蓬莱の島通信ブログ別館

「すでに起こったことは、明らかに可能なことがらである」
在台日本語教師の東アジア時事論評あるいはカサンドラの眼差し

NHK「ジャパン・デビュー第1回」現象が起こす深刻な人権侵害:ブログ「安禅不必須山水」1

2009年08月06日 | 22世紀を迎えるために
(写真:ナチス党大会を思わせる「九条の会」の有明講演会・ナチス中国の国粋主義新聞で報道されている
1.民主社会の屈辱・NHK「ジャパン・デビュー第1回」現象にいかに抗するか
 今までNHK「ジャパン・デビュー第1回」の史実の捏造、歪曲、隠蔽を一部だが取り上げてきた。
 今ならまだ間に合う2─ NHK「ジャパン・デビュー第1回」の詐術(1))()(4上)(4中上)(4中中)(4中下)(4中下続)(

 7月中旬からオーストラリアで開かれた日本語教育世界大会に参加してきた。帰ってからも残務整理に追われて暫くブログを書く時間から遠ざかってしまった。オーストラリアはインターネット整備が遅れていて、簡単にネットに接続するのは難しかった。
 最近のニュースを見てNHK「ジャパン・デビュー第1回」の問題が、チャンネル桜のNHK職員報道にNHKが抗議文を送って、”泥沼の東部戦線”的様相に拡大したのを知った。

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2009/07/24(金) 10:02:55 ID:???0
 NHKは22日、「事実に反する放送を行った」として、CS専門チャンネル
「日本文化チャンネル桜」に対し、訂正と謝罪を求める抗議文を同日郵送したと発表した。
 チャンネル桜は今月16日、「北京駐在のNHK職員が買春を行った」などの
内部告発があったとして、「NHKに事実関係を問いただしたい」と放送した。
 これに対し、NHKは「事実無根」と反論している。
 チャンネル桜は、日本の台湾統治を取り上げたNHKの番組(4月5日放送)について、「日本が一方的に弾圧したかのような視点。悪質な印象操作がある」などと批判している。
 また、NHKは、同じ番組の中で日本統治時代の様子を証言した台湾の男性らから、 「歴史解釈に間違いがある」とする抗議文を受け取っていたことを明らかにした。
読売新聞 2009年7月22日19時19分
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20090722-OYT1T00855.htm
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 ”中国国営放送”NHKがこんな形でなり振りかまわぬ反撃を加えたところを見ると、今回の問題で受けたダメージが予想以上に大きかったのではないかと想像される。
 NHKと中国との関係は以下で:古森義久さん:NHKと中国との関係は?――『正論』のNHK抗議報告記事から(その5)
 ネットで見ていても、親中国派=人權蹂躪派=似権派=左翼総掛かりでNHK「ジャパン・デビュー第1回」問題と台湾社会の現実の封殺を行っている様子が窺える。

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日本レイバーネット:「平和の灯を!ヤスクニの闇へ キャンドル」にご協力を
06年から始まった「平和の灯を!ヤスクニの闇へ キャンドル行動」が今年も、8月7日(金)・8日(土)に韓国(40名)、台湾(70名)、日本、沖縄の4地域からの遺族などが参加して行われます。いつも右翼の妨害のなかで行われるキャンドル行
動ですが、今年は特にNHKスペシャル「ジャパン デビュー」の第1回「アジアの一等国」で「親日派」台湾の軸が批判されたので、高金素梅国会議員と台湾原住民の大挙来日に対して右翼の行動に非常に注意をはらっています。
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 日本レイバーネットが招聘している高金素梅国会議員は厳しい言論統制が行なわれている中国大陸での報道では国民的英雄扱されている。
 高金素梅:写真ページもあり、スター扱いなのがよく分かる。
 また、以下の記述がWikipediaにある。

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高金素梅
2005年秋,考取北京中央民族大学本科;由于仍是台湾立法委员,院长杨曙N敏表示教学办公室以安排集中时段授课。同年获得凤凰卫视网友评选"风范大国民2005年度十大人物“为民族讨助e的高金素梅”。
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 以上のように高金素梅は明らかに中国大陸や国民党と密接な繋がりがあり、その教唆で動いている。そうした流れで行なわれてきた高金素梅の小泉首相時代からの「反靖国闘争」で、それを日本の似権派のレイバーネットが生活の糧を得るために支援しているのだが、日本の一般市民には台湾の意思=高金素梅国会議員と受け取られる可能性がある。中国がNHKなどを教唆して行わせている台日離間策の効果がこうしたところからも效き目を表している。
 市民の皆さんは想像力がはたらかないかもしれないが、活動資金がどこからでているか一度お考えになってみるといいだろう。台湾から日本までの航空運賃約50000円+宿泊生活費(1日15000円×3日間)=約10万円で、この反靖国計画のように70人の台湾人が参加したら約700万円もの費用が移動と滯在だけでかかる。個人が出しているという見方も出来るが、私が今回参加したオーストラリアでの日本語教育世界大会の場合も同じで、こうした国際イベントの場合、招待側が招聘した側の滞在費や旅費を負担するのが恒例だ。今回のレイバーネットの計画では、台湾以下にも、韓国始め各国および国内の反日グループが参加するから、旅費と滞在費だけで非常に少なく見積もっても軽く1000万円を超えている。いったいどこの誰が出しているのか、賢明な読者はご賢察賜りたい。一口1500円の參加費では、10000人以上が寄付しないと1000万の旅費と滞在費すら満足に出せない。
 かつて左翼は貧乏だった。私が30年近く前に、ある学生運動団体に参加していた頃は、こんなコンサートや会場を借りきっての集会を開く金などもちろん無く、東京への抗議活動では普通列車や夜行バスで行って、駅で寝た。今でも大阪駅で夜行の普通列車を待ちながら、皆で一杯の生ビールを分け合って飲んだのを覚えている。いまや左翼は、出所不明、正体不明の資金で肥え太り、祖国を外敵に売り渡している。
 九条の会:こんな金のかかった凝ったホームページを制作し、専従職員を雇う資金の出処は?
 こうした腐敗左翼の動きも含め、日本社会の中から、当たり前の常識「これって何か不自然じゃない」という自然な感覚が失われつつある病根を示したのがNHK「ジャパン・デビュー第1回」現象の本質だと思われる。
  
2.NHK病の亜種:ブログ「安禅不必須山水」の起こす台湾社会への人権侵害
 今回のNHK「ジャパン・デビュー第1回」現象の結果、左翼の退化が進んでいることも同時に大きな問題点として浮かんでくる。知識と知恵と弁舌で闘ってきたのが非力な左翼の本質だったのに、今の若造は肝心の知識と知恵を失って、弁舌だけになっている。
 以下のような、似権派のブログの若造がどうどうと捏造した台湾史の紹介を、さも自分が何でも知っているかのように、悦に入って流しているのを見て、その鼻持ちならない傲慢なエリート意識の裏返しとして、その記述の底に秘められた台湾の人々へのどす黒い差別意識と、些細な証拠さえ適当に組み合わせれば全体的な事実の理解などどうでもよいという言論のあり方自体に、民主社会の市民として深刻な危機を感じた。日本の腐敗左翼は意識の上で資金源の中国の腐敗堕落と同質化しているのだ。
 NHK「ジャパン・デビュー第1回」現象の病根は私達の日本共同体が培ってきた知識と文化の尊重と敬意の根底を脅かすところにまで迫っている。あまりにひどいので、これ以上、誤解を広げないために、今回のNHK「ジャパン・デビュー第1回」を弁護する退化した左翼の若造が書いている内容について、以下、問題点を書いておきたい。

■安禅不必須山水:植民地台湾
 NHKの番組同様、このブログに書かれている台湾に関する内容はほとんどすべて誤りである。退化もここまで来ると病気であり、かつてレーニンが左翼小児病と呼んだ以上に深刻な知性の病気だ。

(誤謬1)台湾での史料、出典を調べないで台湾の資料を現代日本語ですべて読んで自分は正義の味方面をしている

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 「日英博の生蕃館」全文を読む(1)
永山さんは何も言及していませんが、この99年前の新聞記事には、とても不思議な言葉があります。『蕃公』という言葉です。
この『‥公』は、『エテ公』『ワン公』『ポリ公』『ズベ公』とかと同じ使い方でしょうか? それとも、『信長公』『秀吉公』『家康公』と同じ使い方でしょうか? 『蕃公』とは一体誰のことを指すのでしょうか?
この一文は、筆者である田原天南が、引率監督者である石川警部補あるいは板倉巡査から話を聞いて記したものでしょう。だとすれば、『蕃公』とは彼ら監督者(警察官や軍人)が日本人同士の会話では普段から使っていた言葉だったのではないかと思います。
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 この退化した左翼ブロガーの誤りは大きくは二つある、一つは『台湾日日新報』が日本語で書かれているから、日本語で読める、また、それを拡大解釈して現代日本語で読めると、最初から決め込んでしまったことである。もう一つは、「この一文は、~と思います」まで自分の推測を連ねて勝手にストーリーを捏造した点である。
 第二点からまず言えば「筆者である田原天南が、引率監督者である石川警部補あるいは板倉巡査から話を聞いて記したものでしょう」は今では立証できない。田原天南はロンドンへ派遣されており、直接、見たものがないと言える根拠はまったくない。事実かどうか確認する手段のない内容を事実であるかのように書くことはできない。推測に推測を重ねて書く行為自体が一線を越えている。”嘘をついても騙される方が悪い”という感覚はすでに市民社会の所属者ではない。
 田原天南は、『台湾日日新報』の運営者の一人で、データベースでは672件の記事がある。インターネットでは台湾のことは出ていないが、以下に紹介がある。
 天南こと田原禎次郎について
 『台湾日日新報』では、「蕃人」「生蕃人」などさまざまな言い方が用いられており、田原は他の記事では「生蕃人」「蕃婦」「頭目」などと使っている(例「生蕃村のおめでた」明治43年12月3日)。本人の呼び方すら決して一定ではないのに、「『蕃公』とは彼ら監督者(警察官や軍人)が日本人同士の会話では普段から使っていた言葉だったのではないかと思います」などと断定するのは、自分が裁判官か神様か何かに成ったつもりなのであろうか?
 ここで書いている「蕃公」は、台湾の文献や言語に出典がある単語で、実際には、「蕃公(原住民・異邦人の男)」と「蕃婆(原住民の女)」の意味で本省人社会で使われていた用語と考えた方がよい。敬称であった可能性すらある。
 「日本人植民地者と原住民の交流問題―台湾の『蕃界』における通事と通訳をめぐって」:「蕃婦」の用例とさまざまな通婚の事例が紹介されている。 
 尋找「番公」耶徐b先來了:「蕃公」あるいは「番公」の用例が分かる事例。「番公」と呼ばれる神像が実は「キリスト」の姿を象ったものだったことが書かれている。「潮汕民俗喜歡把所朝拜的「神」稱為「老爺」或是「某公」,把異邦稱為「番邦」,因此把不知其名的「神」稱為「番公」而朝拜至今。(福建潮汕に由来する人々の民俗では礼拝する「神」を「老爺(坊っちゃん)」或是「某公(○○公)」と呼び、異国を「番邦」と称する。ここから、知らない「神」の名を「番公」と読んで礼拝し今に至っている)」
 番公井與番婆井:地名に残る「番公井」と「番婆井」の由来を書いている。やはり原住民の掘ったよい井戸の恩惠を今も受けていることが由来になっている。
 このように『台湾日日新報』の「蕃公」は歴史的な由緒のある単語で、記事データベースでは「蕃公」の例は少ないが「蕃婦」の例は普通に見られる。「蕃公」=「キリスト」を指す例もあり、もとの漢語の意味ではある種の敬意が入っていないと見るのは難しい。『台湾日日新報』は漢文版も発行されており、当然、書き手は本省人の読者を意識して用字をしていたと考えるべきであろう。もともと台湾華語の「蕃公」は現代日本語の蔑称「○○公」とは無縁であり、意味はまったく異なる。勝手に現代日本語の蔑称「~公」の意味を台湾華語の「蕃公」に持ち込んで、さらに伝聞資料(「台湾からの手紙」など)で立証したように見せかけたのは、出発点が誤った、まったくのこのブロガーの妄想(捏造)に過ぎない。
 また当時、差別は世界中のあらゆる所に存在した。差別が当然の時代と社会であり、今さら差別意識を論じるのは、”20世紀始めにも台湾に空気がありました、水があったのです”などと言っているのと同じ事で、言うこと自体が無意味であろう。
 結局、「安禅不必須山水」の論は、台湾という海外の言語文化を軽視し、日本統治時代の台湾に関するすべての記述が日本の言語や文化の”亜種”であるかのように読む、まさに帝国主義的植民地支配の支配者の論理であり、台湾人の言語使用の歴史を根本から蹂躪した、明かな台湾人と台湾社会への蔑視である。自分が台湾という外国の歴史に偉そうに土足で踏み込み、重大差別事件を引き起こしているのは、滑稽ですらある。

(誤謬2)史料を調べず、参考資料すら読まない懶惰
 「安禅不必須山水」の論には先に挙げた(誤謬1)と同じ悪癖があり、自分が正義の味方になって次第に架空の世界にのめり込んでいく傾向が見られる。

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4.筆者と時代背景
この記事は、ロンドンで明治43年(1910年)の8月の終りか9月初めに書かれ、およそ1ヵ月後の9月の終わりに掲載されたものです。筆者の「田原生」とは、田原天南という人だと思われます。台湾日日新報の同年7月1日より「渡欧記」を連載しその一環としてこの記事を書いたものと思われます。また同紙には「天南生」としても数々寄稿しています。
田原天南は、おそらく引率監督者である石川警部補あるいは板倉巡査から話を聞いて、この一文を記したものと思われます。
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 先に述べたように「田原天南は、おそらく引率監督者である石川警部補あるいは板倉巡査から話を聞いて、この一文を記したものと思われます」は、今では取材経過を確認する方法がない以上、想像を言うのは妄想に過ぎない。田原がロンドンで自分の見たものを書いている記事も多い以上、伝聞のみと決めつけるのは記事の事実に反する。

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(4.筆者と時代背景)つづき
明治43年その年の台湾日日新報を散見しましたら、基隆からパイワン族一行が船出した2月には駐日英国大使が台湾を訪れ、紙面は日英博覧会の前景気を盛り上げていました。
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 この人物が見た『台湾日日新報』と同じ原本から作成されたかどうかは分からないが、私が見たコピー版とデータベースのPDFはとても「散見」できるようなよい状態ではなく、多くの文字は潰れ、かすれたり真っ黒になっていて読めない部分が少なくない。
 今、調べている『台湾日日新報』の部分も、PDFのどこに該当記事があるのか見付けるのすら難しい場合が多々ある。「散見」できるようなよい版本が日本にあるのだろうか?よって、「散見」したというこの論者の言は、私の知っている版本に関してはまったく信用できない。そんなことが出来る紙面の状態ではないのだ。適当に自分の読みたいところだけを読んだように聞こえる。
 また、「2月には駐日英国大使が台湾を訪れ、紙面は日英博覧会の前景気を盛り上げていました」と断定しているが、調べた範囲では、1910年2月に訪台したのはマクドナルド大使で約1ヵ月台湾に滯在して各地を視察している。記事の数は50本以上あり、植民地支配の方法から経営問題、台湾の印象まで幅広く意見を交換している。台湾では同盟国の大使に最大級の歓迎をおこなっている。訪問は「安禅不必須山水」の言う「日英博覧会の前景気を盛り上げていました」のためではなく、以下のような大使の略歴との関係だろう。
 クロード・マクドナルド
 つまり、マクドナルド大使は、日英同盟を実現させたイギリス側の要人で、この訪問は、更新交渉が11年に迫った時期の日英の交流行事の一つだったのである。日英博覧会もそうした中での行事だったと当然考えるべきであろう。「安禅不必須山水」のように、最初から「日英博覧会=人間動物園」という色眼鏡をかけた図式で読んでいくと、自分と同時代でないすでに歴史に入っている人の動きやその意図はまったく理解できない。結局、「安禅不必須山水」のしているのは、自分の意識の史料への投影に過ぎない。
 『台湾日日新報』での日英博覧会の記事は113件あるが、大半は産業や芸術関係および博覧会場の様子の記事で、パイワン族に関わる内容は10%程度にすぎない。台湾の人がもし日英博覧会に興味を持っていたとしても、記事の分量から言っても、茶などの出品と経済的問題に関心があり、パイワン族の展示に関するものは二次的なものに過ぎないと考えられる。
 つまり、「人間動物園」という意図的派遣により植民地帝国の威信を輝かすという主要動機があって、台湾からパイワン族を送っていたとしたら、そうした”人類学的な優越性”を訴える記事がもっと多く書かれていても不思議ではないのに、田原の書いているのはただのエピソードに過ぎない。しかも、後半では批判があったことすら記事にしている。日英博覧会で「人間動物園」という意図的派遣があったとは記事の分量や書き方からも考えられない。

3.「木を見て森を見ず」のもたらす差別事件
 NHK「ジャパン・デビュー第1回」の番組同様に、左翼の若造が悦に入って書いている「安禅不必須山水:植民地台湾」の内容は、作者の中に潜在する”自分は何でも知っているし何でもできる”という優越心やエリート意識から生まれた、誤謬と捏造に満ちている。
 台湾の歴史がこんな若造の書いた愚劣なブログの記事のために、見るも無惨に書き換えられてしまうという事実を引き起こした原因は、今、ナチス中国が企図している20世紀前半の惨禍を引き起こした帝国主義的心理と軌をいつにしていると思われる。
 だいたい「植民地台湾」という見出し自体、台湾を誰かに支配されるべき対象として差別している名称ではないか?
 問題は、以上に止まらない。続きは、次回述べることにしよう。
(続く)


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