にゃんこな日々

ネコ風ライフをつらつらと・・・

『八日目の蝉』

2011年05月11日 | MOVIE
『八日目の蝉』(2011年/日本)
原作:角田光代。
監督:成島出。
出演:井上真央。永作博美。小池栄子。田中哲司。森口瑤子。

不倫と知りながらも秋山と付き合う野々宮希和子は、妊娠し相手に請われるままに堕胎し、結果子供を産めない体になってしまう。やがて秋山夫婦には子供が生まれ、ある雨の日、秋山の家を訪れた希和子は、夫婦の留守に赤ん坊を連れ出してしまう。自分が生むことの出来なかった子の名前、薫と名付け、逃亡の日々に怯えながらも親子として必死に暮らす希和子。4年の時を経て希和子の逃亡生活は終わる。しかし実の両親の元に戻った薫・・・恵理菜は実の家族になじめないまま成長し、自らの人生を歪んだものにした希和子を恨むことでしか自分を保てないでいた。そんな恵理菜の前に現れたフリーライターの千草。彼女の登場で自らの過去と向き合うことになる恵理菜だが・・・。

この作品を観てからかたり日が経っているんだけど、なぜかうまく感想を書けずにいた。いい作品だと思うし感動したし、出演者がみんないい・・・とりわけ小池栄子さんって以前からいいよなぁ・・・と思ってたから、やっぱりいいわすごいって思ったり。でもこう全体的にまとめられなかったんですよね。それはやはり私が希和子と千草にしか感情移入出来なかったせいなのかな?なんて思ってみたり。そしてやっとその原因がわかりました。この作品って現実に起こった「日野OL不倫放火殺人事件」が元になってるんですね。この作中、実の母の描き方がいくらなんでもやっと手元に戻った娘に対してそれはないだろう?って感じだったんですが、実際の事件の話を読むと「ああ・・・」と納得出来る。この作品は「自分探し」&「贖罪」の物語なんだろう。ラストとその後・・・を考えるとなんてこの作品は暖かい作品なんだろうと思える。幸せをつかむのは本当にむずかしい。この物語の登場人物は今までに、そしてこれからに大なり小なり幸せを手にする。その幸せに対する代償はある意味大きいけれど。特に秋山の妻恵津子の代償は大きすぎるかもしれない。作中では希和子の家を訪れて罵倒するシーンが少しあっただけだけど、現実の事件を重ねると、もしかしたら希和子をとことん追い詰めたんだと考えられる。すると母として4年の年月を奪われたから、恵理菜に対してちゃんと母親出来なかったのではなく、どこかで自分が希和子を追い詰めてしまった結果の4年だと思う気持ちが希和子を責めながらも自分を責めている結果として考えられるんじゃないだろうか?恵理菜はきっと自分の子を抱いて恵津子の元へとやってくるだろう。そのとき恵津子の贖罪の日々は終わるんだと思う。

-2011.5.1 MOVIX堺-


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