仙丈亭日乘

あやしうこそ物狂ほしけれ

読書録 2024年4月中旬

2024-04-21 08:51:00 | 読書録(備忘)
『明治文学小説大全』 (全50篇)4月14日明治31年(1898年)『小説不如帰』 徳冨蘆花初読。長篇。愛する二人が引き裂かれ、病いで亡くなる悲劇。メロドラマのはしりとも云うべきか。ベストセラーとなったのもむべなるかな。「ほととぎす」だとばかり思っていたが、のちに徳冨蘆花自ら「ふじょき」と書いているのを知った。擬古文なのに現代仮名遣なのが、名文であるだけに、違和感はなはだしい。障子に映る猫の影 . . . 本文を読む
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読書録 2024年4月上旬

2024-04-11 13:22:00 | 読書録(備忘)
『明治文学小説大全』 (全50篇)4月3日『続続金色夜叉』 長田幹彦初読『続』の続篇なので、作者はたぶん長田幹彦なのだろう。『続』の最後に貫一がみた夢の情景に塩原温泉郷で遭遇する。その温泉宿で、貫一は心中しようとする狭山と愛子を止めるのだったが、事情を聞くうちに愛子を身請けしようとする客がお宮の亭主、富山唯継であることを知る。身請話を蹴飛ばして狭山と心中しようという愛子の心根に感動した貫一は、 . . . 本文を読む
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読書録 2024年3月下旬

2024-03-31 21:38:00 | 読書録(備忘)
『明治文学小説大全』 (全50篇)3月21日明治28年(1895年)『書記官』 川上眉山初読。短篇。略体字、現代仮名遣。川上眉山という人を初めて知った。とある湖の近くにある温泉宿で、書記官つまり官僚の奥村辰弥は実業家の三好善平と出会い、善平の末娘、光代に懸想するのだった。なんともたわいもない話。同年の日清戦争を日清事件としているのが興味深い。3月22日明治29年(1896年)『照葉狂言』 泉鏡 . . . 本文を読む
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読書録 2024年3月中旬

2024-03-20 20:54:00 | 読書録(備忘)
以下、長文失礼!『明治文学小説大全』 (全50篇)3月12日明治24年(1891年)『五重塔』 幸田露伴初読。大工仲間から「のっそり」と渾名されている十兵衛と、大工仲間からも慕われている親方の源太郎。谷中感応寺の五重塔の建立に二人が名を挙げる。のっそり十兵衛は源太親方には恩があるものの、どうしても我が手で五重塔を建てたい。朗円上人が二人を呼び出して、小川を渡る兄弟の逸話をひいて二人を諭す。源太 . . . 本文を読む
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読書録 2024年3月上旬

2024-03-10 21:04:00 | 読書録(備忘)
3月5日『氷川清話 付 勝海舟伝』 勝海舟(1898年) 勝部真長編 1972年初読。勝海舟の、名前だけは知っている著作(語録か)。いま働いている会社が赤坂にあり、勝海舟の居宅が氷川神社の近くにあったというのも何かの縁だろうと思い、読んでみることにした。勝海舟といえば、海軍創設者、江戸城無血開城の立役者、その程度しか知らなかったが、どうやら大政奉還の影の功労者だったようだ。坂本龍馬はその実現に . . . 本文を読む
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読書録 2024年2月下旬

2024-02-29 07:20:00 | 読書録(備忘)
 2月26日『人間の条件』(上・下)森村誠一 2003年初読。名作『人間の証明』から始まった棟居刑事シリーズの一作。人違いで殺されたと思われるOL刺殺事件を追ううちに、5年前の棟居刑事の妻と娘が殺された強盗殺人事件との関連が浮かび上がる。そして、その背後にはカルト教団の影が…この怪しげなカルト教団はオウム真理教を彷彿とさせるが、いまひとつ小説としては面白くない。やはりぼくにとっては『青春の源流 . . . 本文を読む
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読書録 2024年1月後半

2024-02-01 06:50:00 | 読書録(備忘)
1月16日『海辺のカフカ』 村上春樹 2002年再読。調べたら、2005年9月23日に読了していた。順序は逆になるが、8月に『アフターダーク』を読んで失望していたようで、そのせいか『海辺のカフカ』には感銘を受けていた。1944年11月に山梨県のお椀山で起きた少年少女16人の集団昏睡事件。うち一人、中田少年はしばらく意識不明となり、目覚めた時には自分が誰かもわからなくなった。15歳の誕生日に家を . . . 本文を読む
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読書録 2024年1月前半

2024-01-16 07:14:00 | 読書録(備忘)
1月10日『世界の終わりとハードボイルドワンダーランド』 村上春樹 1985年再読。初期3部作に続く長編第4作品。確かピンク色っぽい箱入りの本だったけど、いつ読んだんだっけか。『ノルウェイの森』がバカ売れした1987年の時点ではすでに読んでいたような気がするけれど定かではない。いづれにせよ、デビュー作『風の歌を聴け』が1979年、僕が浪人してた時だったから、村上春樹は僕にとって同時代の作家だと . . . 本文を読む
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読書録 2023年12月後半

2024-01-05 07:20:00 | 読書録(備忘)
12月16日旗師・冬狐堂シリーズ2『狐闇』北森鴻 2002年再読。旗師、冬狐堂こと宇佐見陶子が主人公。陶子もすでに38歳。どうやら古物商としての鑑札を取り上げられてしまったらしい。それが何ゆえなのか。いきなり物語に引き込まれてしまう。海獣葡萄鏡2枚を落札したはずなのに、1枚はなんと三角縁神獣鏡にすり替えられていた!次には村山槐多を手に入れたらすぐに盗まれてしまう。そして、仕組まれた飲酒運転事故 . . . 本文を読む
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読書録 2023年12月前半

2023-12-16 07:23:00 | 読書録(備忘)
12月2日蓮丈那智フィールドファイルⅣ『邪馬台』北森鴻 2011年初読。シリーズ初の長編作品。北森鴻は2010年1月に逝去。未完の遺作を婚約者である浅野里沙子が完成させたとのこと。死の前年2009年5月に国立歴史民俗博物館の研究グループがC14年代測定法により、箸墓の築造年代を240年から260年とする発表を行なっている。しかもそのグループの責任者である教授が、これで卑弥呼の墓は箸墓に決まった . . . 本文を読む
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読書録 2023年11月下旬

2023-12-01 13:52:00 | 読書録(備忘)
11月23日蓮丈那智フィールドファイルⅡ『触身仏』北森鴻 2002年再読。連作短篇集。主人公は民俗学の助教授・蓮丈那智とその助手・内藤三國。「死満瓊」がいい。八尺瓊勾玉が山幸彦の得た潮満瓊・潮干瓊だと仮定する説が引き起こす殺人事件に那智が巻き込まれて容疑者となるが、那智が事件を解決する。その際に那智が三國にした行為とは?11月27日蓮丈那智フィールドファイルⅢ『写楽・考』北森鴻 2005年再読 . . . 本文を読む
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読書録 2023年11月中旬

2023-11-21 05:27:00 | 読書録(備忘)
11月11日『死にゆく者の祈り』中山七里 2019年初読。浄土真宗の坊さんが、かつての命の恩人である死刑囚を死刑から救う話。中山七里は山を知らないようだ。冬の劒岳、春の穂高、そんなものぢゃないよ。知らんけど。「どんでん返しの中山七里」を期待していたけど、無理筋というか、いまひとつだった。11月16日『その日のまえに』重松清 2005年3読目かな?好きな作品です。7篇からなる短篇集。なんだけど、 . . . 本文を読む
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読書録 2023年11月上旬

2023-11-11 08:40:00 | 読書録(備忘)
11月1日『ドミノ』恩田陸 2001年4読目かな?初読は2004年3月19日。入院中につき、大好きで重くないものを。登場人物は27人と1匹。描かれてゐるのは、わづかに1日の出來事。ドミノ倒しのごとく、事件が東京駅に収斂してゆく快感!11月3日『ドミノ in 上海』恩田陸 2020年初読。入院中につき頭が痛くても読めるであろうものを。前作の5年後、舞台は上海。登場人物は25人と3匹。前作より2人 . . . 本文を読む
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読書録 2023年10月下旬

2023-10-31 14:48:00 | 読書録(備忘)
10月23日『関ヶ原』司馬遼太郎 1974年初読。若狭少将木下勝俊、北政所の甥、金吾中納言小早川秀秋の兄。そういった人物がいたことすら知らなんだ。伏見城代の身でありながら見事な脱出ぶり。徹底して中立を守った桑名城主・氏家内膳正行広、見事なり。蒲生郷舎の死に様もまた見事!現実家と理想家。家康と三成の違いは所詮そこに行き着く。現実をありのままに捉える家康と、かくあるべしと自らの理想に現実を当て嵌め . . . 本文を読む
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読書録 2023年10月中旬

2023-10-20 07:08:00 | 読書録(備忘)
10月11日『花の下にて春死なむ』北森鴻 1998年3読?この作品で北森鴻を知った。調べたら初読は2004年2月だった。連作短篇集。「香菜里屋」のマスター・工藤哲也が探偵役。探偵といっても、殺人事件とかではなくて、客の話から日常の謎を解くのだ。「香菜里屋」はL字カウンターと2人テーブルが2つあるだけの小さなビアバーながら、料理の旨い店。アルコール度数の違う4種類のビール、3度、5度、12度。5 . . . 本文を読む
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