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テルサより
いつも応援ありがとうございます。ただ今,3つのランキングに参加しています。
よかったら下のところをポチッとクリックしていただけると嬉しいです。さあ,今日の順位はどうかな?さらなる応援をお願いします~^^。コメントもよろしくお願いします。
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このお話は・・・・
森と湖の国ファンタジア帝国の少年帝は,実は宇宙を創世した天帝の12番目の息子にして運命の輪を廻す月の神の降臨した姿だった。今,人界は人間による自然破壊から滅亡の道をたどりつつあり,それを救えるのはもはや最も優しく慈愛に満ち,また最も残酷で悲哀の心をもつ本来の月のみであった。聖と魔性の両面性をもつ本来の月の神。果たしてこの世に月の聖帝は黄金の夜明けを告げるのかそれとも黄昏の時を告げるのか・・・・・。
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第7節 別宮めぐり 第4話
やがてその日も夕食の時間になり,ラミエル帝はフェリスとアデルを両脇において世話をする。切りにくいものは小さく分けてやり,口の周りが汚れたら拭いてやり,その様子はさながら息子溺愛の父親そのものだった。
「兄上,兄上,全部おいしいですね」
「とってもおいしい」
「僕ねえ,これおかわりしちゃった」
「ふふ,僕も」
2人の幼い弟達は月の君をはさんで顔を見合せながらにこにこと嬉しそうに食べている。ラミエル帝はこの時,誰にも見せたことがないほど優しい眼差しで2人を見ていた。セイラ妃は3人と向かい合って座っていたが,2人に何もできなかった。これほどラミエル帝が可愛がり,溺愛している2人の弟をさしおいて,実子をなんてとても言える雰囲気ではない。
夕食後,彼は地方大臣達と歓談をしていた。久しぶりに会って,大臣達も大喜びだ。セイラ妃もフェリスやアデル達とラミエル帝の隣に座っていた。
やがて夜も更け,ラミエル帝は立ちあがった。
「フェリス,アデル,もう休む時間です。行きましょう」
兄の言葉に2人は顔を見合わせて訴えるようにして月の君を見る。
「兄上様,もう少しここにいたいです」
「楽しいですもん,ね,フェリス」
「ね~」
「兄上様,お願いです。もうちょっとだけ・・・」
「いいでしょう?」
「いいでしょう?」
2人の様子を見て,ラミエル帝は少し呆れたように口を開いた。
「明日,起きられなくなりますよ」
「大丈夫です。ねえ,もう少しだけでいいですから・・・ね。いいでしょう?」
「いいでしょう?」
2人に繰り返し言われて,兄は「では,本当にもう少しだけですよ」と折れた。
「わあい」
「わあい」
2人は手を取り合って喜ぶ。しかし,やがて幼い弟達はソファーの上でコロンと転がって眠ってしまった。ラミエル帝は彼らの様子を見ると,大臣達を見た。
「今日は有難う。まだまだいろいろと話を聞きたいところですが,弟達が眠ってしまったので今日はここまでにして下さい」
「かしこまりました。ゆっくりお休みを・・・陛下」
「お休みなさいませ,陛下」
大臣達が頭を下げる。
「お休み,良い夜を」
ラミエル帝はいつもの言葉を言うと,そっとフェリスを抱きあげた。アデルが,その気配にう・・・んと気がつく。
「あ・・・兄上」
「良かった。アデル,もう寝る時間です。ついていらっしゃい」
「う・・・ん・・・はい,兄上様」
月の君は,フェリスを片手で抱き,右手で寝ぼけ眼のアデルの手をつないで,部屋から出て行った。セイラ妃は静かに立ち上がると「私も弟達の世話を・・・」と後を追うようにして出て行った。
みんな溜息をつく。ルチア女官長は「皇妃様」と呼びとめたが,セイラ妃はそのまま彼らの後を追うようにして慌てて行ってしまった。
「皇妃様・・・」
ルチアが心配そうに呟く。
「全く・・・新婚旅行のようなものですのに・・・」
その言葉を聞いて,大臣達が申し訳なさそうに頭を下げる。
「申し訳ございません,女官長殿。弟達のお世話は陛下がほとんどご自分でなさるのです。それはそれはものすごい可愛がられようで,ご自分でされないと気がすまれないような・・・そんな感じすら受けるのです」
「それは分かります。大切なお世継ぎで,とても可愛いお二人ですから。しかし・・・皇妃様とは本宮では1日1~2回挨拶を交わされる程度の毎日なのですよ。初めの頃はまだご一緒にお休みにもなられていましたが,それも少しの間だけ・・・。後は陛下がゆっくりベッドでお休みにもなられていないご様子。皇妃様がお可哀そうで・・・」
「まことに・・・まことにすみませぬ、今,陛下のお仕事を少しでも減らそうとしているところです。会談もほとんど削り,今年度は少しは・・・」
大臣達はひたすら頭を下げることしかできなかった。
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最初から読みたい方はこちらのFC2小説で読んで下さるとありがたいです。
しおりもはさめて普通の本のように読めますのでどうぞゆっくりまったり自分のペースで読んで下さいね^^。
ブログ小説と同時に更新していきますので一緒にある国の世界を冒険しましょう。
「ある国の物語」
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この度,新しくFC2ブログにて「テルサのFantastic Stories 2」を作成しました。ゆくゆくは引っ越ししようと思っていますが,今は「魔王伝説」を連載中です。ある高校にやってきた謎の転校生。その転校生の正体とは・・・・。どうぞよろしくお願いします。
「テルサのFantastic Stories 2」
テルサより
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第7節 別宮めぐり 第4話
やがてその日も夕食の時間になり,ラミエル帝はフェリスとアデルを両脇において世話をする。切りにくいものは小さく分けてやり,口の周りが汚れたら拭いてやり,その様子はさながら息子溺愛の父親そのものだった。
「兄上,兄上,全部おいしいですね」
「とってもおいしい」
「僕ねえ,これおかわりしちゃった」
「ふふ,僕も」
2人の幼い弟達は月の君をはさんで顔を見合せながらにこにこと嬉しそうに食べている。ラミエル帝はこの時,誰にも見せたことがないほど優しい眼差しで2人を見ていた。セイラ妃は3人と向かい合って座っていたが,2人に何もできなかった。これほどラミエル帝が可愛がり,溺愛している2人の弟をさしおいて,実子をなんてとても言える雰囲気ではない。
夕食後,彼は地方大臣達と歓談をしていた。久しぶりに会って,大臣達も大喜びだ。セイラ妃もフェリスやアデル達とラミエル帝の隣に座っていた。
やがて夜も更け,ラミエル帝は立ちあがった。
「フェリス,アデル,もう休む時間です。行きましょう」
兄の言葉に2人は顔を見合わせて訴えるようにして月の君を見る。
「兄上様,もう少しここにいたいです」
「楽しいですもん,ね,フェリス」
「ね~」
「兄上様,お願いです。もうちょっとだけ・・・」
「いいでしょう?」
「いいでしょう?」
2人の様子を見て,ラミエル帝は少し呆れたように口を開いた。
「明日,起きられなくなりますよ」
「大丈夫です。ねえ,もう少しだけでいいですから・・・ね。いいでしょう?」
「いいでしょう?」
2人に繰り返し言われて,兄は「では,本当にもう少しだけですよ」と折れた。
「わあい」
「わあい」
2人は手を取り合って喜ぶ。しかし,やがて幼い弟達はソファーの上でコロンと転がって眠ってしまった。ラミエル帝は彼らの様子を見ると,大臣達を見た。
「今日は有難う。まだまだいろいろと話を聞きたいところですが,弟達が眠ってしまったので今日はここまでにして下さい」
「かしこまりました。ゆっくりお休みを・・・陛下」
「お休みなさいませ,陛下」
大臣達が頭を下げる。
「お休み,良い夜を」
ラミエル帝はいつもの言葉を言うと,そっとフェリスを抱きあげた。アデルが,その気配にう・・・んと気がつく。
「あ・・・兄上」
「良かった。アデル,もう寝る時間です。ついていらっしゃい」
「う・・・ん・・・はい,兄上様」
月の君は,フェリスを片手で抱き,右手で寝ぼけ眼のアデルの手をつないで,部屋から出て行った。セイラ妃は静かに立ち上がると「私も弟達の世話を・・・」と後を追うようにして出て行った。
みんな溜息をつく。ルチア女官長は「皇妃様」と呼びとめたが,セイラ妃はそのまま彼らの後を追うようにして慌てて行ってしまった。
「皇妃様・・・」
ルチアが心配そうに呟く。
「全く・・・新婚旅行のようなものですのに・・・」
その言葉を聞いて,大臣達が申し訳なさそうに頭を下げる。
「申し訳ございません,女官長殿。弟達のお世話は陛下がほとんどご自分でなさるのです。それはそれはものすごい可愛がられようで,ご自分でされないと気がすまれないような・・・そんな感じすら受けるのです」
「それは分かります。大切なお世継ぎで,とても可愛いお二人ですから。しかし・・・皇妃様とは本宮では1日1~2回挨拶を交わされる程度の毎日なのですよ。初めの頃はまだご一緒にお休みにもなられていましたが,それも少しの間だけ・・・。後は陛下がゆっくりベッドでお休みにもなられていないご様子。皇妃様がお可哀そうで・・・」
「まことに・・・まことにすみませぬ、今,陛下のお仕事を少しでも減らそうとしているところです。会談もほとんど削り,今年度は少しは・・・」
大臣達はひたすら頭を下げることしかできなかった。
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