はぐれ遍路のひとりごと

観ながら歩く年寄りのグダグダ紀行

中里・滝ノ谷:ハイキングコース調査蛇足

2017-08-09 12:03:34 | その他
  これからの話は他人には知られない方が私の格好は守れるだろうが、このブログを見てくれている方の中に、
私しと同じ年代の方がいたら、少しは役に立つのではないかと思い恥を承知で告白します。

  踏切の柵に腰掛けながら下を向くと、頭の中がスーとして何本もの線が表れたような気がした。

 「ここは藤枝駅の東側の踏切です。お年寄りが気を失って倒れてします。」
ウン? 何だ? 俺の事か? 早とちりだな~ 俺は何でもなのに。
 「アッ! 私は大丈夫です。」 と声を挙げたが、携帯で話している女性は通話を止めない。
この女性は自転車の後ろに女の子を乗せた人で、俺と一緒に踏切に立っていた人だ。

  「どうしたんだ? 大丈夫かな~?」 と今度は男の声がする。目を開けると男性が数人私を見下ろしていた。
 「大丈夫です。」 と起き上がろうとするが腕や腰に力が入らない。
暫くたったのだろうか、今度は私の両肩に手を掛けて 「大丈夫ですか?」 と声を掛けてくれた男性がいた。
薄目を開けると制服を着た若い人で、目の前で私を覗き込んでいる。どうやら救急車の隊員のようだ。
これはいけない。このままだと救急車で病院に運ばれてしまう。それは駄目だ。
しかしそんな事はお構いなく、私は担架に乗せられ救急車の中に入れられてしまった。

  イヤー!気持ちいい。救急車の中は冷房が効いていて生き返ったようだ。
ここで住所氏名年齢などを聞かれたが、間違えてると意識障害と思われてしまうので、ハキハキなるべくシッカリしていると
思われるように答えた。
症状を聞かれたので、吐気も眩暈も痛い所も無く、休んだので体力は戻った感じだと答えたが、
 「○○救急士の判断で病院に搬送します。」 と最悪の答えが返ってきた。 アーァ! やっちゃった。もう元には戻らない。

  救急車で搬送されているとき 「川に入ったのですかと?」 と聞かれたが、そんな事はないと答えると
 「全身がビッショリですので服を脱がせます。」 服を脱がせ汗を拭いてくれた。
救急士の話では、私は電車待ちで踏切に座るとそのまま地面に横になって動かなくなってしまったそうだ。
近くにいた女性が声を掛けたが反応が無かったので、119番に通報したそうです。

  どうやら柵に座った時に気を失い、女性の電話の声で一旦は気が付いたものの、また気が遠くなり、次に気づいたのは
野次馬らしき声がした時のようだ。
その後の救急車のサイレンの音には気が付かなかったので、また寝込んだのかもしれない。
だが救急隊員に声を掛けられてからは意識もしっかりし、不調な所は無く力らも蘇ったのだが・・・・・・・

  病院の処置室に入ると大勢の医師や看護婦に取り囲まれ、ズボンもパンツも靴下も脱がされ真っ裸にされてしまった。
恥ずかしく惨めだが何と仕方なく、眼をつぶるだけだった。
看護婦たちの声が 「発汗が酷く全身ビッショリです。」 とか 「血圧が計りにくい」 「体温が測れない」 なんて声も聞こえてくる。
 「肛門から体温を計りますね。」 とブスっと尻の穴に異物を入れられた。
更に 「少しチクっとします。」 と両足の付根に針を刺す感触がした。それも一度ではなく何度もチクチクする。
余り何度もチクチクするので 「何をしているのですか?」 と聞くと 「採血をしているのですが中々採れなくて」 と言う。
今まで何度も採血はしていて、血が取りにくいなんてことはなかったので、この医者は不器用だ。なんて思いながら我慢をした。

  倒れた時の状態を聞かれたが、特に何もなくただスーとしただけとしか答えようがない。
症状を聞かれても何とも無かったのだから言いようもない。
医者は 「目の前が真っ暗になったか」 「吐気や眩暈は無かったのか」 「足は攣らなかったのか」 「脱力感は無かったか」 など
色々聞かれるがどれも該当をしない。
今の症状も聞かれたので少しは協力しないと思い 「少し疲れている。」 と答えると 「疲労感を感じるのですね。」
念を押されてしまった。
 「今日はゆらく近くのハイキングコースを歩いて、そのまま駅まで歩いて来たので少し疲れた。」 と言うが、ゆらく付近の地理は
知らないようで、詳しく聞かれるが不動峡も瀬戸ノ谷も知らないのだから説明のしようもない。
医者や看護婦も諦めて 「何時から歩き出して、どのくらい歩いたのですか?」
 「朝8時にゆらくを歩き出して、踏切に3時前に着いて、だいたい20kmくらいです。」
 「水分は採っていたの?」 
 「ハイ。500のポカリと氷らせた水750で、水が少し残っている程度です。あのーその水を飲んでもいいですか。」
 「アーいいですよ。誰か取ってやって。」
と言ってくれたので、まだ少し氷のある水を飲み干した。
ウーン! 旨い。医者看護婦もそんな私の様子を見て、何でもないと判断したようで、その後の会話は雑談のようになった。

  診察室での結果は 「点滴を2本打ち、その後で血液検査の結果を見て帰れるかどうか判断します」 という事で病室に入れられた。
  病室で点滴を受けていると娘が妻と入った来たのビックリした。わざわざ娘に知らせなくてもと思ったら、娘は仕事が休みで家に
来ていたとき、救急車から連絡があったので慌てて妻を車で連れてきのだった。何とも間が悪い事だ。

  点滴を受けているとき経口補水液OS-1を買ってきてもらったが、500㏄を簡単に飲み干し、2本目も買いに行ってもらった。
矢張り水分が足りなかったのだろう。歩いているときは喉が渇いた感じが余りしないが、体の水分は汗で出てしまったのだろう。
歩く時はあと1本追加する必要がありそうです。

  点滴も終り血液検査の結果も出て医師から診断結果を聞く。
 「朝からの長時間の運動で体の水分だけでなく、血液の中の水分も汗で出てしまい、脱水症状になったようです。
ですが体温の上昇は見られず、眩暈も足も攣っていない事から熱中症ではなく、脱水症状です。
最初は血管の中の血漿成分が少なく、血圧も正常に測れない状態でしたが、点滴を血管に直接補給してやっと上が90で下が
65にになりまし。その後も血圧は上がって今は138の76になっています。
水分も塩分の取っていたようですが、長時間続いた運動に伴う発汗には追い付いていなかったのでしょう。
お歳がお歳ですから運動をするにしても、もう少し加減した方が良いですね。」


 ウーン! 反論の余地はないものの脱水症状で倒れたのに何故熱中症じゃないのだろう。確認すると
 「熱中症は体温の上昇を伴って現れる症状で、この場合は体温が正常なため、あくまでも脱水症状です。」 だって。
理解できないがそういう事らしいです。

  娘と妻の前を歩いていると 「お父さんもっとゆっくり歩いて、これじゃどっちが病人だか分からない。」 と笑われてしまった。
その時は長い休憩もして、水分も十分に取ったので体力は回復し、リュックを背にしたのでいつもの歩きになってしまったようで、
もう踏切で横になってしまった影は片鱗も無かった。尤も妻たちに何でもない事を強調したい気もあったかもしれないが。

  なんだかんだ色々あったが、結局 「暑い間は歩きに行かない」 事を約束させられ、家での夕食は、もちろん晩酌は無いが
ご飯はいつもと同じように食べる事ができた。毎日に歩いていた河川敷も、三日休んだが今は7月と同じように歩いています。
一体あの出来事は何だったろう? と夢のような気がしまう。

それでも二度と今度のような騒ぎを起こさないため反省もしました。
今回の帰途では、昼飯を食べた場所から藤枝駅まで7k程度の距離を座って3回も休んでいる。
それが前々回の花倉城跡では6Kでも座っては休んではいない。
さら前回の宇津ノ谷越えでは、最後に休んだ444m峰から焼津駅までの山道を含んだ8kmの道を一度も休まず歩いている。
こうしてみると今回は7kmで3回もどっかり座り込んだのは異常だ。少なくとも3回目に座って休んだ勝草橋では、異常を感じて
バスに乗るべきだった。
 「無理せず楽せず程々に」 がモットーな私なのに・・・・・・・・ でも勝草橋ではまだ余裕があったのに、と未練たらしい気持もある。