱いだ靴がたくさん並べられていて、気後れしてしまいました。

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