第3節 友と 第5話
「とにかく・・・・・ラミエルに何とか月のサークレットをはめさせておかないと・・・。魔性にならなくてすむように」
ハービア王子の言葉に悪友は少し溜息をついた。
「ラミエル帝の強情さはお前の方がよく知ってるだろう。世界一有名な強情っぱりだぞ」
マリウス皇子の言葉が届いたか届いていないのか,ハービア王子は旧約聖書を見ながら考えていた。第13節に書かれた魔性の月。神世に一度,この人間界を滅ぼそうとした月の神レイミール・ラ・ルネシスの姿がそこにはある。魔性となったレイミール・ラ・ルネシス神はこの世を悲観し,全てがなくなってしまえばよいと願った。その願いは自然を動かし,天帝が早く気づいていなければこの世は今,存在していなかったかもしれない。まるで大嵐と大洪水と大地震が一度に来たようなすごい荒れようだったらしく,人間はみな,この世の終わりと怯え,大地にひれ伏したと聞く。
「そう言えば・・・・あいつに何かあると自然が反応しているな,今でも・・・・。覚醒したらそれはすごいんだろうな」
「おいおい,感心してる場合かよ,ハービア」
二人がもめていると,ラミエル帝が部屋に戻ってきたので,マリウス皇子は慌てて旧約聖書を荷物の中にしまいこんだ。急に二人は表情を変え,何事もなかったかのように月の君を迎えた。
「や,お帰り。すんだのかい?」
「ラミエル,お疲れ様」
何も知らないラミエル帝は二人の態度にいささか不審を抱いているようだったが,追及することはなかった。悪友達に自慢のハーブティーを入れる。
「先ほど・・・・フォスターのモンテオール帝から通信が届きましたよ。宮殿に帰ったら山のようにお見合いの申し込みがたまっているから,楽しみにしておくようにと」
「ええーーーー?いやだあ。俺,帰らない」
口をとがらせて,マリウス皇子は不満げにつぶやいた。ラミエル帝は二人に紅茶を出した後,お菓子をすすめる。
「意中の姫君がいるのなら,今の内に父君に申し上げておいた方がいいですよ」
その言葉にマリウス皇子はドキッとして月の君を見た。
〈こ・・・こいつ,知っているのか。俺の好きな人のことを・・・〉
ラミエル帝は相変わらず淡々とした調子である。
「いるのでしょう?」
念押しの質問にマリウス皇子は顔が赤くなった。
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「ある国の物語」
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ハービア王子の言葉に悪友は少し溜息をついた。
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マリウス皇子の言葉が届いたか届いていないのか,ハービア王子は旧約聖書を見ながら考えていた。第13節に書かれた魔性の月。神世に一度,この人間界を滅ぼそうとした月の神レイミール・ラ・ルネシスの姿がそこにはある。魔性となったレイミール・ラ・ルネシス神はこの世を悲観し,全てがなくなってしまえばよいと願った。その願いは自然を動かし,天帝が早く気づいていなければこの世は今,存在していなかったかもしれない。まるで大嵐と大洪水と大地震が一度に来たようなすごい荒れようだったらしく,人間はみな,この世の終わりと怯え,大地にひれ伏したと聞く。
「そう言えば・・・・あいつに何かあると自然が反応しているな,今でも・・・・。覚醒したらそれはすごいんだろうな」
「おいおい,感心してる場合かよ,ハービア」
二人がもめていると,ラミエル帝が部屋に戻ってきたので,マリウス皇子は慌てて旧約聖書を荷物の中にしまいこんだ。急に二人は表情を変え,何事もなかったかのように月の君を迎えた。
「や,お帰り。すんだのかい?」
「ラミエル,お疲れ様」
何も知らないラミエル帝は二人の態度にいささか不審を抱いているようだったが,追及することはなかった。悪友達に自慢のハーブティーを入れる。
「先ほど・・・・フォスターのモンテオール帝から通信が届きましたよ。宮殿に帰ったら山のようにお見合いの申し込みがたまっているから,楽しみにしておくようにと」
「ええーーーー?いやだあ。俺,帰らない」
口をとがらせて,マリウス皇子は不満げにつぶやいた。ラミエル帝は二人に紅茶を出した後,お菓子をすすめる。
「意中の姫君がいるのなら,今の内に父君に申し上げておいた方がいいですよ」
その言葉にマリウス皇子はドキッとして月の君を見た。
〈こ・・・こいつ,知っているのか。俺の好きな人のことを・・・〉
ラミエル帝は相変わらず淡々とした調子である。
「いるのでしょう?」
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