テルサのFantastic Stories

今まで書きためていたとりとめもない物語を少しずつ連載していきます。ファンタジー物が多いです。ぜひ読んでみて下さい。

1-8 光と闇の攻防      「ある国の物語」 第十章 覚醒する者

2020-05-05 23:20:56 | 「ある国の物語」 第十章
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テルサより

みなさま,こんにちは。せっかくのゴールデンウイークですが,今はがまんがまんですね。コロナウイルスが早く収束しますように心から願っています。この休みはいつもより心の余裕があったのでいろいろなユーチューブを見ながら過ごしていました。何気なく検索したファンタジー・・・・そこに出てきたものはいろいろな素敵な音楽。まああるわあるわ・・・すごい数の音楽。今日はずっとその手の音楽を聴いていました。聴いているとなぜか心の中にどこか懐かしいような切ないようなものがわき上がってきます。今はケルト音楽系を聴きながらぽちぽちと打っています。私が思うにケルト音楽系はこの「ある国の物語」よりは,かなり昔に投稿した「虹かかる幻の島ー幻想の風景Ⅰー」がイメージに合ってるかな・・・と。ラミエル編(地上編?人界編?)もいよいよクライマックス。果たしてこの世は黄金の夜明けを告げられるのか,それとも黄昏の終末を告げられるのか。決断を下す運命の輪を廻す神は無事に覚醒できるのか・・・。そしてみなさんは数あるブログ小説の中から見つけて読んでくださるのか・・・。
 
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このお話は・・・・

森と湖の国ファンタジア帝国の少年帝は,実は宇宙を創世した天帝の12番目の息子にして運命の輪を廻す月の神の降臨した姿だった。今,人界は人間による自然破壊から滅亡の道をたどりつつあり,それを救えるのはもはや最も優しく慈愛に満ち,また最も残酷で悲哀の心をもつ本来の月のみであった。聖と魔性の両面性をもつ本来の月の神。果たしてこの世に月の聖帝は黄金の夜明けを告げるのかそれとも黄昏の時を告げるのか・・・・・。

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第1節 光と闇の攻防  第8話

「陛下の強情さは世界でも有名と伺っておりましたが,残念ながらここでは陛下に選択権はございません。さあ,おとなしく時を待たれた方がよろしいですよ。ここは最果ての塔。誰も破れぬ結界も張られています。いくら少々の術ではきかない陛下でも,この結界を破ることはできませぬ」

 術師の落ち着いた太く低い声が塔中に響く。月の君はそれでも諦めたくはなかった。

「どうして分かってくれないのですか。この世は・・・この世界はもはや聖なる月の手には負えなくなっているのです。今を・・・この現実をしっかり見て下さい。魔術の叡智の集まりである最果ての塔の者ならすぐに分かるはずです」
「本来の月になど絶対覚醒していただくわけにはまいりませぬ。この世が滅亡しては困ります。ラミエル陛下,よくもそのような恐ろしいお考えをもたれたものです。観念なされませ。いくら軍神と名高い陛下でも,もはやここから逃げることはできませぬ」

 術師達が近づいてくる。月の君は意識のないハービア王子をそっと床に下ろすと,姿勢を低くし,剣を鞘ごと抜くと反撃に出た。さすがは剣をとって右に出る者はいないと言われるだけある。次々に襲ってくる者達を確実に一発で気絶させていく。一通り倒して辺りを見回す。

「ラ・・・ラミエル・・・」

 今までの様子を呆然と立ち尽くして見ていたマリウス皇子が,頼りなげな眼差しを美しい月の君に向ける。

「マリウス,私は少し辺りを見てきます。あなたはハービア王子を頼みます」
「う・・・ん。でも,心細いなあ。俺も行くよ。ちょっと待ってて」

 マリウス皇子は倒れている太陽の君の頬をパシパシとたたき,ゆさゆさと身体を揺さぶる。

「おい・・・ハービア・・・・ハービア」

 暫くゆさゆさと揺さぶっていると,金髪の前髪に隠れていた瞼が開き,真っ青な瞳が姿を現す。

「う・・・ん」

 太陽の君は暫く頭を押さえていた。やがてはっと顔を上げ,きょろきょろと辺りを見回す。

「あれ?ここどこ?おお・・・マリウス,ラミエルも無事で何より・・・」
「何吞気なこと言ってんだよ。ここは最果ての塔だ。このままじゃラミエルが聖なる方の月になっちゃうんだよ」
「ええ?最果ての塔?そりゃ大変だ。早く逃げなくちゃ。ラミエル,行こう」
「大丈夫ですか?ハービア王子」
「そんなこと言ってられないだろう」

 3人はとにかく近くに見えた通路を抜けて下へ下へと下りていく。外に出る所まで何とか辿り着いたが,どうにも大きく重量感のある扉が開かない。

「くそ・・・やっぱり結界か」

 ハービア王子が何回か体当たりをしてみるが,その扉はびくともしない。そのうち,最果ての塔の者達が気付いて3人を追いかけて取り囲む。そして,やがてその中から長老とおぼしき一人の老人がゆっくり彼等に近づいてきた。

「陛下,あともう少しの辛抱です。この塔の中でそれまでごゆるりとお過ごし下さいませ。6月15日の夕方,我々はクリスタリア神皇国のルナ・パレスへ参ります。ラミエル陛下,あなた様はそこで洗礼聖台の上に寝かされ,聖なる月の神に覚醒されることになります」

 老人の言葉にハービア王子がかみついた。

「何言ってんだよ。ルナ・パレスはクリスタリア神皇国の神官が守っているって聞いたぞ。それに,ラミエルはそこで目覚めちゃいけないんだ。もはや聖なる月の神にできることは何もないんだよ」

 金髪の王子はそのまま長老に突っかかっていったが,いとも簡単に術で吹き飛ばされた。

「あっ・・・っ・・・・・」
「月の神様の威厳を損ねる言動は決して許しませぬぞ。ルナ・パレスに行くために,あえて我々はクリスタリアの者を連れてきたのですよ」

 ラミエル帝は研ぎ澄まされた冷たい瞳で長老を見る。そういう彼を見た時,ハービア王子はやはりラミエルは魔性の月神に近いのではとついつい思ってしまう。

「私は聖なる方へ目覚めるわけにはいかないのです。でも・・・どうしてもと言うならせめてマリウス皇子とハービア王子だけでも自国へ帰してあげてください。彼等には関係ないでしょうから」
「そうしたいところですが・・・お二人にも用事がありますので承服いたしかねますな」

 長老は最後まで落ち着いた様子でゆっくり話すと,奥へと引っ込んでしまった。

「さあ,こちらへ」

 3人は何もできないまま最果ての塔の者達に連れて行かれ,一室に3人もろとも閉じ込められてしまった。
 
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最初から読みたい方はこちらのFC2小説で読んで下さるとありがたいです。
しおりもはさめて普通の本のように読めますのでどうぞゆっくりまったり自分のペースで読んで下さいね^^。
ブログ小説と同時に更新していきますので一緒にある国の世界を冒険しましょう。


   「ある国の物語」

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この度,新しくFC2ブログにて「テルサのFantastic Stories 2」を作成しました。ゆくゆくは引っ越ししようと思っていますが,今は「魔王伝説」を連載中です。ある高校にやってきた謎の転校生。その転校生の正体とは・・・・。どうぞよろしくお願いします。

   「テルサのFantastic Stories 2」  
 

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