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【お釈迦様へ】「もんじゅ」は技術的に廃炉のめどが全く立っていない!

2016-12-23 20:56:16 | エネルギー
ドイツの森番たち
広瀬隆
集英社


 阿弥陀像を作るために、鋳型を組んで、キューポラから溶けた金属を流し込んだときに、金属が背後の火の文様に回り込まずに出来上がってしまうと、お釈迦様像が出来上がってしまうので、鋳物の失敗を「おしゃか」になると、呼び慣わすことになっている。それが転じて機械などの破損も「おしゃか」と通俗的には呼んでいる。

 高速増殖炉「もんじゅ」も廃炉が正式に決定した。もんじゅ建設後22年経ったが、稼働はたった250日であり、ナトリウム漏洩事故を起こして、停止したままである。停止といってもナトリウムを液体に保つため、大電力を消費し続けている。つまり発電設備のはずだが、電力浪費設備と化しているのだ。

 福井県の高速増殖炉「もんじゅ」について、政府は今月中に廃炉を正式決定する。
しかし、技術的にもんじゅを廃炉にするめどは全く立っていないこと。
 原子力機構によると、原子炉を直接、冷やすナトリウムは放射線量が高いことなどから、取り除くめどは全く立っていないということだ。
 廃炉の前提になる燃料の取り出しも最短で6年かかるとしているが、実際には未知数にだ。廃炉には約30年で3750億円以上かかると試算されているが実際の費用は更に高額になると想定される。
 ナトリウムの研究設備をもんじゅの隣に作ったとの話だが、ナトリウムは徐々に不純物が入り、安定性を欠いてくる。無期限に現在の状態を保てるわけではない。よって、一刻も早く廃炉作業に入る必要があるが、その廃炉技術が存在しない。
 政府は廃炉に向けた研究拠点を福井県内に作るとしているが、今更研究せざるを得ない実態に、私としては戦慄するしかない。
 もんじゅは水や空気と激しく反応するナトリウムを冷却材として約1670トン使っている。中国天津市の大規模爆発では約700トンのシアン化ナトリウムが原因だとされる。その総量の倍以上がもんじゅにはある。連鎖的に爆発すれば、単純計算で天津市の倍以上の爆発が発生する。
 また、もんじゅはトン単位で高い順度のPu核燃料が装荷されている。周囲を取り囲むブランケットを使って、97.5%の兵器級プルトニウム239を濃縮するのが目的の設備である。ナトリウムの爆発に核燃料が連鎖的核反応しないという保証もない。
 福島原発事故では3号機は水素爆発でボイド係数が低下して、中性子線速度が減速し、即発臨界を起こし、膨大な熱により水蒸気爆発に至っている。

 文科相が「もんじゅ廃炉のけじめ」ということで66万円の給与を国庫に返納したが、これまでにもんじゅに費やした費用は1兆4千億円を超える。放射能汚染ナトリウム処理も含めると2兆円を超えると言われている。
 日本政府はもんじゅの廃炉は決定したが、次の高速増殖炉の建設は続けるという決定も行っている。


原子炉時限爆弾
広瀬隆
ダイヤモンド社

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