にゃんこな日々

ネコ風ライフをつらつらと・・・

【映画】『そして父になる』

2013年10月13日 | MOVIE
『そして父になる』(2013年)
監督:是枝裕和。
出演:福山雅治。尾野真千子。リリー・フランキー。真木よう子。

野々宮良多と妻みどりは6歳になる一人息子慶多と、何不自由ない平穏な日々を過ごしていた。そんなある日、慶多を出産した病院から重要な話があると呼び出される。そしてそれは同じ日に出産した斎木雄大とゆかり夫婦の間の子琉晴と出産時に取り違えられていたということだった。病院側はこういう場合、やはり血のつながった親子が一緒の方がいいから子供の将来のためにも早急に子供の交換をすると野々宮、斎木両夫婦に伝える。子供を交換する方向で交流を持ち始める両家だが・・・。

実は、この作品全くスルーの方向でした。ところがスピルバーグがリメイクするというニュースを聞き、これは観なければと映画館に急いだ(笑)。
この物語は自分が今まで育ててきた子供が実の子ではなかったという事実を突きつけられるて翻弄される家族の物語ではなくって、夫として父として、そして息子として、人間としてパーフェクトに生きる方法、方向はこうだと決めてかかって自分を律してきた主人公野々宮良多の成長物語なんでしょうね。あと、みどりもか・・・。人って本当の優しさとか暖かさを確信したときに、自分自身も優しくなれるし、あったかくなれるし、成長するんじゃないかな・・・。そしてごく普通に繰り返される日常ではその人の優しさには気付かない。この物語で一番優しい人間は6歳の慶多だと思う。たった6歳で父親、母親の望ことを自分の心と体で受け止めて、きっと自分の思いっていうのはずっと後回しにしてきたんじゃないかな?あのカメラに収められた写真を見て良多が慶多の思いに気付くシーンでは、私も良多と共に泣いていた。この作品を観終わって、私はさて?この家族たちはどうなるのだろう?と考えた。元通り子供を交換することなく暮らす?でもそれもある意味きついものが今後あるような気がした。そしてネットのレビューで、その後はやはり交換するだろうという意見を読み、やはりそこだろうな。と感じた。そうすると私はこの作品の中で好きだなぁと思った、野々宮夫婦と琉晴の撃ちあいのシーンが蘇った。慶多はきっとこういうことしなかっただろう、やろうとしてもきっとみどりがお父さんは仕事してるから静かにね。なんて諭してたように思う。ところが琉晴が来て、みどりの気持ちもそういう部分がなくなったんじゃないかな?本当にやりたい気持ちで琉晴と遊んだんじゃないかな?「次はお父さんだ」という外の声を聞いて仕事をしていたのに、応戦する武器を探す良多。自分の心に素直に動いたシーンだと思う。でもこれ慶多が家に戻って、こんな遊びするかな?って考えるとしないような気がするんですよね。気付いてしまったそれぞれの思いは変えられない。前に進むしかないとすると、やはり交換するんだろうな・・・。

-2013.10.7 MOVIX堺-


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2 Comments

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報告とお礼に参上しました。 (ヤマ)
2013-12-30 11:00:15
とめさん、こんにちは。

 本日付の本年最後の拙サイトの更新で、こちらの頁をいつもの直リンクに拝借しております。

>「次はお父さんだ」という外の声を聞いて仕事をしていたのに、応戦する武器を探す良多。

 いい場面でしたね。良多は、その名に反して、あまり良き父親ではないとの説が専らなのですが、そいつはあくまで専業主婦みどりの言い分であって、僕はそうではなかったと観ているのですが、ご指摘のこの場面に関して「やろうとしてもきっとみどりがお父さんは仕事してるから静かにね。なんて諭してたように思う」と書いておいでのようなことが作用していたのだろうと思います。それも良多がしむけたことだという方もおいでるのかもしれませんが、それはちと酷かと(笑)。

 ともあれ、細部に充実の見られた佳作でした。僕も、彼らのその後について想いを馳せましたが、そういう後味を残してくれる作品っていいですよね。

 どうもありがとうございました。
 よく紹介してくださっているネットの小ネタも楽しみにしております。来年も引き続き、よろしくお願いします。
ありがとうございます。 (とめ)
2013-12-30 20:51:35
ヤマさーん。リンクありがとうございます。
私はあの場面が一番好きだったりします。
あんな親子いいですよね。
確かに良多はいい父親ではなかったかもしれませんが、みどりもいい母親ではなかったのかもしれませんよ。
この夫婦は親として夫婦としてこうあるべきという自らの枷に囚われていたんじゃないかな?なんて思います。

いつも小ネタに反応くださりありがとうございます。
こちらこそ来年もよろしくお願いします。

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