津市の豊津海岸。砂浜に建てられた納屋が連なる。
かつて水産加工場であった木造の建築物が崩れ落ちている。付近にはそんなのがいくつもある。エノキの枯れ枝も見えている。
9月初旬、この風景の中を落ち着き無く飛び回るコウヤツリアブを数頭見つけた。止まっても、すぐに場所を変えてしまう。
『岡山の昆虫』に、「夏期に古い木造家屋や立ち枯れの木の周辺などで忙しげに飛び回る姿が見られる」とあり、まさに記述どおりの景色であった。
『鈴鹿市の自然』によれば、2005年5月末に山本町での採集記録がある。
原色日本昆虫図鑑(下)では学名をAnthrax aygulus Fabriciusとし、「体長7~14㎜、翅長9~18㎜。体はビロウド様黒色で、背面から見て胸部の周縁には黒色長毛と白色長毛を密生する。(中略)成虫は夏に現れる。幼虫はドロバチ、ハキリバチなどの幼虫に寄生する。幼虫時代の宿主の差により、成虫の大きさに変異が多い。」
新訂原色昆虫大図鑑Ⅲでは学名がAnthrax aygula Fabriciusとなっていて、ホシツリアブに似るが、「翅の基半から前縁にかけての黒色部はより濃色でM1室基部は暗色を帯びず、透明部の小黒紋は2個、腹部第1背板側方の白色長毛塊は顕著。幼虫はオオハキリバチ、オオフタモンドロバチなどに寄生。」
この種の正しい学名はどれなのか良く分からない。
この付近では、9月に入ってからクロバネツリアブやマエグロツリアブの姿は見られなくなった。また、スキバツリアブはこの夏ここでは一度も見なかった。
コウヤツリアブ8㎜
コウヤツリアブの右翅
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