にゃんこな日々

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【映画】『ぼくたちのムッシュ・ラザール』

2012年08月16日 | MOVIE
『ぼくたちのムッシュ・ラザール』MONSIEUR LAZHAR(2011年/カナダ)
監督:フィリップ・ファラルドー。
出演:フェラグ。ソフィー・ネリッセ。エミリアン・ネロン。ブリジット・プパール。

モントリオールの小学校。雪に埋もれた真っ白な校庭に登校してきた生徒たちが集まる。牛乳当番に当たっていたシモンはみんなよりも先に教室へと向かう。そしてそこで彼が見たのは、担任教師マルティーヌが首を吊って死んでいる姿だった。
動揺する生徒たち親たちへの対応に追われる学校。後任の教師の手配も整わない中、アルジェリア出身のバシール・ラザールが教員の応募にやってくる。授業内容は古臭いが、常に真摯な姿で生徒たちに向き合うラザールに少しずつ打ち解けていく生徒たちだったが、彼らの心にマルティーヌの死が覆いかぶさっていた。そしてラザールの心にもアルジェリアでの出来事が深い傷となって残っていた。

担任教師の首つり死体が一人の少年によって発見されるという衝撃的な事件から物語は始まる。しかし全く明らかにされない教師の死の真相。おざなりに進められる生徒たちの心のカウンセリング。マルティーヌの後任となったラザールは、なぜマルティーヌは死んだのか?なぜ教室で死んだのか?気になりながらも学校の意向はそのことに触れるなということであえて語らずにいた。そして自分自身のことも全く語らずにいた。アルジェリアで教師をしていた妻。その妻が出した本が問題となり家族が狙われ、亡命を決めた矢先、家に火が放たれ、妻と子を亡くす。眠れない夜に耐えるラザール。そんな彼だからこそ生徒たちの心の奥の消えぬ闇にどこか気付いていたのかもしれない。大仰に語らない語り口が心地いい。いつも頭が痛いと寝てばかりいる生徒が実は、まともに食事をとっていないんだという描写が秀逸です。そしてさりげなくその子の机にバナナとお菓子を置くラザール先生。ラストでラザールが文法の間違いを指摘させるために語る寓話に目頭が熱くなった。森の中の大きな木の話。それはラザール自身。深く愛することができる人こそが教師たるべきなのかもしれません。ほんのり苦くて優しい映画でした。

-2012.8.14 テアトル梅田-


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