聖マリアンナ医科大学病院臨床研修Blog

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後期臨床研修医募集中!

聖マリアンナ医科大学では平成26年度後期臨床研修医を募集中! 詳しくは聖マリアンナ医科大学臨床研修センターまでお問い合わせ下さい!

5大学連携指導医WSアドバンスコース開催中

2010-12-10 20:45:36 | 指導医日記
富士山の麓
御殿場の研修所で研修中です

浜松医大・山梨大学・昭和大学・北里大学そして我が聖マリの5大学の指導医が
臨床における指導の在り方についてさらなる向上を目指そうというもの
参加者には看護師さんも研修医の先生の姿も
もちろん研修医の先生方にはちょっと難しい内容かもしれませんが

いやいや
その能力の高さに驚かされました

臨床現場においていかに評価するか
mini-CEXなる評価手法をお話ししたのですが
ご協力いただいた研修医のお二人には驚きました
アドリブもさることながら
適切な診療と不適切な診療をあえてお願いしたら
きちんとこなす演技力?には脱帽です

実際にmini-CEXを経験してもらいましたが
賛否両論
これは使えるっていう声もあれば
非常にファジーだから具体的な基準が欲しいって意見もありました

臨床現場で総合的評価して
形成的なfeedbackに活用する利点や
研修医が自分の診療能力のmonitorに活用できますよって紹介するほうがわかりやすかったですかね
反省です

それにしても
4つのコミュニケーション特性
結構みなさんはまってましたね

研修のperformanceを評価するから

2010-12-10 12:20:03 | 指導医日記
医師が臨床現場で実際に何ができるのか?
これを測定したい
そう思った時に何を評価方法に使うのか悩みます

臨床現場でできること=実際のパフォーマンス
であるなら
研修医にとって最低限できなければいけないパフォーマンスを項目に掲げて
それについて1つ1つ到達目標を立てて
さらに到達目標に到達しているのか
きちんと評価することが求められるはずです
1つの目標に1つの評価方法が必要です

ところが実際には全部細かく立てるわけにいかない
多すぎる
そこで
まず研修到達目標なる枠組みを厚労省が示して
これをそれぞれの臨床研修病院で判断しなさいって言われている

以前医学教育学会や多くの施設の指導医たちが
「研修到達目標は適切か?」って議論をしていたことがあった
臨床の指導医からすれば当然の疑問だと思います

この研修到達目標は見直しの声もあるけどまだまだ先の話みたい

さて
この研修到達目標に対して
きちんと到達できているか判断するなら
それぞれの目標に対して評価しないといけない
これが【到達度評価】です
(長さを測るならものさしを重さを測るなら体重計ってことです)
もちろん指導医養成WSでは
カリキュラムプランニングとしてこの基本的な過程を学びます

ところが
実際に臨床研修の現場で
知識を確認するために多肢選択問題いわゆるMCQを実施してこの結果で到達度をみたり
創部処置や診察手法を模擬患者やOSCEでチェックしたり
診療態度やコミュニケーション能力を360度評価で捉えたりできているのか
となるといささか問題です
一部の目標は実施できても全部は難しい
1年中講義とテストです(笑)これじゃ学生と変わらないのです

正確に行うとしたら
まずその研修医が現時点でどれくらい実践できるのか「診断的評価」にて研修への準備状態を把握して
研修の合間に行う「形成的評価」で研修途中における状態を確認してfeedbackする
当然この形成的評価によって指導の内容にも改善がうながされる
最後に「総括的評価」で到達しているか確認して修了となる
これって大変です

さらに医師の臨床におけるパフォーマンスには非常に複雑で
多岐にわかる総合的な能力が求められています
それでどうしても「到達目標がこれだけでいいのか?」って疑問が当然湧いてくるわけ

とにかく研修到達目標があるのだから【到達度評価】は行ったほうがいいのだけど
それ以上に現場で考えたり・判断するほうな「高い総合的な知識」や
共感的態度や向上心・関心などの「プロ意識」なんかはどうするか?

教育学の中では
そのような総合的な能力も目標にして評価できる【目標準拠評価】という考えがあります
研修到達目標にあるような経験目標のような達成度の明確なものから
行動目標や一般目標のようなあるレベルが求められるもの
たとえば研修2年修了時には医師としてこれくらいのレベルであってほしいみたいな目標において
その目標に照らし合わせて到達度を評価するものです
これを臨床現場で活用すると
個々の研修医の能力について
ある目標に準拠した評価を行い指導と評価の一体化を図ることになる
もちろん臨床現場で評価できるように工夫して総合的に評価することは大切で
さらに評価を充実されるために指導医間の共通理解が必要となる

この目標準拠評価に適しているのがポートフォリオなのですが
そこまで書くと長くなるのでやめときます

とにかく評価できる目標のみを到達目標にするなんて馬鹿げたことです
指導医養成WSでは測定できることって教わりましたが
これは考え方・理論を学ぶためと割り切ればいいと思います

臨床では単一の評価方法による評価が難しいことがいっぱいある
だからこそ【目標準拠評価】って考え方はいいような気がします

聖マリの研修でなぜポートフォリオを用いるのか?ってなんかわかっていただけますか?

いちいち個別に評価してられない!って宣言したのではありません
臨床における指導の在り方と評価の在り方を見つめなおしたってことです(笑)


はい