猫 周公のコラム

スケッチとエッセイ

演劇や音楽の原点を考える 投げ銭の思想

2008年01月13日 | Weblog
演劇でも音楽でも、歴史をさかのぼると、もともとは野外で演じるものであったようです。

行きずりの人たちの中で演じていると、魅力のあるものには人が寄ってきて、「ありがとう」という思いで投げ銭をくれるのです。

演ずるとは本来はそういうものだったのです。
だから演者はかなり厳しい目で見られて、その中で生きてゆくには並大抵ではなかったようです。

ヨーロッパに行くと、街頭のあちこちに音楽を演奏している人たちに出会います。
彼らの演奏は実にレベルが高いので、聴き惚れてつい足を止めてしまうのです。
聴いてる方は、いい音楽を聴かせてくれたということで、幾ばくかのお金を入れてきます。
特に旅行者の場合は、それが忘れられない思い出になっているようです。

歌舞伎でも河原歌舞伎とわれるように、野外で演じていたのが始まりです。
18代目の中村勘三郎さんがニューヨークでテント張り小屋で演じたりしていますが、こういうやり方が歌舞伎の原点だと思います。

このように音楽や演劇は「見て聴いて面白かったら、料金を払ってください」というのが原点であるとしたら、今の時代の役者や演奏家達は大いに考えなければならないと思うのですが、皆さんはいかがなものでしょうか?

つまり先に入場料という料金をもらっている以上は、見たり聴いたりしたものが料金以上のものだった、ということでなければならないのです。