広島を訪れるのにはちょうど良い時期だったのかもしれない。
おりしも東日本大震災が起こり、自然の脅威としか言えない大津波が三陸を中心に襲った。
北は青森から南は千葉までが大きな被害に遭った。
それでは終わらなかった。福島第一原発事故が起こり、今でも脅威は依然として収まってはいない。
しかし阪神淡路大震災の17年目の1・17が過ぎ、まだ3・11から10ヶ月も経っていないのに風化の一途を辿っていると思える。
福島原発は収束しても原爆ドームのように残されるとは思えない。
原子力と核についてこれほど説得力を持った街と遺構を前に、見つめ直す時間があった方が良いと思えたのである。
原爆ドーム前をほぼ全系統が通る広島市電に乗り、1つの終点である江波に向かう。
広島市民とは違い、原爆ドーム前の名前を聞くだけで戦慄を覚えるぐらいだった。
福島原発事故を作家、ちょうど橋本市長が誕生する前に平松市長(当時)の支援集会で、内田樹はこう喝破している。
社会的インフラストラクチャーにマーケットが関与するとどうなるか。そのことを、我々は福島の原発事故で骨の髄まで経験したのではないですか。
あの事故は、電力の供給という、本来専門家が専門的知見と技術的良心に基づいて関与運営すべき仕事に、「潜在的な核兵器開発能力を外交カードとして使いたい」という政治家と、
「電力をできるだけ安いコストで作って収益を上げたい」というビジネスマンが関与したことによって起きたものです。
政治家やビジネスマンは自己都合で原発のリスクを過小評価し、地震や津波は「想定外」にして、防災コストを切り下げる。
もし、ほんとうに専門家が専門的な知見と常識に基づいて原発を管理運営していたら、こんな事故は起きていなかったはずです。
あらゆる社会的な活動のうちに政治的に介入し、ビジネスチャンスを求めるのは、政治家やビジネスマンの本性ですから、これは「やめろ」というわけにはゆかない。
そういうものなんですから、しかたがない。でも、「彼らが入ってはいけないエリア」は存在するんです。自然環境や社会的インフラや制度資本は政策的な論争点や金儲けの手段にしてはならない。
申し訳ないけれども、ここは抑制して戴いて、現場の者に任せてくれないと困る。専門家には、その技術的良心にかけて共同体を守る使命があります。
日本の国土を保全し、国民の健康を守る責務がある。そう思っている人間は社会的共通資本の管理運営については、政治家やビジネスマンの関与にはっきりとした抵抗を示さなければならない。
僕はそう思っています。
恐らくこれに対する反論もあろうとは思うけれど、恐らく情緒的で自己中心的で欺瞞に満ちた目くらましを加えた論となるだろう。
3代目の民主党政権はさすが3番煎じで見事官僚の方針を遂行するだけのおおよそ民主主義とは呼べない政権であるけれど、原発最長60年案という到底承知できない物を出してきた。
消費税増税とセットで3月で採決さえされてしまえば、新政権が出来たとしてもそれに沿った物になる。
まさに官僚の思惑通り。経済がどうなろうが国土がどうなろうが、痛みを覚えるのは国民だけで官僚は痛くも痒くもないことを覚えておいた方がいいかもしれない。
いい加減、日本国民は原子力発電所をどうするのか真剣に考える時が来ているのかと思う。
原爆ドームの前でそして平和資料館で語り部と呼べる方々が居たが、観光客からの質問で、福島原発の声が聞こえない時間はなかった。
また想像以上に外国人の姿が見受けられた。少なくとも8割の人間は平和を求めていると言われる。
殺人が合法になるのは戦争だけだ。人を殺す戦争は嫌だから地球の裏側まで逃げると言う作家も居ると聞く。
当日の直視前、気持ちは重いんだけど、広島グルメは絶対外せない。
広島お好み焼き、広島ラーメン、宮島口のあなご丼、尾道ラーメンの元祖。
初日の晩に食べたこのラーメンが陽気のラーメンだった。
なんとメニューはラーメンのみ。
1杯?って厨房に居る2人のうちの1人のおばちゃんに言われて、1杯と答える。
良かった、予習しておいて。
21時を過ぎた時間に江波駅から歩いて15分ぐらい。
1件の小さなお店。入った時は2,3人ぐらいだったのが、あれよあれよと満席。
そして目の前に出されたのが、この1杯。
醤油とんこつにモヤシ。これが600円。
スープを飲む。う、旨い。思わず唸る。
少し濃い目のスープにモヤシのシャキシャキ感が見事マッチしている。
麺もスープにキチンと絡み、お互い主張しあっているが全く喧嘩をしていない。
チャーシューがまた旨い。ここ最近でこれ以上のラーメンを食べた覚えが無い。
夜更かし組としては、空腹だけは避けたい。もう1杯頼もうか迷った。
スープを飲み干すと物凄い満足感が襲った。まさに絶品。
次回訪問時は2杯目を頂こうと決心した。
にんにくと言えばおろしニンニクを載せてくれるようだ。
実際注文している人が居た。麺の固さも言えるみたいだ。
久しぶりに病みつきになりそうなラーメンと出会った。
しかし如何せん広島は遠い。問題はそれだよな。
5時ちょっとの始発で12時13分広島到着。熱海とほぼ掛かる時間は同じ、東京より2時間弱近いわけだけど。
陽気のラーメンとうえののあなご丼。日帰りで不可能な事はないけれど、関西出店してくれないだろうか・・・。
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