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恒大集団破綻危機は世界に連鎖するか?

2021-09-20 21:46:48 | 不動産
先日、恒大集団の株価が上場価格(香港市場)を下回った辺りから、社債の格下げが相次いで、破綻の危機が言われるようになった。
Youtubeの動画を見ると、現地報告では大規模な集合住宅工事が停止している様子が撮影されている。
よって、破綻はほぼ不可避となった模様だ。
原因は棚卸資産の膨張に伴い、債務が積み上がり過ぎて返済に危険信号が灯ったとことのようだ。
債務が33.4兆円に達して、資金ショートを起こしそうなのである。
仮に債務返済のために、棚卸資産を値下げして処分するとなると、債務超過に転落する可能性が高いと見られている。

(参考)【中国恒大集団③】キャッシュ△10兆円!黒字なのに、経営危機になる仕組みとは? 2021年9月19日
https://www.youtube.com/watch?v=DBEf8D5UDbE

仮に破綻したとして、不動産市況や株式相場にどの程度影響を与えるのか、各々が予想を発表している。
証券会社などのレポートだとハンコを付いたように「市場への影響は限定的」と書いてある。
本当にそうだろうか?

中国政府(中国共産党)は恒大集団へ貸出している金融機関に恒大集団が破綻したときの影響を問い合わせしているという。
「銀行」及び「ノンバンク」のそれぞれ120行程度が恒大集団に貸し出ししているようである。

社債の買い手も欧米の金融機関の名前が幾つも出ている。
日本のGPIFも名前を連ねている。

恒大集団が行き詰まった原因は過剰な借り入れに頼った不動産や電気自動車などの投資の失敗ということになるのだろう。
電気自動車への出資を行っていたようだが、最初から「絵に描いた餅」であり、市場からの金融調達が目的だったのではとも噂されている。
一台も電気自動車の販売実績がないのに、巨額の時価総額を叩き出していた。
コロナもあり、不動産建設の停滞や不動産市況低下が重なって、格付会社がレーティングを低下させたと見られている。

中国政府は不動産の値引き販売を禁じていたようである。
恒大集団が不動産を値下げして販売すると、他の不動産業者の利益を圧迫して、経営危機の連鎖を呼びかねないからである。
しかし、中国恒大は債務者に対して不動産の値引き販売を伴う返済を提案した模様である。

かつて、日本ではカブトデコムの破綻から、北海道拓殖銀行の吸収合併騒ぎにまで発展した事例がある。
日本では90年代から00年代にかけて金融機関の合併や破綻の歴史だった

直近では2008年のリーマンショックによって金融収縮が起こった。
各国は中央銀行の量的緩和(通貨量の増加)によって危機を「先送り」してきた。
そこにきて、コロナ危機がやってきた。
またまた、量的緩和に走った。

中国の中国人民銀行も為替相場で元高にならないように、通貨量を増やしてきた。
中国経済も拡大していたので、穏当な対応であったと思う。

欧米日に習えば、仮に恒大集団の破綻が回避できず、金融や不動産部門での混乱を回避するために中国人民銀行が量的緩和に踏み切る対応をするのが「通例」だと思うが、これは基本的に「禁じ手」なのである。

中国政府は日本のバブル後の動きを調査済だとされる。
また、恒大集団の債務者との間に入って調整を行っているとも指摘されている。

誰も彼もが恒大集団を直接救済しない理由を中国の国内政治問題と捉えている。
果たしてそうだろうか?
私は中国政府が破綻不可避となった恒大集団をあえて救済しないのは、欧米各国対するカウンター行為なのではないかと考えている。

実は、日本の横須賀基地には英国の空母が寄港している。
先日は台湾沖で日米英豪の海軍により合同の軍事演習を行っている。
これは実質的に中国に対する威嚇行為なのである。
日本は特に中国に含むところがなくても、中国政府は軍事的危機と捉えているだろう。
その返礼としての恒大集団の破綻とそれに伴う金融混乱なのではないか。

私はあまり危機感がなかったのだが、どうやらここ数日、特に本日(9月20日)から金融市場が荒れている。
香港市場もだいぶ下落したようである。

恒大集団の2025年償還の社債保有者にGPIF(日本の厚生年金基金)も名前を連ねているし、GPIFの外債運用の一部は中国市場に投資されていると見られている。


仮に恒大集団ショックが起きたとして、欧米の金融や証券市場も動揺するだろう。
日本の不動産市場にも強い影響が出ると思われる。
日本のタワーマンションや商業物件ではかなり中国人(もしくは代理人)による買い案件があるという。
彼らが所有する物件が売りに転じたら、日本の不動産市況も冷え込むだろう。
日本の不動産販売サイトを見ると、首都圏でも値段の濃淡が極端についている。
国道16号よりも外側になると、地価がかなり安くなっている。
単に需要がないのか、生活に不便だからなのかよく分からないが、TVの扇動とは裏腹に郊外の不動産は不人気である。
日本の首都圏中心部における過剰とも思える不動産価格の高騰に対して、恒大集団ショックが大きく水を差す可能性がある。

恒大集団の債務が今後膨らむ可能性もある。
過去に破綻した後に、関係業者に払う簿外の債務が出てきたりして、当初の債務額よりも大きくなるケースがあった。

仮に直近の社債償還が行われなかった場合、債務処理に際して償還率をどのように設定するのか。
ドル建ての社債を踏み倒せば、金融市場は大混乱になる。

止せばよいのに、中国包囲網などとたわけた演出をした結果が、この事態を招いているとすると、相当な混乱が発生する可能性が高いと思われる。

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