FF11&14『オス猫日記』

「オス猫」、Misericordeの活動記録(看板に偽りあり)他。
Twitterはじめました(お知らせカテゴリにて)

【どうでもいい話題】リアルスコープでやってたが、

2010年10月09日 23時54分31秒 | 駄文
 確かに立ち読みは別にいいんですが、座り読みとか本を傷める読み方はマナー違反であることをちゃんとテレビで言えと。何でもかんでも許されてるわけじゃねーぞと。

 いや良識ある人はいいんですが、解釈の拡大を恣意的に悪用しようとする輩といいますか、ちょっとおつむの弱い人たちは嵩にかかっていちゃもんつけてくることがあるので。

 うん。それだけ。

(買取の件についても微妙に誤解を招きそうで心配な編集されとったなー)

 ていうかテレビで放送されて現場の人間にとってメリットになることなんてほとんどありませんて。

 一見というかにわかというか、自分に都合のいい部分の情報だけ頭に焼き付けた人が増えるだけなんで。

 お客様が増えるのはうれしいですが、客未満も相手にも下手に出て愛想をふりまかんといけないのがサービス業というもののつらいところですな。

 ていうかサービス業に従事してる人を人間だと思ってないようなのとかたまにいますけど、ああいうのは想像力とかそういうものは持ち合わせてないんですかね?

(相手が嫌がりそうなことに対しての想像力は豊富にあると思うぞ。明らかに嫌がらせな言動はとるからな)

 自分も大概ほめられた人格じゃありませんが、世の中下を見るときりが無いですからねえ。

 とかここで愚痴ってる時点で、自分の低俗さが知れますがー。

【SS】見上げた宇宙【SF01】

2009年01月09日 01時24分22秒 | 駄文
01.

 地上から見た宇宙は美しい。たとえそこが死に満ちた世界だったとしても。



 そんなことを言っていたのは、いったい誰だったか。
 ラビの頭上には満天の星空が広がっている。
 光の砂を散らしたようなそこは、ラビが生まれ育ってきた場所とはまるで違うもののように見えた。

「――すごいわねー、これ」

 背後から聞こえた声。耳に馴染むそれに振り返れば、仕官学校時代からの同期であるメルタが、目を引く長髪を夜風に揺らしながら歩いてくるところだった。
 ラビと同様に保護ゴーグルで覆った視線は、頭上の星空へと向けられている。
 胸元まで下げられた防塵マスク。ほっそりとした形のいいあごと白い喉が見え、不意の気恥ずかしさを覚えたラビは視線を逸らす。

(思春期の学生じゃあるまいし……)

 そんな己の行動が酷く滑稽なものに思え、ラビは小さなため息をつく。
 改めて視線を戻し、こちらを見ていたメルタと視線がぶつかった。
 まっすぐにラビを捉えた翡翠色の瞳に、心臓が小さく跳ねる。
 奇妙なむず痒さは一瞬のこと。自らの口元を指差すメルタは、挑発的な笑みを浮かべている。

「“塩”、そんな強くないでしょ?」

 片方の眉を上げたメルタの笑みには、どこか人を小馬鹿にするような雰囲気があって、ラビは防塵マスクを即座に剥ぎ取った。
 直接触れる外気は冷たく、吐いた息が白く流れていく。

「万が一、ってこともあるだろ」
「神経質」

 一応の抗弁は、一言で斬って捨てられた。

「これからしばらく、地上(こっち)でやってかなきゃいけないんだからさ。いろいろと慣れてかないと」

 言うメルタは、片眉を上げた表情のままで、

「潰れちゃうわよ。気、張り詰めっぱなしじゃ」

 肩をすくめると、再び視線を空へと戻す。
 言われたラビは簡単に同意する気にもなれず、

「――――」

 結局は何も言わず、同じようにして視線を投げた。
 先ほどと同じ満天の星空の中、ひとつだけ先ほどと違う点がある。
 散った光点のうち、地平線に近い位置にある一角がゆっくりと移動している。
 同じ位置関係を保ったまま動くそれらは、巨大な航空艦に灯った明かりの群れだ。
 その向かう先、夜空の端には、はるか上空に浮かぶ長大な構造物とそこから垂らされる一筋の光の帯が見えた。

「あの航空艦って――」
「メリーランド。戦前にあった州名が由来の、合衆国の都市型航空艦」
「都市型、ね……」

 あれも、一種のコロニーなのかしら。と、メルタがつぶやく。
 宇宙と、地上の空と。その内に多くの人間を抱えて漂う様は、確かに似ていると思えなくも無い。

「ま。どっちでもいっか」
「いいのかよ……」

 あっさりとした結論を出したメルタは、ラビの突っ込みに答えず、視線をさらに下へと落とす。
 進むメリーランドの下――実際の位置関係はまるで違うのだろうが――地上に広がる光の群れがある。
 遠方に、市街の光が見えていた。

「明日にはあそこに入ることになるわね」

 言うメルタの声には、静かな緊張の色がある。
 心情を隠すのが得意なメルタのそれを読み取れたのは、ラビ自身、同じように緊張する思いがあったからだ。

「初の地上が、まさか最前線になるとはね」
「最前線っていったって、今は停戦中でしょ。宇宙と地球は」
「停戦中っていっても――最前線、だろ」

 わずかな沈黙。
 ラビの言葉に、メルタの反論は無い。
 代わり、肩をすくめる気配が伝わってきた。

「ま、その通りなんだけどさ」
「えらいあっさり肯定するな、また」

 メルタなりに、重くなった空気を振り払う態度だというのは、付き合いの長いラビにはわかっている。
 それでも、多少の呆れを覚えてしまうのは仕方が無い。
 見れば、メルタはすでに市街地のほうを見てはいなかった。
 視線はラビから見て背後へ、二人が所属する部隊の陸上艦が停泊するほうへと向いている。

「夜よりは昼間に。大々的に市街に入るってのは、まだわかるけどさ――」

 陸上艦の前方甲板。そこにうずくまる影を見やりながら、メルタがわずかに不満げな表情を見せる。

「何だってランドモビルを出す必要があるのよ」
「それこそ昼間に入るのと同じ理由だろ。こっちにだってオリジナルのランドモビルがある、ってデモンストレーション」

 四脚の下半身をもち、状況に応じて二脚形態への変形も可能とするランドモビルは、戦時から地上にあっての戦闘の主役だった。
 As粒子と流体素粒子装甲の研究において先んじるコロニー陣営が、地上においてもその優位性を見せ付けるため、独自に開発したランドモビルという存在は重要なものになる。
 ラビとメルタは、部隊におけるランドモビルのパイロットとして、失敗の許されない重責を負っていることになる。
 そういって、整備員の連中に散々脅かされたのはついこの間の話だ。

「メルタはまだいいだろ。重力下でのシミュレータ成績、俺よりずっと上なんだから」
「でもあたし、本番に弱いのよねぇ」

 なおも愚痴をこぼすメルタにため息をつき、ラビは下げていたマスクを引き上げる。単純に、少し強く吹き始めた夜風が冷たかった。
 メルタもそう思ったのか、二人とも、自然に艦へと向かって歩き出していた。



 横に並んだメルタに気づかれないよう、そっと頭上を振り仰ぐ。
 地上から見た宇宙は、確かに美しく、幻想的だ。
 だがそれならば、宇宙から見た地球もまた、そうであったように思う。
 実際の宇宙が美しいだけの場所ではないことを、ラビはよく知っている。
 ならば、果たして地球はどうなのだろうか。

「明日は、“塩”、強くないといいけど――」

「――ああ、そうだな」

 今はまだ、ラビにはわからなかった。

力の疾走

2007年02月07日 23時27分31秒 | 駄文
 A.F.(アクティビション・フレーム)への搭乗は、機体との合一に似る。
 機体を制御する支援AIが搭乗者の脳波を読み、その意図を鋼鉄の四肢へと伝達する。
 その結果生まれるのは、操縦のラグを含まない、意志と動作の同調した流れだ。
「“クリス”、全周囲に索敵をかけろ。結果は直接こっちに回せ」
『了解』
 己と機体を繋ぐ、相棒へと指示を出し、青年は周囲を見渡す。
 機体頭部に据えられた一対の“目”から伝えられる己の位置は、高い。
 全身を水平に、背部を中心とした各部スラスターから陽炎を噴出し疾走する機体の周囲には、遮るもののない空がある。
 冷えた空気を切り裂くことで生まれる水蒸気の帯が、機体の先端各部から後ろへと流れていく。
 同じように、眼下を流れるのは、険しい起伏を伴った緑と茶の大地だ。
 地平の向こう、市街の一部がせり上がってくるのを認め、青年は機体に制動をかけた。
 すべての推力を瞬間的にカット。
 結果訪れるのは、一瞬の浮遊感と、重力加速による急激な落下だ。
 落ちる。
 大気が壁となって下から叩きつけてくる触感、少し気を抜くだけで全身のパーツがばらばらになりそうな加速の中、白のA.F.は右腕を腰の後ろへと回す。
 腰の後ろ、そこにある鞘から抜き出したのは、短めの銃身を備えた機関砲だ。
 迎える左手で銃身下部をホールド、腰だめに構える。
 同時、白いA.F.は背を下へ、視線を空へと向ける。
 一気に、背部のウイングを展開。羽ばたきひとつをもって空気を叩きつける。
 一瞬だけ浮いた身体を振り、空中で側転をひとつ。
 右側。
 今は壁となった大地から、斜めに突き出た斜面へと着地する。
 両膝をたわめ衝撃を殺し、巻き上がった土砂を振り払う如く両腕と、その先に構えた機関砲を振る。
 銃口の向かう先は、斜面を成す山岳のふもと、山と山の生み出す谷間だ。
 射撃する。
 爆発に似る轟音が断続し、銃口から吐き出された弾丸は光の尾を曳き谷間へ。
 と、弾丸の向かう先、壁となった断崖の陰から一機のA.F.が飛び出した。
「ネズミが。姿を見せたか!」
 砕ける崖の破片を浴びつつ跳躍するのは、鋭角的なフォルムをもった黒いA.F.だ。
 空中へ飛び出した黒のA.F.を追って、白のA.F.が動く。
 機関砲の銃口を上へ。
 対し、黒のA.F.は右腕を回し、左肩上に突き出たグリップを握る。
 引き抜かれるのは、黒の長銃だ。
 左手で抜いた弾倉を銃身下部へ、叩き込むと同時にコッキングを行い、初弾を薬室へと送り込む。
 右手の親指をかけて一回転。
 上から降りてきた銃身を左手で支え、肩付けと同時に三連射。
 速射された弾丸は空気を裂き、即座をもって白のA.F.へと飛来。
 一瞬早くその場を飛び退いた白のA.F.の眼前、空気の灼ける光を曳いた弾丸が斜面へと着弾し、砕けた地面を宙へと散らす。
 二度、三度と後方へ地を蹴りつつ、白のA.F.が機関砲を応射。
 曳光弾の群れはばらけつつ、宙に居る黒のA.F.目掛けて襲い掛かる。
 黒のA.F.は旋回をもって回避。
 宙での跳躍をひとつ入れると、眼下へと長銃を放つ。
「飛ぶぞ! “クリス”!」
『了解。準備は出来ています』
 応酬は信頼をもってなされる。
 白のA.F.は力を溜めるように両脚をたわめると、その反動をもって一気に宙へと身を躍らせる。
 前方への宙返りをひとつ。
 地面と空気を背後へ置いて、一気に加速する。
 目指すのは、上。長銃を手放す黒のA.F.だ。
 機関砲を投げ捨てる。
 回転し、弧を描きながら地面へと落ちていく短機関砲を、しかし白のA.F.は一顧だにしない。
 見据えるのはただ、黒のA.F.のみだ。
 黒のA.F.は、身を縮めるように両腕を前へと突き出す。
 背。ウイングを備えたバックパック下から、何かが跳ね上がってきた。
 即座、黒のA.F.がそれを握る。
 長く伸びた直線に続いて引き抜かれるのは、白刃の大刀である。
 対し、加速を強める白のA.F.が掴むのは、腰脇から伸びた一対の柄。
 抜き放つ。
 日の光を受け、残光を曳き疾るのは二本の長剣。
 剣先の速度は音速を超過。白く煙る水蒸気の尾を流しつつ、左右から黒のA.F.へと向けて叩き込まれる。
 が、当たらない。
 刹那早く身を引いた黒のA.F.、その胸前を一対の刃が疾り過ぎる。
 上段に構えた大刀を、一直線に振り下ろす。
 迫る白刃を掠め、白のA.F.は身を捩って回避。
 加速をそのままに、黒のA.F.へと肩から激突した。
 硝子の破砕にも似た音が響き、白と黒の破片が散る。
 白いA.F.の肩部装甲と、黒のA.F.の胸部装甲が、互いに砕ける。
 速度を受け、吹き飛ばされた黒のA.F.の代わりに、白のA.F.が停止する。
 背から陽炎を噴出させ、黒のA.F.が宙に停止。
 空の上、50メートルの距離をもって二機が対峙する。
 動く。
 一息をもって距離を詰めた白と黒の機体が、交錯を果たす。
「……!」
 回転し、破片の群れと水蒸気の尾を曳きつつ大地に突き立ったのは、白の左腕。
 一拍の遅れを置き、長剣が地を砕く。
 緩慢な、やや軋みを伴った動きで振り向いた白の機体の向こう、黒の機体はしかし、動かない。
 大刀を振り切った姿勢のままに動きを止めた機体の胸、黒の装甲を貫いて一本の長剣が突き立っている。
 黒のA.F.の頭部、光学センサーの役割を果たすカメラアイに、光はない。
 その身体が、傾ぐ。
 一瞬の火花をひとつ。推力を失った黒のA.F.が重力に引かれ、
 落ちる。
 大地と、装甲の砕ける音と破片が散った。



 白いA.F.が膝をついている。
 緩やかな斜面となったその草原は、一部を大きく抉られた状態となって茶色い土を露出している。
 傍らに、一人の青年が立っていた。
 A.F.との合一のための、白いストライカースーツに身を包んだ青年は、抉れた斜面に突き立った長剣と、それを握る白い腕を見上げている。
 腕は肘へと続く半ばで断たれ、ただ黒く焼けた断面を晒している。
 眼下。
 斜面が続く先の谷間へと視線を移せば、深く抉れた地面の底、砕け散った黒いA.F.の姿がある。
 砕かれたA.F.の脇、黒の大刀が墓標の如く突き立っている。
「…………」
 青年は、何も語らない。
『マスター』
 青年の背後、膝をついたままの白いA.F.から声が響く。
 搭載された支援AIの呼びかけに、青年は前を向いたまま、応じる。
「どうした、“クリス”」
『当該空域へと向かう、新たな機体の反応を確認しました』
 報告に、青年が振り返る。
『今しがた、ベヒューテンシュタット方面の観測機に、空戦型A.F.と思われる反応が感知されました』
 青年は、応えない。
 ただ、静かな動きをもってA.F.へと近づき、昇降用のタラップへと片足をかける。
 右手を、白い装甲へとつけ。
 見上げるA.F.には、左の肘先が存在しない。
「……“クリス”。まだ、いけるか?」
 問いかける。
『私は、ただの兵器です。マスターが戦う意志を手放さない限り、私は戦い続けるでしょう』
 返る答えは、淡々と述べられる。
 だが、青年は、
「そう……だな。助かる、“クリス”」
『お役に立てたのなら、幸いです。マスター』
 青年が白いA.F.へと乗り込む。
 コクピットハッチが閉じられ、エアーの抜ける排気音が草原に響く。
 左腕を失った白い機体が立ち上がり、関節から蒸気を吹いた。
 全身のスラスターからは陽炎を、両のカメラアイに赫光を宿し、白のA.F.が、

 ――翔ぶ。



 青い空。
 一筋の水蒸気の尾を曳き、白い機体が飛び去っていく。
 黒いストライカースーツを纏った少女は、それを見上げていた。
 白のA.F.は迷わない。
 ただ、意志を貫く速度をもって、西へ。
「…………」
 少女は、見る。
 己の傍ら、大地へと叩きつけられ大破した、黒のA.F.を。
 胸の中心、コクピットブロックの位置する箇所へとつきたてられた長剣は、だが刀身の半ばを握りこまれることで止められていた。
 少女は呟く。
 それは、最期の瞬間に合一を解き、自らの意思で少女を救った相方の名だ。

 見上げた空、白い機体の姿は、ない。
 ただ、白く曳かれた尾だけが一筋、意志の行方を示していた。





 あとがきー。

 んー。こういう何にも考えてない文章は書きやすいですね。

 読むほうが面白いかどうかは置いておくとして。

(いや、そここそ重要なんと違うか……)

 本来はそうなんですけどねぇ。

 自分の場合あくまでも自己満足ですし、別に何か伝えたいことがあって書いてるわけじゃあ……って、何にもないってわけではないですけど、伝えられてるとは思えませんしー。

(最初からやらんのと、やって駄目なのとでは意味が違おう)

 ですよねやっぱ。

 いやさ、別に何にも意図するところがなく書いているわけじゃあないですよ? もちろん。

 ただ、そういう部分が希薄な文章ってだけで。

 拘りすぎるとそもそも文章が進まないんですよ、自分の場合。

(んーむ……バランス、かのぉ)

 バランス、でしょうねぇ。

幻想大陸

2007年01月06日 23時06分46秒 | 駄文

 街と街を繋ぐ大きな街道を、三人の旅人が歩いている。
「なぁ十六夜。次の街に着いたらまず何がしたい?」
 石畳によって舗装された広い道。
 小さな一人を挟んで歩く片側は、白い肌に碧い瞳、陽光にきらめく黄金色の髪の、背の高い青年。端正な顔立ちと優しげな眼差しは、全体的な印象と相まってどこか高貴な雰囲気すら醸し出している。
「んーとね、んーとね、お菓子が食べたいなっ。ジェンドはー?」
 背の高い二つの影に挟まれるようにして中央を歩いているのは、黒く大きな瞳に同じ色のふわふわ髪、ぷにぷにほっぺの可愛らしい少年。くるくるとよく動く瞳は、それ自体が光を放っているかの如く輝いている。
「そうだな…。私は鍛冶屋に寄っておきたいナ」
 少年を挟んで、青年の反対側。褐色の肌に紫色の鋭い瞳が印象的な、美貌の剣士が歩いている。その全身が醸し出す雰囲気は、紫の瞳に象徴されるように刃にも似た鋭さを思わせる。
「ま~た駄目にしたのかあ? 2つ前に立ち寄った街でも打ちなおしてもらってたよな?」
 呆れ顔の青年が尋ねるが、剣士は「フン」と鼻を鳴らしただけで、まともに取り合おうとしない。
 いつものことなのか、特に気を悪くした風もなかった青年だったが、不意にその顔が少しだけ意地の悪い笑みを浮かべたものとなる。
「ひょっとして、ジェンドってば、使い方が悪いんじゃねーのか?」
 その言葉に、剣士の尖った耳がぴくりと動く。
 途端にどこか剣呑な空気を纏い始めた剣士だったが、しかし表面的には気にした風もなく、無視の態度である。
 しかし、
「ねーカイ。どうして鍛冶屋さんに行くことが多いと、使い方が悪いの?」
 少年の無邪気な質問。
 剣士の耳が再び動き、青年の笑みが少しだけ深みを増す。
「剣ってのは、使い方が下手だとすぐに駄目になってしまうのサ。ジェンドがすぐに鍛冶屋に行くってのは、ジェンドがすぐに剣を駄目にしてしまうってことだろう?」
 と、青年はもっともらしい口調で少年に語っていく。
 段階を踏んで話を進め、いつの間にか相手を自分のペースへ引き込んでしまう話術である。
「私の剣がすぐ駄目になるのは、私ばかり戦わされているからだろーが。貴様の剣がなかなか鈍らないのは、貴様が働かないからだっ」
 流石に無視できないと判断したのか、剣士が青年に反論する。
 しかし、この反論に青年は余裕の表情を崩さない。
「ん~、それはちょっと違うゾ? 俺が何かしようとする前に、ジェンドが一人で突っ込んでいっちまうんじゃないか」
 青年のさらなる反論に、剣士がわずかに言葉に詰まる。
 事実として、道中で危険な魔物にでくわしたとき、真っ先にその存在に気づいて切りかかっていくのは剣士である。青年が剣を抜き加勢しようとする頃には、剣士の足元には瞬く間に切り伏せられた魔物の死体が転がっているのが常だ。
 する仕事がないのでは、青年とて働きようがない。
「~~っ。とにかく、私が悪いんではなく、剣が悪いんだ剣が!」
 半ば吼えるように言ってそっぽを向いた剣士に、青年が笑う。
 すると、二人の間でおろおろとしていた少年が顔を上げた。
「――うん。やっぱり剣はよくないよねっ」
 突然の少年の同意に、「は?」と剣士が振り向く。青年の方はと言えば、「ん?」と、興味深げに少年の言葉を待っている。
「魔物さんをいじめなければ、鍛冶屋さんに行かなくってもいいんでしょ? 鍛冶屋さんに行かなければ剣は使えないんだから、魔物さんをいじめなくてもすむんだよね? だから、そうすれば鍛冶屋さんに行かなくてもいいってことで……えーっと、えーっと」
 言っていて、自分でもこんがらがってきたのか、少年が言葉に詰まる。
 それを見ていた青年が、「なるほどね」とひとつ頷いて、少年の言葉を継いだ。
「確かに、魔物と戦わないで済むなら、それに越したことはないよな。無駄な戦いを避ければ、鍛冶屋の世話になるための出費も少なく済ませられるし」
 青年の言葉に、反論したのはやはりというか、剣士だ。
「ふん。そうは言っても、私たちを襲ってくるのは向こうダロ。襲われても無抵抗で、黙って食われろというのか?」
 剣士の言葉はともすれば意地の悪いものだが、しかし紛れもない事実の一面というものだ。
「お話すれば、きっと魔物さんだって分かってくれるよ」
 少年は心の底からそう信じているようであり、その瞳はどこまでも真っ直ぐな光を宿している。
「そうだな。そうできる世の中にするためにも、早いとこ邪神竜に会いに行かねーとナ」
 そんな少年を見る青年の眼差しは優しく、そしてどこか眩しいものを見るようなそれだ。

 街と街を繋ぐ大きな街道を、三人の旅人が歩いている。
 元聖騎士の青年は友の信じた理想を確かめるために、
 迷子の少年は故郷を探し、魔物たちと友達になるために、
 ダークエルフの剣士は記憶を取り戻し、仲間を滅ぼした魔物に復讐するために、
 それぞれの目的を抱いた三人の旅人が、広い街道を行く。

 その旅の終わりは、いまだ見えることはない――、





 さぁて、というわけで、勢いと愛だけで書いた幻想大陸のSS(モドキ)でございます。

(幻想大陸なんか? それにしては、一匹足りんようじゃが…)

 んー、ですが刻の大地というよりは幻想大陸批准なんですよねぇ色々と。というのも、自分の中の三人のイメージが幻想のが強いからなんですけど。

 刻の大地も大好きなんですが、完結してないだけにあちらはまだ動かしにくいといいますか~。シリアスな作品が書けない人間なんで、自分(;・ω・)

(まあ確かに、主ではあの雰囲気は出せんじゃろうが)

 『小説 刻の大地』とかいいですよね。見事に雰囲気が出てて。

 刻の大地をノベライズするなら、あのくらいのレベルな作品を書かないと! っていう気持ちみたいのもあったりで、やはりどうしても、自分が書くと『幻想大陸』よりになります(´・ω・)

(確か同じ作者で『幻想』のノベライズも出とったと思うが…)

 はっはっは。当然確保済みですとも。

 そちらも「これぞ幻想っ!」って雰囲気が出ていて、『刻の大地』との雰囲気の差を見ると作者の方に対する尊敬の念が高まりますね。
 同時に、作者の方の『夜麻ワールド』に対する、『三人組(+一匹)』に対する愛の深さみたいなものを感じて、とても幸せな気分になります。

 やはりいいですね。『幻想大陸』は。

 漫画も、小説も、二次創作だって、見れば幸せな気持ちになれます(*・ω・)

 願わくば、自分の作品でもそういうレベルに達したいところですが……。

(まーだまだ。じゃな)

 全体的に実力不足っ!

 終わり方はブツ切れだし、それ以前になんか色々と自分に対する不満と恥ずかしさがーーっ!!?

 ……何とか精進していきたい所存ですな(´・ω・)w

アルタナの寵児たち 「先生、しつも~ん!」

2006年06月21日 00時20分43秒 | 駄文
「三旗連合って、どんな組織だったんです?」
 馬鹿猫がおもむろに発した一言に、空気が凍りついた。


 視界が歪む。口に含んでいた葡萄酒を噴出しそうになるのをこらえ、無理やりに嚥下する。軽く咳き込みながら脇を見やれば、この場におけるもう一人の猫――ナーハ・フォルゲは杯に口をつけたまま、眉を顰めて対面の間抜けを眺めている。
 一方の駄猫はと言えば、何故わしが咳き込んでいるのかも、何故自分が見つめられているのかも理解できない様子で、後頭なぞを掻いている。
 それを見、わしはこやつ――ミセリコルデという“自称”「オス猫」に対する評価を改めると共に、こやつをこの場へ連れて来た己の失策を悟った。

「誰から聞いた?」
 やや呆れたようなナーハ・フォルゲの反問。その声に含まれる色合いは、困惑のものが強い。
 ミセリのやつがあまりにもあっさりとその問いを発したもので、真意を測りかねているといった感じじゃろう。――まあ、実際のところ、こやつは何も考えとらんと思うが。
 ……と、そんなことを考えとる場合ではない。このままでは――、
「ヴィルトさんでしたっけ? ニノさん」
 ……遅かった。おまけにこちらへ話を振ってきおった。
 当然、ナーハ・フォルゲの視線もこちらへ向く。何とはなしに気まずい思いを味わいつつも、極力冷静を装い首肯してみせる。
 ナーハ・フォルゲはと言うと、しばらくこちらを見やった後、
「……ま、別に構わねーんだがよ」
 言って、肩をすくめる。
 どうやら、機嫌は損ねずに済んだらしいと見える。図らずも名を明かしてしもうた情報提供者には、今度酒でも奢るとしよう。

「あー……。何て言ったらいいのかね。そんなにけったいな組織ってわけでもねーぞ?
 ――まあ、執行部とか“七十二将”とかの前線連中に関して言えば、確かに人外魔境って感じだったがよ」
 視線を虚空に飛ばしながら語り始めるナーハ・フォルゲ。
 組織形態や指揮系統、知っている部署の簡単な説明をこなしていくうち、徐々にその顔色は曇っていき、
「……代表で挙げるとしたら、《冷厳な刈り手【グリム・リーパー】》とかな」
 先ほど人外魔境と称した“七十二将”の、具体的な名を挙げる段階に至っては、思い出したくないことを思い出したという色がありありと顔に浮かんでいた。
「ナーハさんは、どんな部署に居たんですか?」
 こういうときにこそ、この空気を読めない駄猫の出番。できるならこれ以上思い出したくないというオーラを露骨に発散している相手に向かって、さらに踏み込んでいく。
 ――この強引な厚顔さは、わしには真似のできん芸当じゃ。故に、こういう場面でこやつが居ると多少助かる。……へまを踏むことの方が圧倒的に多いので、結果的にはマイナスなのじゃが。
「俺か? ぁー……俺はだな……」
 思い出すのが嫌なのか、はたまた語りたくない事情でもあるか、言葉を濁すナーハ・フォルゲ。その顔を、何やら得体の知れない期待のこもった瞳で見つめるミセリ。
「えーと……」
 視線をあちらこちらへさ迷わせ、言葉を探すナーハ・フォルゲ。
 ……やれやれ。どうにも事態が硬直し始めた。今のところはこの辺りで引いておいた方がよさそうじゃ。
 内部の人間が代表に挙げるような名前を聞けただけでも、よしとしておくとしよう。
「ミセリ。あまり深い部分まで首を突っ込もうとするでない」
 未だ答えを待つ駄猫に言い、こっそりと安堵の溜息を吐いているナーハ・フォルゲへと視線を移す。
「中々に面白い話を聞けた。このアホが少々礼節を欠いた詫びじゃ。今日の酒代くらいなら、奢らせてもらうとしようかの」
 ――わしの提言に、ミスラ族の傭兵は苦笑して見せた。



 数時間後。酔っぱらったミセリが「暴れる」のを見やりつつ、改めて、わしはこの場にこの駄猫を連れて来たことを後悔するのだった。







 いつにも増して楽屋ネタ度の高い駄文ですなー。

(主が言うな主が)

 さて。明日は文章表現法の第二回小レポートですよ。

 今回は、「小学五年からの英語必修化」に対する意見文(用意された新聞記事からの引用・別意見に対する譲歩を入れること)。ですねー。

 この題に対してあまりにも自分の意見がないもんで、結構不安の残る小レポートなわけですがw

(時間内に終わりさえすれば問題なかろ)

 それは何事に対しても言えることですけどねー。

(ま。それができるかどうか、という話じゃがな。主の場合)

 ぬう(;・ω・)

煉獄

2006年06月08日 02時12分06秒 | 駄文
「――!!」
 人ならざるものの断末魔が響く。獣の咆哮にも似たそれは、薄暗い広間全体に反響し、やがて空間に溶けるように消えていく。
 【ADAM】に死はない。敗北し、活動不能になった【ADAM】は、その全身を構成するエリクシルスキンの結合を失い“融解”する。その後、すべての蓄積を失った敗北者は、最下層にて再構成される。かくて、再び身一つでこの“煉獄”を上ることになるのだ。

 それは永劫に続く戦いの輪廻。

 この場において勝利者としての生を勝ち取った【ADAM】。【GRAM】のコードをもった彼は、そんな取り止めのない思考を行っている自分に気づき、それをカットした。代わりに、全身のエリクシルスキンに信号を送り、状態をチェックしていく。
(――異常無シ。特ニ問題ハ見受ケラレナイ)
 それだけを確認すると、足先を広間の出口へと向ける。先ほどの戦闘で負った傷は塞がっていた。――【ADAM】が最強の兵士たりうる理由のひとつ、不死身とも言える自己再生能力である。【ADAM】の全身を構成するのは、特殊液体樹脂エリクシルスキンのみであり、それは一旦結合を解かれ人としての形を失おうとも、やがてもとの形状を取り戻す。
 文字通り。【ADAM】は死なないのだ。

 【GRAM】が前に立ったことにより、ドアが開く。その向こう側に覗くのは狭く長い通路だ。
 そのまま出口を潜ろうとした【GRAM】は、言葉にできない違和感を感じて足を止めた。
「……?」
 不可解だ。と、【GRAM】は思考する。何ゆえ、自分は足を止めたのだろう、と。
 広間内をサーチしてみるが、違和感をもたらすようなものは見つからなかった。光量を抑えた照明に照らされて、いくつものコンテナの影が浮かび上がる。広間の地面には、先ほど【GRAM】が屠った名も知らぬ【ADAM】たちの残滓がわだかまっているだけだ。

 ――しかし、

 何度確認しても、異常は見受けられないというのに。【GRAM】の中の“何か”は違和感を感じ続けていた。

 ――俺は知っている。この「空気」を。この危険な「空気」を。

(――「空気」? コノ違和感ハ、ソンナ不明瞭ナ根拠カラ来テイルノカ)
 自分の中に複数の思考を感じながら、【GRAM】はもう一度、広間内を見回す。
 時たま気づく、【ADAM】としての自分には存在しないはずの“自分”。アーカイブに存在しないはずの“それ”は、突然に表れては【GRAM】に不可解な行動を取らせる。明確な根拠を見出せない行動。しかし、その行動を選択したことにより生き残ることのできた場面があったこともまた、事実だった。
(シカシ、ヤハリコノ広間ニ異常ナド――)
 そこまで考えたところで、【GRAM】はひとつの事実に気づいた。
(【エリクシルスキン】ノ量ガ、計算ト一致セズ!)
 同時に、向かって右手側のコンテナの陰に、一瞬浮かび上がった電光を捉える。
「!!」
 【GRAM】は思い至る。こちらの感覚機能に働きかけることによって、電子的にステルス効果を得る武装――感覚を光学以外の部分に頼ることの多い【ADAM】相手だからこそ通用する、そんな武装の存在に。
 判断は一瞬。行動の制限される通路ではなく、広間の中央へと向かい地面を蹴る。
 感覚機能を光学に切り替えながら、相手の予測位置から見て陰となる、左手側のコンテナの裏へ飛び込む。その後を追うように、地面や壁で火花が跳ね、穴が穿たれる。
 弾丸の掃射。その間隙を縫うようにしてコンテナの陰を飛び出した【GRAM】の眼が捉えたのは、両腕を機銃へとシフトさせた一体の【ADAM】の姿。ステルスに割り当てたのであろう頭部からは、余剰熱でオーバーヒートを起こしていることを示す炎が舌を覗かせている。
 【ADAM】が動く。両腕のエリクシルスキンを変質させて生み出した機銃で【GRAM】をポイントし、弾丸を吐き出す。先ほどまでばら撒いていた速射弾とは違い、盾にしたコンテナごとこちらを穿つつもりで放たれた高速弾だ。
 【GRAM】は跳躍した。一瞬だけ身を縮めて力を溜めると、それをバネに宙へと。見るものの視界に残像を残すほどのスピードで飛び出したその足先をかすめ、コンテナを突き抜けた数十の弾丸が壁を穿つ。
「ッ!!」
 次の瞬間。射撃直後の反動を無視するようにして、強引に両の腕を振り上げた【ADAM】は、跳躍の頂点に差し掛かった【GRAM】を捕捉した。
「空中デハ、自慢ノ速度モ活カセマイ!」
 両腕をさらにシフトさせる。もはや弾丸をばら撒く必要もなく、ただ瞬間の威力のみを求めた武装へと。そして完成した長大な砲――対戦車ライフルを【GRAM】へと向け――、
「!」
 空中の【GRAM】。その右腕がシフトし、先端から一条の光鞭を打ち出す。【ADAM】の頭上を疾ったそれは、【ADAM】の背後に立つコンテナに突き立つと、一気にその身を縮めていく。本来は対象を引き寄せる目的で使用される武装である光鞭に引かれ、【GRAM】が空中を疾る。だが、
「誤差ノ範囲内。修正可能!」
 叫び、【ADAM】が動く。胴体部を覆っていたアーマー。それがほどけるように展開したかと思うと、砲口を背部に負ったレールガンへとシフトする。その砲口は【GRAM】とコンテナの間、双方を結ぶ光鞭の中間へと向けられる。
「自ラ射線ヘト飛ビ込ムガイイ!」
 撃った。電磁加速された小さな弾丸が、必殺の威力をもって【GRAM】の向かう軌道上へと飛ぶ。
 そして――【GRAM】が左腕から放った重力塊が壁面へと激突した。
 透過するすべてを歪ませる黒い塊は、【GRAM】の向かう先でも、【ADAM】の立つ場所でもなく、【GRAM】の進行方向に対して平行に立つ壁へと突き立った。
 着弾の音は飛沫のそれに似る。瞬間すら凌駕した速度、刹那に展開した重力の檻は、その中心へとすべてを向かわせる。
「!?」
 己の立ち位置すら揺さぶられるような感覚。反射的に両手をついて地面の存在を確認した【ADAM】の頭上。重力塊を“下”とした振り子運動によって弾丸を回避した【GRAM】が飛ぶ。
 重力塊の消失は一瞬。重力の乱流に翻弄されるようにして宙を舞った【GRAM】が、【ADAM】の背後へと着地する。

「ォォ……!!」
 名も無き【ADAM】が吼え、

「……ッ!!」
 【GRAM】の名をもつ【ADAM】が疾る。

 交錯は一瞬。
 右腕に刃を生んだ二体の【ADAM】が馳せ違い、そして――、


 ――【ADAM】の存在を察知して、ドアが開く。その向こう側に覗くのは狭く長い通路だ。照明は最低限。どこまでも薄暗い直線は、その果てにあるものを闇に覆い隠す。
「……勝利して、その先に何がある……?」
 背後に、【ADAM】の“融ける”のを感じながら、【GRAM】は我知らず呟いていた。

 彼は一歩を踏む。更なる“煉獄”へと続く一歩を。




 ここは“煉獄”。
 永劫に続く戦いを運命づけられた人形たちが踊る、酷く滑稽で、どこまでも哀れな「世界」である――。







 うーん。思いつきで書き始めたらこんなに長くなっちゃったー。

 って感じですかねぇ?

(自分の無計画で後悔したりせんのか? 主は)

 まあ、どうせ「.hack//Roots」を見るので起きてる時間帯ですし。そこまで後悔ってこともありませんねぇ。

 というか、これ書いてなかったら絶対忘れてましたね。

(その程度の扱いのアニメを見るために、わざわざこんな時間まで夜更かしか。解らんのぉ……)

 .hackは裏設定とか豊富で楽しいんですよ。アニメ自体が好みに合わなくとも、たまに出て来る本編に繋がる設定とか、前作に繋がる設定とかを見つけるのは楽しいんです。

 ……でもまあ、別に無理して見ようと思うほどのあれでもないですけどね。忘れて寝ちゃってたとしても、あんまり後悔しない程度の扱いですし。

(ますます解らん)

なぜなに『アルタナの寵児たち』 「三旗連合①」

2006年06月01日 23時17分16秒 | 駄文
『「無法集団」? 「犯罪者予備軍」? 噂の傭兵組織“三旗連合”とは!?』
 担当記者:ヴィス=ベギーアデ

 最近、人々の口の端に上ることが多くなった名、“三旗連合”。その正体とは複数の傭兵組合が寄り集まって誕生した、巨大な傭兵ユニオンである。
 「普通の世間からも、傭兵社会からあぶれた、犯罪者予備軍の集団」とも言われるその実態は、果たしてどのようなものなのだろうか。
 今回の「アルタナの寵児たち」では、渦中の“三旗連合”において広報担当の役にある人物、組織内においてカイムの名で呼ばれるタルタル族の男性に話を聞くことができた。

 ――初めまして。今回インタビュアーを務めさせていただきますヴィス=ベギーアデです。
カイム:初めまして。傭兵自治組合体“三旗連合”広報担当の、カイムです。
 ――さて、まずは“三旗連合”という組織についてお尋ねしたいんですが。
カイム:うーん。正確には“三旗連合”はそれ単体では組織なんて大層なものではなく、自治会みたいなものなんですけどね。
 ――自治会……ですか?
カイム:ええ。ヴァナディール各地に偏在する、所謂「傭兵」組織。傭兵団とか、傭兵ギルドとか、呼び方は様々あるでしょうが。そういった組織同士の情報交換や意思疎通のために、各組織の人間が集まった団体を便宜上“三旗”と呼んでいるだけなのが実際のところです。
 ――ははぁ。では“三旗”自体には実行力はないと? 力をもっているのは連合を構成する組織である、と。
カイム:それがそうでもないんですよね。各組織の代表――まあ、多くの場合、腕利きという意味ですが――を集めた“七十二将”という集団があるんですが、これは場合によっては所属組織の意向よりも“三旗七十二将”としての意向を優先して動きますので。
 ――その“七十二将”や構成組織が、“三旗”の方針を無視して勝手に動いたりすることはあるのでしょうか?
カイム:当然あるでしょうね。ただ、他の組織の目もありますので。賢明な組織ならばそこまで無謀な独断専行はしないと思いますよ。
 ――所属する組織同士が対立したりということは?
カイム:ノーコメント……と言いたいところなんですが……あります。ただ、本格的な潰し合いに発展するようなケースは今までで一度も確認されていません。
 ――一部で「犯罪者予備軍」等と呼ばれている件については、どう思われますか。
カイム:まあ、“傭兵稼業”というものに対して、世間が良いイメージを抱いていないだろうというのは分かっています。所属してる傭兵の中にも、好き好んで死地を求めるような人間も居ますし、決してまともな商売ばかりとも言えませんしね。
 ――その呼称を甘んじて受け入れると?
カイム:いえいえ。流石に完全否定はできませんよね。というだけで、これから世間の方々にも見直していただけるよう、努力していきたいと思っていますよ。
 ――それはカイムさん個人のお考えですか? それとも、“三旗連合”としての?
カイム:さて。私は“三旗連合”に属する全員が同じ思いをもっていると信じていますがね。
 ――なるほど。……それでは、ここからは“三旗”が関わったとされる噂について聞いていきたいと思うのですが、まず「軍」の“魔天狼”と戦闘を行ったことがあるという――……、




「ふむ」
 読んでいた雑誌――一部好事家しか読まないようなゴシップ系のそれを閉じて放ると、銀髪の少女は腕を組んだ。
 安物のベッドは雑誌ひとつの重みすら満足に受け止められず、軋んだ音を立てる。その音に、ベッドに腰掛けていたミスラ族の青年が振り向いた。
「――? あれ。これ読んでたんですか」
 自身の背後に落ちた雑誌を手に取り、青年が尋ねる。
 いかにも意外だと言わんばかりの視線に、少女は曖昧に頷いて見せた。
「ん? まあの……」
「この雑誌、他じゃ扱わないようなことも真面目に調査してて面白いんですよねぇ」
 それは要するに、どこも取り合わないような眉唾な話ばかり記事にしているということなのだが。
「今時の冒険者特集みたいなコーナーもあって、一回師匠のことが載ってたこともあるんですよ」
 適当なページをめくりながら話す青年。

「まあ、それ故に隠された部分へたどり着くこともある……ということかの」
 その言葉を、これまた適当に聞き流しつつ、少女はひとりごちた。







 というわけで、表面的な“三旗”の説明なわけです。

(ふむ。記事形式か)

 これが当初想定していた『アルタナの寵児たち』の形式なんですよ。

 ゴシップ系の二流雑誌に掲載される記事を通して、色んな冒険者とかを描くっていう。

(なるほどの。……中々面白そうなのではないか?)

 そう思いますよ。ただ難しいんですよね~、書き方が。

 形式的にブログ向きではあるので、うまくネタが浮かんだらこっちに載せていくつもりですけど。

(うむ。まあ頑張れ)

アルタナの寵児たち 「過去」

2006年05月30日 18時32分02秒 | 駄文
「のう、主人よ」
 『“風の止り木”亭』と彫られた金属製のプレートを磨いていた男は、カウンター席に座した銀髪の少女の呼びかけにその視線を上げた。
 プレートを磨く手は休めず、視線をもって言葉の続きを促す。
「あの二人。どこで拾ってきたんじゃ」
 尋ねる少女の見やる先には、酔っ払い同士の喧嘩を煽り立てるミスラ族の女と、その横で我関せずと酒を呷っているヒューム族の男の姿がある。
 宿の主人兼酒場のマスターでもある男は、「ふむ」とひとつ頷くと、
「おら! ナーハ! ロイ! 仕事しろ仕事ぉ!!」
 酒場の喧騒に負けぬ声で、ミスラとヒューム――この“風の止り木”亭の用心棒である二人組の冒険者を怒鳴りつけた。
 その声に、ミスラが親指を下へ向け、口を尖らせて見せる。一方のヒュームは杯をテーブルへ置き、静かに立ち上がった。

 酒場の喧騒にかき消されて声は聞こえないが、ヒュームの男が喧嘩している酔っ払いの間に入って何事かを諫めているようだ。やがて、やや冷静になったらしい酔っ払いを改めて説得しようと――したところで、その背に浴びせ蹴りをくらい、酔っ払いたちとテーブルの上の諸々を巻き込んで男は床へ倒れこんだ。
 それをきっかけに再び大騒ぎになる店内。先ほどまでと違うのは、その中心になって暴れているのが、今しがた相方に蹴りを見舞ったミスラの女であるということくらいだ。

 ――と、そこまでを見て取って、銀髪の少女は視線を酒場の主人へと戻した。
 プレートを磨く手を止めた主人は、何かに耐えるように顔をうつむかせて肩を震わせていたが、
「……で。何だったっけか? あいつらの素性だったか?」
 やや引き攣った笑顔を浮かべたまま、現実から逃避するように少女へと意識を移した。
「まあ、直接的な物言いをしてしまえばそういうことじゃ」
 少女の方は一から店内の喧騒になど興味がないらしく、先ほどまでと変わらぬ調子で言葉を紡ぐ。
 それに、主人はやや声の調子を落とし、
「あんたは知ってるかい? 何年か前にこの辺りで「軍」と“三旗”がちょっとしたいざこざを起こしたのを」
 逆に聞いた。
 その言葉にはいくつかの固有名詞が含まれており――そもそもその意味について知っていなければ、ここから先を話す意味もないと、言外に告げている。
 対し、少女の返答は首を一振り。否定を示す横ではなく、肯定を示す縦方向への、だ。
 その表情――相変わらずの無表情だが、そこにかすかに緊張の色が差したような気もする。
「――“こちら側”について知っておるなら、知らぬわけもあるまい」
 言って、嘆息。
「発端すら知れんような、どうでもいい諍いじゃったはずが……何がどう間違ったものか……噂では一部の人間の暴走とも言われておるが、ともかく抗争は闘争にすら発展し――」
 そこで、一旦言葉を切る。
 次に来る言葉を、言うべきか否か。しばし逡巡するように間を空け、

「そこに現れたわけじゃ。何の因果か、はたまた完全な偶然なのか。こちら側の世界で知らぬもののない、『絶対の具象』が……」

 「“魔天狼”」と、主人にすら聞こえないような声で呟き、少女はそこで初めて背後の喧騒が幾分和らいでいることに気づいた。
 振り返ってみれば、倒れ伏す酔っ払いたちの中央で高らかに拳を突き上げたミスラが、背後から接近したヒュームに頭を鷲掴みにされているところだった。
「……その話を持ち出すということは……」
 再び主人に視線を戻したとき、少女は完全にいつもの無表情にも見える顔に戻っていた。
「そう。あいつらはその戦場――と呼べるかどうか――の生き残りさ」
 もはや完全にプレートを磨くことをやめた主人の、どこか疲れたような言葉に、少女は再度背後を見やる。
 静かに、ただ静かに、子供に何かを言い聞かせるようにしてミスラへ言葉を紡ぐヒュームと、その前で床に正座させられているミスラ。
「……ふむ」
 少女はただ、そう呟いた。

「ま。終わった話さ」
 主人はそう言い、再びプレートを磨き始める。
「ジュノにあるってぇ本部からの増援だけを残して、“三旗”側は全滅。「軍」の方も、それ以上“三旗”と争ったところで何の益もないってことで、話はそこで終わったわけだ」
 淡々と語る主人の表情。あるいは何かを懐かしむようなその表情を眺め、
「……」
 少女は、杯を一口呷る。

「――ぬるいのぉ」






 はい。「軍」とか“魔天狼”というものについて知りたい方は、右側の柱にあるブックマークから、『銀河に輝くのアクアマリン』に飛んでみましょう。
 自分が名乗っている「オス猫」というのが、どんな存在なのか。それも分かるかと思われます。

 まあ、完全にお遊び設定ですね。今回の話は。これからのお話に「軍」や“魔天狼”が関わってくるかと言えば、まあ全然無関係です。と言うしかないですし^^;

(相変わらず他者の作品から設定を借りてくるのが好きなようじゃな)

 二次創作だからこそ。世界設定を同じくするからこそ可能なことですからねー。

(主の場合、自身の作品の根幹に関わりかねん設定にまで、他所から借りてきた設定を紛れ込ませたりするから妙なことになるんじゃ)

 だから今回はそこまで重要な要素になってしまわないように気をつけたんですけどね。

 ただナーハとロイが“三旗”(こっちの組織についてはまた今度)にかつて所属してて、今は所属してない。と、そこだけが最初からあった設定で、その理由付けとして師匠のところから「軍」を借りてきただけですから。

 ……加えてぶっちゃけてしまうと、この“三旗”も大して重要でもない……かどうかはこれからの展開次第ですけども。

(本当に行き当たりばったりで話を書いとるんじゃな……)

 ですよ?

(いや、だからどうこう言うつもりはないが……適当に勢いだけで書いたものを、ノリだけで人の目に触れる場に掲載して、見返したときに後悔したりはせんものかの。と)

 そりゃしますよ。

 今回のこれだって、今の書きあがってテンション高めの自分ですら「ちょっと痛いな……」って思ってるくらいですし。

(何故そこまで理解しておきながら公開に踏み切るかのぉ)

 それは、今公開しなかったら絶対に次の機会が巡ってこないからです。

 冷静になってからじゃ遅いんですよ。

(そこまでして公開して。楽しいか?)

 さぁ……それについてはよく分かりませんねぇ(´・ω・`)

(……わしには主が分からんわ)

なぜなに。アルタナの寵児たち 「クロイツェンってどんな町?」

2006年05月12日 00時15分22秒 | 駄文
 おう。おはようさん。ここのベッドには慣れたかい?
 いやいや、正直に言っていいさ。ありゃ町の自由市で仕入れてきた安物だからな。なめて吹っかけてきたんで値切り倒してやったら、粗悪品掴ましやがってなぁ。
 お前さんが使ってる部屋のは特に硬いやつだからな。身体痛くなってないか? 何だったら他の部屋のと交換してやるが。

 で、何か聞きたいことでもあるのかい?

 ――この町について。ねぇ……。
 ふむ。自分が立っている土地について知ろうとするのは、中々感心できることだな。
 さて。まずお前さんはこの町――クロイツェンについてどんな話を聞いてる?
 ……そう。この町は陸路貿易の中継地点として発展してきた町だ。今は自由市――というか、実際のとこはもっぱら闇市だな――の町としてもそこそこ知られてる。
 領土としては、北半分がサンドリア領、南半分がバストゥーク領っていう中途半端な状態だ。もっとも、両国とも自治を認めてるから、ほとんど独立してるって言って差し支えない状態ではあるけどな。
 ここに人が住み着いて、クロイツェンと呼ばれるようになったのは、大体天晶歴700年前後だって言われてる。力の時代から技の時代への移り変わりの時期だな。ごたごたしてた情勢に紛れて何となくできあがっていったんだろう。
 最初の頃は本当にただの山村って感じの、小さな宿場だったらしい。それが770年頃、セルビナの開港と同時に、ここはサンドリアとバストゥーク両国から注目されるようになった。ここらの詳しい話はまた別の機会にってところで、今は流すぞ?
 まあ最近は通商関係はもっぱら飛空挺の一人舞台になりつつあるからなぁ。それを理由にした自治をいつまで続けられるか……。闇市の利用価値がある限りは、二国が手出ししてくることはないだろうが……。ま、俺みたいなのの考えることじゃあないかも知れんがね。

 ここの入国――って言い方もおかしいが、まあ今はそれでいいとしとくとしてだ――のシステムは聞いたかい?
 ……ふむ。じゃあ聞くが、ここに入るとき、関所で入関証明書を受け取らなかったかい? 『絶対に失くすな』とか何とか言われて。
 そう。そいつだ。そいつはサンドリア側とバストゥーク側で別々になっててな。クロイツェンの中で施設を利用する際、店によってはどっち側からの客なのか、提示を求められることもある。あと、出国のときにも提出させられるな。この町を通じて密入国したりするのを防ぐためなんだが。まあ、気休めみたいなもんさ。
 街区としては、サンドリア側の北街区と、バストゥーク側の南街区で結構店の顔ぶれが変わる。お前さんが木工品やアルタナ教会なんかに用があるなら北街区。錬金術の薬品や大工房謹製の武具なんかを求めてるんだったら南街区だな。
 ちなみに、ここはクォン大陸だけでなく、ミンダルシアやジュノの方なんかから色んな食材が集まってくるグルメの町でもある。――まあ、うちじゃ大したもんは出してないが……――美味いもんが食いたいんだったら北と南の境界、中央街区にでも行ってみな。ゲテモノから貴族御用達の店まで、色んな料理が見られると思うぞ。……この近くのブラオ湖で獲れる博打魚だけはお薦めせんがね。

 ――とまあ、ざっとこんなところか? ちょっと偏った知識だったかも知れんが、そこは勘弁だな。他に知りたいことがあったらケーパ・クッパの奴にでも聞いてみるといい。
 ディヒター? ああ、あいつには期待しない方がいいぞ。吟遊詩人なんぞと名乗ってはいるが、実際のところ詩は謳えんし、そういう方面の知識が豊富ってわけでもないからな。あいつに聞くくらいなら最近来たばかりの、あのオス猫さんの飼い主だって言ってる、えーと……そうそうニノさんだ。あの人に聞いてみた方がずっとましだと思うぞ。
 どこで仕入れてくるのか、最近じゃ妙にこの辺りのことについて詳しいからな。

 ――? はは。なるほど。やっぱりそうか。
 おいジニー! 六号室って今空きだったよな? 七号室のとベッドを取り替えといてやってくれないか。やっぱりありゃあダメだとよ。

 さて。それでお前さん、今日は一体何をするつもりなんだい?

『――』







 はい。突発的設定説明駄文でございます。

(自己満足の塊じゃな。これまた)

 まさに誰も聞いちゃいない話ですからね。「知るか」って声が聞こえてきそうですよ。

(分かってて何故書く)

 さぁー。そればっかりは分かりません。自分でも。

(……なるほど。病気か)

 なんですかねぇ?

(いや。わしに聞かれてもなー)

ジュノ

2006年05月09日 00時14分10秒 | 駄文
 クォン大陸とミンダルシア大陸を繋ぐ、巨大な橋。ヘヴンズブリッジ。
 その上に形成された都市国家。それが、今や両大陸最大の通商国となったジュノ大公国である。

 デルフラント半島、ロランベリー耕地。
 遠くジュノを望むことの出来る丘に、二人の人間が立っている。
 二人ともヒュームの、若い男女だ。
 双方とも、リザード種の革で補強したレザーアーマーを着て腰には長剣を差している。

「ついにジュノだよ! ジュノが見えるーっ!」
 少女がやや興奮した口調で言う。その瞳は、憧れの地を目の前にした高揚に輝いて見える。
「あんまり大声出すなよ。ただでさえ目立ちそうな場所なんだから」
 対する青年はやや緊張した面持ちで周囲を気にしている。その右手は腰の剣の柄にかかり、警戒の強さを窺わせる。
 この辺りに出没する敵――特にクゥダフやゴブリンなどの獣人は、今の二人ではどうにもならない強さである。見つかれば、どうなるものか分かったものではない。
「ここまで何日も逃げたり隠れたりで、やっとジュノが見えたんだよ? ちょっとくらい叫んだって――」
 少女がそこまで言った時、青年の背後に何かが立った。
 慌てて振り向いた青年の視界に映ったのは、青年よりも頭二つ分ほど大きな、細身の影。
 青年が覚悟したような獣人ではない。むしろ、知った顔である。
「な、何だ。フォルか……で、お前はひとりだけ逃げようとしてんなよ」
 青年は止まっていた息を吐く。駆け出そうとしたままの姿勢で固まっている少女に言うと、長身の影へと向き直る。
 影――マントを羽織り、長剣を提げたエルヴァーンの男である。
「あまり離れるなと言ったろう? ジュノも近くなったとはいえ、ここらにもまだ獣人は出る」
 フォルと呼ばれたエルヴァーンが言う。
 ジュノ周辺の魔物は強力だ。そのため、初めてこの地を訪れる冒険者は大抵の場合護衛を雇う。彼は、青年と少女の護衛だった。
「今日中には実際にジュノの中に入れる。ここで先走っても仕方ないだろう」
 呆れたように言うフォルだが、その眼はどこか懐かしいものを見ているようでもあった。
 過去、自分が初めてジュノを目指した時のことを思い出しているのだろうか。
「悪い悪い。て、俺は止めたんだけどな」
 「こいつが――」と言って青年が指差した先。少女は、空を見上げて口をあけている。
「? 何やってんだ」
 訝しがる青年に、少女は己の見ている先を指差して見せる。
 青年とフォルがその指の先を見上げる。と――、

「……飛空挺……」

 雲ひとつない蒼穹を、滑るように進む一隻の船。
 あの中には、大勢の旅人が乗り、自分たちの目指す、ジュノへ向かっているのだ。

 しばらく空を往く船を見上げる。ジュノの方へと進んだ飛空挺は、やがて、山の陰に消えていった。
 それでも、しばらくの間。三人は飛空挺の飛び去った方向を見つめていた。

「……さて。それでは私たちも行くとしようか」
 フォルが言い、青年と少女が頷く。

 三人の冒険者は歩き出す。冒険者の集う地、ジュノへと――。






 うーん。微妙というか、いまいちですかね。

(先に風景ありき。じゃからな。キャラなんぞも適当極まりないしの)

 しかし、それにしてもオチへの持って行き方が微妙なんですよねぇ。

 もっと綺麗に繋げて終われたとも思うんですが。

(いつもそればかりじゃな)

 頭の中の理想を再現できるほどの腕がないのが歯痒いですねぇ。って、言い訳臭いですか? これw

(いや。物書きというのは常にその葛藤を繰り返すものじゃろ。むしろそれが出来なくなったらもう書き続けようとも思わんじゃろうしの)

 うーん。そんなもんですかねぇ?