猫 周公のコラム

スケッチとエッセイ

古い建築を壊すと文化の伝承が出来なくなる

2008年01月22日 | Weblog
今日のテレビ番組「開運なんでも鑑定団」で、東郷青児の絵が出てきて600万円の値がついていました。
これは吉祥寺にある「ボア」という老舗喫茶店が都市整理のために店を閉めるにあたり、東郷青児さんが昭和30年代初めに壁に描いた大きな絵を、どうしようかということで鑑定団に出して買う方を探しているということです。

実はこの喫茶店はレトロ調の喫茶店として、結構有名なのです。
TOTO出版から出している「モッドイースト」という本にも載っています。
この本は昭和30年から40年代にかけて作られたモダン建築を写真集にしたものです。

この本は都内の70箇所あまりの「モダン建築」を取り上げていますが、こういう建築がどんどん消えてゆくのは実に寂しいことです。
この老舗喫茶店にしても国策でそのまま残しておくことは出来なかったものでしょうか?

日本という国は、古いものは壊して新しくするのは得意なようですが、ヨーロッパなどでは古いものほど大切にしています。
京都は戦災から逃れることが出来たお陰で、古い町や家やお寺の中で生活しており、何百年にわたって文化の伝承が出来ているのです。
古い建築は、ただ記念碑的に残すのではなく、そこで営まれる文化の伝承こそが大切であると思います。

いま株安とか原油価格とか騒がれていますが、こういうときこそゆっくり流れている歴史の中で、文化の伝承の大切さを再認識したいものです。