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「すでに起こったことは、明らかに可能なことがらである」
在台日本語教師の東アジア時事論評あるいはカサンドラの眼差し

NHK「ジャパン・デビュー第1回」現象が起こす深刻な人権侵害4:台湾市民のひとつの見方

2009年08月20日 | 22世紀を迎えるために
19世紀の二項対立に支配され、思考力とモラルを失った低劣無比、品性下劣なナチス中国人の所業
1.NHK「ジャパン・デビュー第1回」現象の犯罪
 今までNHK「ジャパン・デビュー第1回」の史実の捏造、歪曲、隠蔽を一部だが取り上げてきた。
 今ならまだ間に合う2─ NHK「ジャパン・デビュー第1回」の詐術(1))()(4上)(4中上)(4中中)(4中下)(4中下続)(
 NHKは台湾人の証言を恣意的に改竄して利用したほか、明らかに史実を捏造、変造、隠蔽、歪曲した部分が番組の前半部分および今までの質問に対する回答の大半に見られた。
 さらに、「NHKジャパン・デビュー」現象は、似而権派の間に拡大している。
 NHK「ジャパン・デビュー第1回」現象が起こす深刻な人権侵害:ブログ「安禅不必須山水」  
 今回は、台湾でのNHK「ジャパン・デビュー第1回」に対する若い世代の知識人のひとつの見解をご紹介したい。二項対立で言えば親日台独派というよりは反日親中派の似而権派に近い人物と思われる。しかし、前回お伝えしたように、台湾のエスニック状況は錯綜しており、二項対立で割り切ること自体が暴力になるという事情をご理解いただくには、丁度よい事例と思われる。

2.台湾の若い世代の感覚
 以下は台湾のネットでよくコピーされている番組への批評で、論者は北部の某有名大学の新聞マスメディア学科の博士号取得教員である。

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登上國際舞台的亞洲「一等國」日本與「殖民地」台灣
  最近在日本的台灣研究社群中有著一個共同的話題。4月5日,日本最具權威的電視節目《NHK特集》,以「日本登場系列報導」為主題,播出了第一回《亞洲的「一等國」》一片,片中以日本殖民台灣為題,引發了各界高度的關注與抗議。台灣的中央社也於16日首次報導相關消息,但卻以「反方」為主的消息報導了這場爭議。
  中央社報導舉出前總統府國策顧問金美齡、台灣研究論壇會長永山英樹(日本李登輝之友會理事)、極右派名嘴櫻井良子、日本李登輝之友會事務局長柚原正敬、寫過碩士論文「為何台灣人親日」的日本教師、住在東京的親台日本婦女以及接受NHK訪問的當事人,來敘述NHK報導的偏頗以及所引發的問題。
  在看過這些反方意見的內容之後,我發現這些意見的消息大部分與日本右派媒體「櫻頻道衛視」發起的反制NHK報導及一連串的活動相關。櫻頻道的政治立場鮮明,一向以反中、反朝鮮、日本再次建軍等議題作為國際報導的原則。
  櫻頻道結合日本各方反中親台人士、日本李登輝之友會、在日本台獨人士等向NHK宣戰之外,更將反制NHK的相關影片經由YouTube免費提供給一般網路用戶,大力宣傳NHK是對受訪問者言論的斷章取義,企圖破壞台日關係。櫻頻道認為NHK違反了「放送法」中的「客觀、中立」原則,但在NHK未做滿意的回應之下,透過網路社群、非政府組織發動群眾,於5月16日向NHK表達抗議。加上YouTube文字評論中討論的盛況,可以看出小媒體櫻頻道靈活的媒體策略成功的反制了NHK這個大媒體。
  而「日本的登場」這個連續特別節目以歷史紀錄片的方式呈現,內容指出幕府末年開國以來到二戰結束的這段歷史中,強力推行近代化下的日本是如何登上世界舞台,又是如何以戰敗收場的一個重新檢討戰前歷史的節目。第一次的節目以日本與亞洲的關係為題,NHK認為這裡應先討論「亞洲的一等國」日本是如何統治初次獲得的殖民地「台灣」。
  內容首先提到,日本雖然在1919年第一次世界大戰後的巴黎和會中達成了晉升為「萬國公法」中「一等國」的目的,但其實早在領有台灣當初,日本就已經認識到「殖民台灣」的成果將是成為一等國的必要條件。NHK認為,從戰前日本在滿州國、印尼的統治都可以看到所謂的台灣經驗,台灣象徵了日本支配亞洲的原點。
  NHK以兩張照片來敘述日本的台灣統治政策由高壓到懷柔的轉變。一張是1910年日英博覽會中被當成「展示品」的排灣族原住民;另一張則是台北第一中學(建國中學)的團體照。原住民照片所表示的是在特別法中被壓抑、馴服的台灣;台北第一中學的團體照所表現的則是在第一次世界大戰後日本在面對全球「民族自決」的風潮下,以教育活動來推行同化政策的象徵。在大東亞戰爭時期,總督府更是以皇民化政策限制了5百萬島民在語言、姓氏與宗教上的自由。
  最後NHK以台北第一中學的同學會與前台籍日本兵的訪問作了節目的總結。一中校友們談到,在同化政策下成為天皇臣民的台灣人,仍受到日本人的歧視;台籍日本兵則表示自己過去為「國」出征,戰後日本卻沒有任何表示,無法原諒日本不聲不響的拋下台灣人。
  這個反省戰爭的節目放送完畢之後,除了受訪相關人士、在日台灣社群之外,日本台灣研究學者們也爭相走告,我就是在幾位學術圈朋友的告知下知道了這個節目。其中有位學者冷靜地說道:雖然NHK的作法有些偏頗,內容也有單純化的情況,但因為這幾年「台灣」在日本的形象已經等同於「親日」、「反中」的代名詞,因此,這部批判日本殖民台灣的紀錄片,其實有助於日本客觀分析今後的台日關係。
  但前述以櫻頻道為首的親台反中社群就不是這麼想。除了批評受訪者的談話內容經過剪輯後未將日本統治時期的光明面表現出來,更無法接受日本在教育、衛生及硬體設施的建設在節目中被NHK評為是帝國統治的一環,憤而在短期間製作出所謂的反制節目。節目中的確指出了NHK在製作時以偏概全的部分,也就是並未將受訪者讚揚日本的內容剪輯進去;但同時,節目發出宛如台灣「地下電台式」的訊息,真讓人不敢領教。
  首先櫻頻道表示,NHK的報導是一種議題操作,符合中國未來統一台灣的企圖,背後有可能是中共的陰謀。節目中提到台灣人大多為漢族的論述,其實是意有所指的表示台灣人就是中國人,這是為中台統一鋪路。來賓中甚至提出已有研究顯示台灣人在血緣上並非漢族的論述。更說NHK提出蔣渭水要求殖民政府讓台灣人自治的這段歷史,其目的在於為今後的一國兩制鋪路。總歸一句話,《亞洲的『一等國』》隱藏著中共與日本左派人士分化台灣與日本的企圖。
  櫻頻道在節目中標榜以一刀未剪的方式公開不少曾受日本教育人士的訪問(其中包括接受NHK訪問的人士),記者在訪問中不斷詢問受訪者「你認為日本統治時期的光明面是?」,無論這群老人是打從心理,或是禮貌性的讚揚日本統治時代,都顯得記者在提問時有些時空錯亂。而這種時空錯亂的情況在這個經由網路、衛星傳遞資訊的年代其實還挺常見的。在面對這段台日之間共同的歷史時,因為存在著支配與被支配的相對關係,導致台日之間有著不同的記憶(認知)。而這些記憶在資訊傳遞的多元、重層化的網路時代下,不斷被敘說與複製;私人記憶在媒體氾濫的同時,對觀者而言,真實與否(歷史真實)似乎不是那麼重要了;而對發信者而言,重要的是適時開闢無數個生產、討論記憶的戰線,從中吸取觀者在情感上的強度。我們可以說這群曾經是日本兵的老人,又被日本人送上了資訊戰場的最前線。
  或許,NHK製作此片的初衷,在於試圖站在國家、公共的高度上開闢新的言論戰線,來重新建構日本與亞洲各國之間的關係;但大媒體NHK卻忽視了戰後台籍日本兵生活在後殖民台灣的複雜心情。我們可以看到無論在NHK或櫻頻道的訪問中,這群老人都曾訴說過對日本的怨恨,這個怨恨是來自戰後日本並未對台灣人的犧牲作任何表示;有些人也不諱言希望日本能夠幫助台灣獨立。但諷刺的是,這些心情與希望卻成就了一種他們與殖民母國之間的共犯關係,這也正是日本右派媒體之所以能夠不斷利用「台籍日本兵」開闢資訊戰線的主要原因;而藉由這群老人記憶的再生產與傳播,則是讓日本右派政治團體能夠有效吸取國內政治權力養分的絕佳手段。
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 高学歴のある程度日本の学界と関係のありそうな新世代がどう見ているか、以下全訳してみる。

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国際舞台に登場したアジアの「一等国」日本と「殖民地」台湾
 最近、日本の台湾研究ネットワークの中で共通の話題がある。4月5日、日本では最も権威あるテレビ番組『NHK特集』が、「ジャパンデビューシリーズ報導」を主題として放送した第一回『アジアの「一等国」』で、番組中では日本殖民地時代の台湾がテーマとなり、各界の高度の関心と抗議を引き起こした。台湾の中央社も16日に初めて関係するニュースを取り上げたが、かえって「反論側」を主にしたニュース報道が議論の的になった。
 中央社の報導は、金美齢前総統府国策顧問、永山英樹台湾研究フォーラム会長(日本李登輝之友会理事)、極右派のジャーナリスト櫻井良子、柚原正敬日本李登輝之友会事務局長、「なぜ台湾人は親日なのか」の修士論文を書いた日本人教師、東京の親台的な日本人女性からNHKにインタビューを受けた本人までを取り上げ、NHK報導の偏向が引き起こした問題を述べている。
 反論側の意見内容を読んでから、私はこうした意見に関する情報の大部分が日本の右派メディア「桜チャンネル衛星放送」が提起した反NHK報導および一連の活動に相関していることを発見した。桜チャンネルの政治的立場は鮮明で、ひたすら反中、反朝鮮、日本の再軍備の話題に関する国際報導を主としている。
 桜チャンネル衛星放送は日本の各方面の反中親台メンバー、日本李登輝之友会、在日の台独関係者などを結集してNHKに対して宣戦したほか、NHK関連の映像をYouTubeを通して無料で一般のインターネット利用者に提供し、インタビューを受けた人の話しをNHKが「断章取義(切り貼りして都合の好い部分を取り出す)」をおこない、台日関係を破壊しようとしたと宣伝している。桜チャンネル衛星放送はNHKが「放送法」中の「客観、中立」原則に違反したとしたが、NHKからは満足のいく回答がなされないなか、インターネットのソーシャルネットワークを通じて、非政府組織での大衆運動を起こし、5月16日にNHKに抗議活動を行った。加えてYouTubeのコメント中の討論が活発になり、小メディアの桜チャンネルの活発なメディア戦略が功を奏してNHKという巨大メディアを拘束した。
 さて、「ジャパンデビュー」というシリーズ特別番組は歴史ドキュメンタリー方式によって、内容としては幕府末期の開国から第二次大戦終結までの歴史的エポックの中で、近代化の中で日本がいかに世界の舞台への登場を強力に推行し、またいかに敗戦で終わった戦前の歴史を再認識するかという歴史番組として放送された。第一回の番組は日本とアジアの関係がテーマで、NHKは、「アジアの一等国」で日本がいかに初めて獲得した殖民地「台湾」を統治しようとしたかをまず論じようとした。
 内容はまず、日本が1919年の第一次世界大戦後のパリ講和会議中で「万国公法」中の「一等国」に昇格するという目的を示したが、実際は台湾領有の最初から、日本はすでに「殖民地台湾」の成果が一等国の必要条件だと認識していた。NHKは、戦前の日本による満州国、インドネシアの統治にいわゆる台湾経験が見られ、台湾は日本のアジア支配の原点と見ている。
 NHKは、二枚の写真で日本の台湾統治政策が高圧から懷柔に変わったことを示している。一枚は1910年の日英博覽会中で「展示品」にされたパイワン族の原住民。もう一枚は台北第一中学(建国中学)の団体写真である。原住民の写真は特別法の中での抑圧を示しており、台湾の馴致征服を表す。台北第一中学の団体写真は第一次世界大戦後の世界的な「民族自決」の風潮の下での、教育活動の推進による同化政策の象徵である。大東亜戦爭の時期、総督府は皇民化政策によって5百万の島民の言語、姓氏、宗教上的自由を制限した。
 最後にNHKは、台北第一中学の同窓会と台湾籍の元日本兵へのインタビューで番組を終わっている。一中の同窓生たちは、同化政策の下で天皇の臣民になった台湾人は、日本人の蔑視を受けたと語っている。台湾籍の元日本兵は自己の過去を「国」のための出征とし、戦後の日本が何も言わないで、台湾人を見捨てたことを許せないと述べている。
 この戦争を反省した番組の放送終了後から、インタビューを受けた関係者を始め、在日の台湾人組織の外、日本の台湾研究者が争って告発を行っている。私も何名かの学界関係の友人から言われてこの番組を知ったのである。その中のある研究者は冷静に述べている。「NHKの制作法にはいくらか偏向があり、内容も単純化された状況はあるが、この数年来「台湾」の日本でのイメージが「親日」、「反中」の代名詞となっている状況下では、この日本の台湾への植民地支配に関するドキュメンタリーは、確かに日本が今後の台日関係を分析するのに役立つ」
 しかし、前に述べた桜チャンネルをトップとした親台反中グループはこうは思っていない。インタビューを受けた人の談話内容が編集過程で日本統治時期のプラス面を言わないようにされたことを指摘したほか、日本の教育、衛生、ハード面の建設がNHKに帝国統治の一環とされたことは受け入れられないと述べ、短期間に制作されたいわゆる反日番組であると憤慨している。番組中では確かにNHKが制作時に偏向させた部分や、インタビューを受けた人が日本を賞讃した部分が編集されて入れないようにされた点を指摘できるが、しかし、番組が台湾の「地下放送局式」にサブリミナルを発信したという点は納得できない。
 まず桜チャンネルは、NHKの報導は一種の話題操作であり、中国が将来の台湾統一を企図しており、背後には中共の陰謀の可能性があると述べている。番組中では台湾人の大多数は漢民族であると述べ、実際に言いたいことは台湾人は結局、中国人であり、これが中台統一に道筋をつけるということである。ゲストの中の甚しい者は台湾人が血縁上漢民族ではないことを述べている。さらにNHKは蒋渭水が殖民地政府に台湾人自治を求めた史実を出したことは、一国二制度に道を開くものだとしている。纒めて言えば、『アジアの「一等国」』は中共と日本の左派メンバーが台湾と日本とを離間させる企図を秘めているということである。
 桜チャンネルは、番組で手を加えない方式で日本の教育を受けた人へのインタビューを公開している(その中にはNHKにインタビューを受けた人が含まれている)と標榜している。記者はインタビューの中で絶えず相手に「あなたは日本統治時代にプラス面があると思いますか?」と尋ねている。無論こうした老人の心理から見れば、儀礼的に日本統治時代を賞讃することはあるわけで、記者が質問したとき時空の錯乱が見受けられた。こうした時空の錯乱状況はインターネット、衛星放送の情報の年代では実際いつも見られる。この時期の台日の共同の歴史に向き合うときには、支配と被支配の相対関係によって、台日間で記憶の認知が異なってしまう。こうした記憶は情報通信の多元化、重層化したインターネット時代では、いつも語られて複製される。個人の記憶はメディアで氾濫すると同時に、読み手にとっては、真実かどうか(歷史的事実)はそれほど重要ではなくなってしまう。発信者から言えば、重要なのは適した時に無数に生産を始めて、記憶の戦線を討論し、読み手を引き付けて情意面での強度を高めることである。わたしたちは、こうしたかつて日本兵だった老人を、また日本人として情報の戦場の最前線に送り出したと言えよう。
 あるいは、NHKがこの番組を制作した当初は、国家と公共の高度の関心の中で新しい言論の戦線を開いて、日本とアジア各国の間の関係を組み替えようとした。しかし、大メディアNHKは、かえって戦後の台湾籍日本兵の殖民地後の台湾での生活における複雜な心情を無視した。私たちは、無論NHKあるいは桜チャンネルのインタビューの中で、こうした老人たちがみな日本への怨恨を訴えるのをみることができる。この怨恨は戦後の日本が台湾人の犠牲に何の表示もしてこなかったことからくるものである。ある人は日本が台湾の独立を援助してほしいと述べるのをはばからない。しかし、比喩で言えば、こうした心情と希望は彼らと殖民地の母国との間の共犯関係を成就させるものであり、これはまさに日本の右派メディアが「台湾籍日本兵」を情報戦線で十分に利用し始めた主要な原因である。こうした老人の記憶の再生産と伝播は、日本の右派政治団体に国内の政治権力の養分を吸收させる絶好の手段となっている。
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 一読して、その歯切れの悪さに戸惑う人も多いだろう。それが二項対立では言えない台湾の状況の反映である。
 「私も何名かの学界関係の友人から言われてこの番組を知ったのである」とある行間から想像すると、彼は日本で博士号を取得した可能性もある。もし、欧米で博士号を取っていれば日本語は理解できず、番組は批評しなかっただろう。とすれば、日本のメディア研究者では多いように、指導教官や知り合いたちが、ほぼすべて似而権派つまり、中国の言うことは何でも正しいと言い、「NHKは大メディア」で「桜チャンネル」は「右派メディア」という評価を下すような人の中で教育を受けたとも考えられる。
 そうした目で読んでみると、彼が二つの現実の中で、引き裂かれている様子が窺える。
 一つは、日本の似而権派の中で評価されるように書かなくてはならないという利害打算で、最後の一文「比喩で言えば、こうした心情と希望は彼らと殖民地の母国との間の共犯関係を成就させるものであり、これはまさに日本の右派メディアが「台湾籍日本兵」を情報戦線で十分に利用し始めた主要な原因である。こうした老人の記憶の再生産と伝播は、日本の右派政治団体に国内の政治権力の養分を吸收させる絶好の手段となっている」から分かるように、アメリカのサイードや日本でのその同調者たちのようなポストコロニアリズムの「右派」対「○○」という二項対立視点を入れなくてはならなかったということである。その点から言えば、彼は「○○」派に属することを強制されて、それに合わせたように書いているのだが、その姿勢は矛盾している。
 なぜなら彼はNHKの番組よりもむしろ長々と桜チャンネルの内容と主張をほぼ忠実に後半で紹介し、大陸との関係への見解まで、ほぼ否定することなく内容に書いている。台湾の政治状況の現実から言えば、そうした見方には共感する部分があったためだろう。明確に否定したのは、「サブリミナル」だけである。
 インタビューについても、「情報戦線」の比喩でそれを語っている。桜チャンネルが元日本兵を利用したという結論にはなっているが、よく考えれば、NHKがそれを最初に利用したのであり、実は同じ穴の狢だということが暗に示されている。また、「番組中では確かにNHKが制作時に偏向させた部分や、インタビューを受けた人が日本を賞讃した部分が編集されて入れないようにされた点を指摘できる」、「大メディアNHKは、かえって戦後の台湾籍日本兵の殖民地後の台湾での生活における複雜な心情を無視した」と、NHKの番組がいわゆる「ドキュメンタリー」として決してよい質の作品ではないこと、つまり客観性に問題があることも暗に示している。
 結局、追求されたときどちらにも「~」と書いていますよと言えるように、二つの見解を並立させているのである。

3.二項対立を超えて
 以上は、台湾の現状に立った若い世代の見解であり、右派も左派も、台独も中共もごめんだというバランスを取ろうとする苦衷が文面から滲んでくる。台湾の多くの人は現状維持を希望している。目前の現実や歴史的資料を尊重する人とは、そうしたものだと思う。「Aしかない」「すべてはBである」という強権的で独裁的な腐臭、悪臭を、本能的に忌避するのである。
 私は桜チャンネルの訴訟に最初参加しようと思ったが、文面を見て、台湾の歴史と人々を鉄砲玉にしてほしくないと感じて、参加は取止めた。パイワン族や日本統治時代の人々を利用してNHKが台湾の歴史と人々に対しておこなった人種差別行為は大きな犯罪であり、許されないが、同じ方法を繰り返せば、傷つくのは、台湾の彼が書いているように、また戦場に駆立てられた老兵の方々である。日本人の美意識があるなら、争いは海外の弱者を巻き込まず、日本の政争の中でおこなってほしい。
 とは言え、すでに前回書いたように、争いは日本の似而派がNHKを支持して拡大しており、拡散は避けがたいかもしれない。しかし、歴史の声は穏やかで微かであり、それに耳を傾けることを知る人は少ない。だが、歴史の資料が語る真実は否定できない。
 隠された史料について、さらに紹介していくことで、ナチス中国や日本の民主党のような文明の敵ではない、新しい民主社会の市民的見方が生まれると信じている。


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